「警鐘」とは危険や良くないことが起こる前に知らせるってこと!
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「警鐘」とは、一般的に危険などの良くないことを事前に知らせる意味をもつ言葉です。例えば緊急事態が発生し、そのことを周囲に知らせる場面などで登場します。
実は「警鐘」には2つの意味があり、現在での使い方が本来よりも広義的な意味で使われるようになりました。そのため、誤用している人も多い言葉なのです。今回は正しく「警鐘」を使いこなすための本来の意味、そして類語について詳しく解説します。
・「警報」
・「警戒」
・「注意喚起」
など
「警鐘」の読み方と意味
「警鐘」について詳しく説明する前に、まずは基本的な読み方と正しい意味について解説します。順を追って読んでいけば、言葉のもつ意味が自然と身に付きます。
「警鐘」の読み方
「警鐘」は「けいしょう」と読みます。「警告の鐘」と書いて「警鐘(けいしょう)」です。漢字を見れば意味は大体理解できるけど、読み方までは知らなかったという人は、この機会に覚えておきましょう。
「警鐘」の意味
「警鐘」は先述の項で説明した「警告の鐘」が元となり、以下の2つの意味を持ち合わせています。
2. 良くないことが起ころうとしていることを知らせること
時代劇や演劇などで、火消しや見張り役が鐘を打ち鳴らすシーンを見たことがあるでしょうか?火事などの災害や、緊急事態を知らせるための「警鐘」が由来です。「警鐘」を打ち鳴らす目的をそのままの意味に、「警鐘を鳴らす」と表現しています。
本来はこのように災害などの危険が迫る事態を伝えるために使われる言葉ですが、現在では程度にかかわらず警告や注意喚起などでも使用されるのが一般的です。
「警鐘」の使い方
「警鐘」の使い方について紹介します。「警鐘」の使い方のなかには、誤用が一般的となってしまっているものも少なくありません。そちらについても詳しく解説するので、例文とあわせてぜひ最後までお読みください。
「警鐘」の例文
一般的によく使われているのが「警鐘を鳴らす」または、「~に警鐘!」などの体言止めです。ほかにも使われているフレーズもありますが、「警鐘を鳴らす」がもっとも一般的な使い方と考えて問題ありません。
体言止めの使い方は、主にキャッチフレーズとしての役割です。こちらもあわせて例文をご紹介します。
部下
上司
部下
上司
後輩
先輩
「警鐘」の誤った使い方
「警鐘」を使った以下のようなフレーズを耳にした機会もあるのではないでしょうか?
警鐘を発する
警鐘を促す
これらは「警鐘を鳴らす」とともによく使われているフレーズですが、いずれも不自然な「警鐘」の使い方です。「警鐘」の後に続く動詞は「鳴らす」以外は間違いです。
日本語の文法には、「食事する」などの「名詞」+「する」の表現があります。「警鐘(名詞)」+「する」は、「名詞+する」でも不自然(使えない)なパターンです。
「警鐘を発する」は、「(鐘は)人が鳴らす」ことはできるが「(鐘が)自ら音を発する」ことはできないから使い方として間違いです。
「警鐘を促す」は、似たような言葉の「警戒」を使用した「警戒を促す」の言い間違いと推測されます。
「警鐘」の類語
「警鐘」は「警鐘を鳴らす」以外のフレーズで使用するのは誤りです。別のパターンを使うときは類語を選択する必要があります。ここでは「警鐘」と似たニュアンスの類語を紹介します。
「警告」
良くない事態にならないように注意を知らせる言葉です。「警鐘」よりも使用頻度が高く、シンプルでわかりやすいフレーズです。「警鐘」の誤った使い方を避ける場合、「警告」に置き換えるのが無難です。
先輩
後輩
部下
上司
「警報」
危険が迫っている状況を周囲に伝え、警戒を促す知らせをあらわす言葉です。”危険な状況を伝える知らせ”の意味では「警鐘」に近く、ニュースなどではもっとももよく使われているフレーズです。防災の意味合いでは「注意報」に置き換えられます。
上司
部下
部下
上司
「警戒」
悪い出来事が起きないように用心する様子をあらわす言葉です。危険である状況を理解し、備え(てい)る態勢を指します。
後輩
先輩
部下
上司
「注意喚起」
「喚起」とは呼びかけによって物事を起こす様子をあらわし、周りへの注意を呼び掛けて促す意味の言葉が「注意喚起」です。呼びかける意味で「発する」に置き換えることも可能です。
「喚起」には「促す」の意味が含まれているため、よく使われている「注意喚起を促す」のフレーズは意味の重複で誤用になります。別の言葉にするなら「注意を促す」に言い換えましょう。
後輩
先輩
部下
課長
「警鐘を鳴らす」の類語
「警鐘を鳴らす」は、周囲に音を鳴らして注意を促して気づかせる意味の言葉です。「警鐘」以外の注意を促すほかの言葉、似たようなニュアンスのフレーズを紹介します。
「念を押す」- 何度も重ねて注意すること(より強い意味で「念には念を押す」)
「用心する」- 心を配り、気を付けること(より強い言葉で「警戒する」)
「警鐘」のように物事を例えた表現があり、いずれも気を付けるために心を配り、神経を使っている様子を現しています。
上記とは別に「警笛」の単語があり、「警笛を鳴らす」のフレーズも見受けられます。「警笛」とは警戒を促すために鳴らす笛を指し、一見すると「警鐘」と同じ役割の単語に見えます。
しかし、「警笛」は車や船などの交通機関や警察機関で使われている交通保安用具です。向かってくる乗り物や周囲にこちら側の存在を知らせる行為であるため、促す注意の意味合いが異なる「警鐘を鳴らす」の言い換え言葉にはなりません。
「警鐘」の英語表現
「警鐘」はビジネスシーンでも使われる言葉です。危険やよくないことを伝える場面で意思疎通ができるよう「警鐘」の英語表現を事前に確認しておきましょう。
alarm
alert
warning
と表現できます。
「警鐘」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒ウイルスの問題はニュースで警鐘を鳴らしているから知っておくべきだよ。
・I wanted to ring the alarm, but I’m sorry that it didn’t improve.
⇒警鐘を鳴らしたつもりだけど、改善されなくて残念だ。
・The theme for this time is to raise a warning for environmental problems.
⇒今回のテーマは環境問題に警鐘を鳴らすのが目的だ。
・ I have a book titled “An alarm for modern people!”I recommend reading it.
⇒『現代人に警鐘!』ってタイトルの本があるんだけど、読むことを君におすすめするよ。
意味や使い方を正しく理解し「警鐘」を使いこなそう
ニュアンスだけでなんとなく意味を理解できてしまうため、「警鐘」は誤った使い方が広がってしまった言葉です。「警鐘」の類語は数が多く、いずれもニュアンスだけであいまいな使い方をしてしまう人も多く見受けられます。
言葉を伝えるのは大切なことであり、正しく使うことは説得力を生みだします。正しく意味を理解し、言葉を軽んじることへの警鐘を鳴らすことは、他人だけでなく自分を見直すことにも通じます。みなさんも日本語を正しく使ってくださいね!