アクセシビリティとは『近づきやすさ』のこと
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アクセシビリティは、『近づきやすさ』『アクセスのしやすさ』を意味するカタカナ用語で、ビジネスシーンにおいてはよく使われている言葉の一つです。
言葉だけを見ると、上の会話のように、交通アクセスをイメージしやすいのですが、実際はさまざまな分野において、いろんな意味で使われています。
ここでは、アクセシビリティの正しい意味や使い方が理解できるようわかりやすく解説しています。これを機にしっかり学んでいってください。
アクセシビリティの英語は『accessibility』
アクセシビリティは英語で『accessibility』と表記し、次の意味をもつ単語として使われています。
■利用のしやすさ
■(人・場所への)近づきやすさ
■影響を受けやすいこと など
そして、熟語としてはこのように使います。
■accessibility to~(~に行きやすいこと)
■internet accessibility(インターネット接続のしやすさ)
■increase accessitility to~(~にアクセスしやすくなる/~が利用しやすくなる) など
日本語としてのアクセシビリティの意味
日本語においてのアクセシビリティは、『近づきやすさ』『アクセスのしやすさ』『使いやすさ』を意味します。そして、分野によって対象となるものや、アクセシビリティに対しての課題も異なります。
ここでは、各分野のアクセシビリティについて解説していきます。
アクセシビリティの意味①:ITでは『使いやすさ』
IT業界におけるアクセシビリティとは、端末やソフトウェアの操作性の良さを指します。
たとえば、指が思うように動かせない人にとって、一般的なキーボードやマウスは『アクセシビリティが悪く』、視覚や音声による入力装置は『アクセシビリティが良い』ということになります。
健常者、障がい者、若者、高齢者など、それぞれの人が使いやすいと感じる製品を開発・販売していくことが大きな課題です。
そのほか、Webへのアクセスのしやすさについては、『Webアクセシビリティ』と、別で言葉で表現し、正式なガイドラインが存在します。これについては後の項目で後述するので、このまま読み進めてください。
アクセシビリティの意味②:建物では『利用のしやすさ』
建物に対してのアクセシビリティは、次の2種類に分類ができます。
■対象の建物への行きやすさ
■建物の使いやすさ
現代の新しい建物は、バリアフリーやエレベーターの設置など、高齢者や障がい者にも使いやすい設計になっています。
しかし、古い建物の場合は段差が多かったり、通路が狭かったりするため、補修工事を行う例も少なくありません。
特に、観光場所にもなっているような、歴史的建造物は、特に高齢者や障害者にとって入りにくい仕様となっているものの、改築が難しいため、アクセシビリティについての課題は改善しにくいのが現状といえます。
アクセシビリティの意味③:公共交通機関では『過ごしやすさ・使いやすさ』
公共交通機関においてのアクセシビリティとは、『過ごしやすさ』『使いやすさ』を指しています。
また、国土交通省の公式サイトでは、評価手法で用いた指標も公開されています[efn_note]参考:公共交通政策|国土交通省[/efn_note]。評価手法とは、他の都市と定量的・総覧的に比較し、「見える化」「相対化」するための手法のことです。
時間帯アクセシビリティ指標
公共交通機関の乗り場で、どのくらい利用しやすいかを示しており、運行本数が多ければ多いほど数値は高くなります。
空間的アクセシビリティ指標
公共交通機関の路線への近さを示しており、路線長が長ければ長いほど数値は高くなります。
総合アクセシビリティ指標
『時間的アクセシビリティ指標』と『空間的アクセシビリティ指標』の積により求められる数値。
金銭的アクセシビリティ指標
公共交通機関の運賃面においての利用のしやすさを示しており、数値が大きいほど金銭的負担が少ないといえます。
Webアクセシビリティがもつ課題
Webアクセシビリティとは、Webの使いやすさを指す言葉です。Webとは、インターネット上で公開されている文書を閲覧することができるシステムです。
『www』が含まれているURLが、いわゆる『Web』と呼ばれているものになります。
このWebアクセシビリティは、ウェブアクセシビリティ基盤委員会が定めるガイドラインがあり、定期的に改正されています。
参考
基礎知識ウェブアクセシビリティ基盤委員会
視覚障害、視力障害、聴覚障害などがある人にも使いやすくなるよう定められたガイドラインは、この一定ラインをクリアすることで、機能の低下が防ぐ効果が期待できます。
ここで、ガイドラインの中でどんなことが記されているのか、少し紹介しておきますね。
■文字と背景のコントラスト(対比)が見やすいものにする。
■読みやすい文字の色にする(例:白の背景に黄色の文字は避ける)。
■ページに何が書かれているか想像できる見出しにする。
■使いやすいページにする(例:このボタンをクリックしたらどんなページが表示されるかわかるようにする)。
■リンクの文字数はマウスポインタをあてやすいよう、1~2文字にはしない。
ユーザービリティとアクセシビリティの違い
ユーザービリティとは、『使い勝手のよさ』を意味するカタカナ用語で、その製品やサービスの対象としている人が満足できればいいというのが定義です。
一方、アクセシビリティは、どんな人にも「使いやすい」と感じてもらえなければいけません。
なお、ユーザービリティについては次の記事でわかりやすく解説しているので、ぜひあわせて読んでみてください。
ユーザビリティとは?「高い」や「低い」の使い方からわかりやすい例までチェック
[ビジネス版]アクセシビリティの使い方・例文
アクセシビリティはさまざまな分野において、いろんな形で登場します。ここでは、会話でどのように使われているのか例文でチェックしておきましょう。
例文1は『Webアクセシビリティ』に置き換えも出来ます。使いやすいWebページにしたため、パソコンに精通していない年齢層のユーザーが増えたという意味合いになります。
例文2のアクセシビリティは、建物の使い勝手の良さを指しています。
例文3のアクセシビリティは、交通アクセスの良さを指しています。
【番外編】スマホ・タブレットのアクセシビリティ機能
スマートフォンやタブレットの設定の一つに『アクセシビリティ』があります。これは使い勝手を良くする機能の一つです。
iPhone・iPadのアクセシビリティ
iPhone・iPadには、アクセシビリティとして、次の機能が備わっています。
【視覚機能】
・ズーム機能
・拡大鏡
・読み上げコンテンツ
・バリアフリー音声ガイド など
【身体および動作機能】
・タッチ
・音声コントロール
・ポインタコントロール など
【聴覚機能】
・ヒアリングデバイス
・標準字幕とバリアフリー字幕 など
【一般機能】
・Siri
・ショートカット など
Androidのアクセシビリティ
Androidのアクセシビリティは『ユーザ補助』という項目で表記されており、次の機能が備わっています。
・TalkBack(音声読み上げ)
・音声文字変換
・点字ディスプレイ
・フォントサイズ
・コントラスト、色の設定
・Voice Access
・操作までの時間 など
アクセシビリティを考慮したものづくりをしていこう
Webページ、サービスだけでなく、製品においても使い勝手の良いものが、多くの消費者に選んでもらえます。新しいものを作り出す際は、アクセシビリティを考慮するようにしましょう。