「情緒」とは「感情」のこと
情緒のある景観
歴史ある街並みを表現する際などにこのようにいいますよね。旅行で訪れて「情緒ありますねぇ」「確かにそうですねぇ」なんて会話で、実はどちらも意味はよくわからず使っている…こんなことがあるかもしれません。
「情緒(じょうちょ)」は様々な「感情」。またはそれらの感情が呼び起こされる「雰囲気」。
「楽しい」「懐かしい」「嬉しい」「切ない」など、様々な感情が湧き上がる雰囲気のある眺めが「情緒」ある景観です。
ここでいう「感情」というのは喜怒哀楽で表せるようなはっきりしたものではなく、言葉では言い表せないような微妙な感情の揺らめき。懐かしいなぁと思っていたらいつの間にか涙がこぼれていたようなそんな感じです。
「情緒」の読み方
「情緒」は「じょうちょ」と普通に読んでいると思いますが、「緒」は「しょ」と読むことが多いですよね。「由緒(ゆいしょ)」「諸国(しょこく)」などもそうですね。
実は、「情緒」も少し前までは「じょうしょ」と読まれていました。
現在の「じょうちょ」という読みはもともと誤読でしたが、今ではほとんどの人が「じょうちょ」と読みます。「じょうしょ」読みは一部の四文字熟語に残るのみとなりました。
「情緒」の使い方・例文
「情緒」の詳しい使い方を例文を通して確認していきましょう。
・情緒が細やかな性格をしている ・疲れから少し情緒不安定になっている ・異国情緒あふれる街並みを歩く ・情緒纒綿(じょうしょてんめん)たる風景が忘れられない
「感情」を表す「情緒」は、「情緒が細やか」「情緒が育つ」といったように使用できます。
「情緒不安定」は感情の起伏が激しくなっている状態です。笑っていたかと思えば、突然怒り出したり、泣き出したり…。
肉体や精神の疲れから、一時的にこのような状態になることは経験があるかもしれません。
「異国情緒」はいかにも異国っぽくて感情が揺さぶられる「雰囲気」。他に「江戸情緒」、「下町情緒」などもよく使われます。また、「異国の情緒を感じる」といった表現も可能。
「情緒纏綿」は「情緒が細やか」「愛情が深く離れがたい」という意味の四字熟語。「じょうちょ」とも読めますが、元の「じょうしょ」と読むことが多いです。
「情緒」の類語
「情緒」は他の表現に言い換えることはできるのでしょうか。
・心情(しんじょう) ・情動(じょうどう) ・風情(ふぜい) ・趣(おもむき)
「心情」「情動」は「感情」を表す「情緒」の言い換え。「情動」はあまり馴染みがないかもしれません。急激な感情の動きを表します。
「風情」「趣」の意味は「感情を呼び起こすような雰囲気」に近いものがあります。とはいえ、これらは自然や建築物などを見て感じる「美意識」のことであり、ニュアンスが多少異なります。
「情緒」の英語表現
「情緒」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。「感情」を表す「情緒」は「emotion」ですが、様々な感情を呼び起こすような「雰囲気」は「emotion」では表しきれません。
I enjoyed many foods at that exotic restaurant ⇒異国情緒あるレストランで様々な料理を楽しんだ
「異国情緒」に限れば「exotic」で表現可能です。「エキゾチック」としてカタカナ語にもなっています。
「情緒」を直訳するのは少々難しいです。「歴史的な雰囲気」であれば、「 traditional atmosphere」「quaint atmosphere」、「絵になる」は「scenic」で表すことができます。
「情緒」を使って美しい表現を
「情緒」は日本的で美しい表現。旅行や出張で「情緒ある」街に足を運んだ際はぜひとも使ってみましょう。一目置かれるかもしれません。