ボトムアップとは『部下から上司に意見を伝える』こと
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ボトムアップとは、下の意見を吸い上げて上層部に伝え、組織全体とまとめていく経営方式を指す言葉です。
下層部の立場では経営に携わることはありませんが、あなたがいる会社がどんな経営方式であるかは把握しておくべきでしょう。
今回はボトムアップの言葉の意味や使い方のほか、反対語やメリット・デメリットについてもわかりやすく解説します。
ボトムアップの意味をチェック
ボトムアップ、なんとなくイメージはできても、具体的にどのような組織を指すのかは説明しきれない人は多いのではないでしょうか。まずは、どういった組織がボトムアップになるのかを確認しておきましょう。
日本の組織におけるボトムアップとは
ボトムアップとは、企業内で部下の立場にある人たちが、経営陣を含めた上司の人たちへ意見や提案を届けることをいいます。
現場の状況だけでなく、改善してほしい点を伝える場合も多々あり、それに対するフィードバックもきちんと行われるのが特徴です。
ボトムアップの英語は『bottom-up』
ボトムアップを英語で表すと『bottom-up』です。日本語で使われる意味と同じく『部下から上司に意見を伝える』の意味がありますが、『逆さまに』の意味もあります。
また、bottomのを複数形にした『bottoms-up』は、飲み会用語の「一気に飲みほして!」の意味になるので注意しましょう。
ボトムアップ方式のメリット・デメリット
さまざまな経営方式がある中でボトムアップを選択するには、なんらかのメリットがあるからですよね。ここでは、この方式のメリットとデメリットを紹介します。
ボトムアップ方式のメリット
ボトムアップ方式を選択するうえでの大きなメリットは次の二つといえます。
現場の意見を反映しやすい
実際の仕事現場からの意見を取りまとめて経営陣にもっていくため、今問題になっていることや、改善すべきことに迅速にとりかかることができます。
また、トップの人にはなかなか意見を言えなくても、現場の仲間同士なら言いやすいという性格の人もいるでしょう。そんな人たちが日ごろ感じていることを理解しやすいこともメリットのひとつです。
社員の積極性が養われる
現場の声が経営トップの耳に入ることがわかれば、「こんな要望も出してみよう!」「こんなことはできないか?」といった積極的な意見が出やすくなります。
毎日そんな現場で働いていると、社員のモチベーションがあがってくるだけでなく、自ら行動しようとする積極性も身についてきます。
ボトムアップ方式のデメリット
ボトムアップ方式を選択するうえでの大きなデメリットは次の二つといえます。
意思決定に時間がかかる
決定を下す前段階として、現場の意見を取りまとめる時間が必要となります。その後、経営トップに話をもっていくため、意思決定に時間がかかるのが大きなデメリットといえます。
現場をまとめる人材が必要
現場で働く社員の人数は、経営陣の数倍~数十倍になります。意見がまとまらないままではトップにもっていけません。
そのため、現場社員のひとりひとりからの意見を適格に取りまとめられる優秀な人材が必要になります。そういった人材がいない組織では、ボトムアップ方式はうまくいきません。
ボトムアップの反対語はトップダウン
『下から上に意見を伝える』ことがボトムアップ。その反対語は『上から下』です。つまり、トップダウンになります。
トップダウン方式とも呼ばれるこの経営方式は、経営トップの決定事項を下層の従業員に伝え、その指示に従って行動するといった特徴があります。
上で決定したことをそのまま行動に移すため、迅速に業務を遂行できるといったメリットがあります。しかし、上からの指示がないと動けない人が増えやすいというデメリットがあるのも事実です。
なお、トップダウンについては次の記事でもわかりやすく解説しています。あわせて読んでボトムアップと比較してみてください。
トップダウンの意味とは?ボトムアップ・ワンマンとの違いもわかりやすく解説
[ビジネス版]ボトムアップの使い方・例文
ボトムアップは、実際の会話ではどのように登場するのでしょうか。ここでは、定番の使い方で例文を紹介するので、チェックしておきましょう。
ボトムアップする
「ボトムアップする」はもっとも定番の使い方といえます。
ボトムアップを図る
『図る』には、『ある事柄の実現を企てる』『何かを実現するために計画したり、努力したりする』といった意味があります。
新しい方式『ミドルアップダウン』とは?
組織における『ミドル』とは、経営陣の下層で、現場を指揮・監督する、いわゆる中間管理職と呼ばれるポジションです。
このミドル層は、現場を実際に見ているため、状況が把握しやすく、従業員の声も聞きやすい立場にあります。また、経営陣とのコンタクトもとりやすいポジションでもあります。
そのため、自分の目で見た現場と従業員からの声を伝えるとともに、現場へは経営陣の意見を従業員にわかりやすく説明するといった役割を担っています。
特に、社員数の多い企業では、このミドルアップダウン方式を取り入れるところが増えています。
[番外編]スポーツ界におけるボトムアップ理論とは
スポーツ業界には『ボトムアップ理論』というものがあります。これは、指導者が指示してやらせるのではなく、選手の意見や行動力をアップさせることで、自主性を発達させる理論をいいます。
また、ボトムアップ理論の『ボトム』には、『そのスポーツをするうえで土台になるもの』の意味も含まれています。
たとえば、ひたすら練習だけして技術を伸ばす選手A、練習もするが片付けや清掃など日常生活もきちんとしている選手Bがいたとします。
両者を比較すると、選手Bのほうがスポーツ選手としての品位も備わっているといえますよね。
日常生活を土台(=ボトム)とするなら、試合会場がトップです。一流の選手は、日常生活の土台にも見習うべきところがあるといいます。
ボトムアップ方式の企業では積極的に自分の意見を述べよう
トップダウンの会社では、ある程度のポジションまで登りつめなければ自分の意見が経営トップに届くことは少ないでしょう。しかし、ボトムアップ方式の企業では、小さな意見や要望も届けやすい環境にあります。
もし、あなたが勤めている会社がボトムアップ方式なら、勇気をもって、積極的に自分の考えを述べていくようにしましょう。