プロダクトライフサイクルとは、商品が歩む人生のこと!
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新しい商品は、市場で受け入れられるまでに時間がかかります。そして、どんな大ヒット商品でも、いつかは売れなくなる日がくるものです。
製品が成長して、売れなくなっていくまでの間には「4つの段階」があるといわれいます。世に放たれた商品たちが歩む道のりを表したものが「プロダクトライフサイクル」なのです。
人間にも赤ちゃんが成長して、大人になって、そして寿命を迎えるまでのライフサイクルがあります。そんなサイクルの製品バージョンと考えるとわかりやすいです。
プロダクトライフサイクルの基本
プロダクトライフサイクル(Product Life Cycle)は、「製品ライフサイクル(商品ライフサイクル)」と呼ばれたり、頭文字をとって「PLC」といわれたりすることもあります。製品が市場に登場して、衰退するまでの流れをとらえたものです。
この考え方に沿って商品のマーケティングをしていくことは「プロダクトライフサイクルマネジメント(商品ライフサイクルマネジメント)」といわれてます。
プロダクトライフサイクルの4段階
プロダクトライフサイクルでは、次の4つのフェーズに分類して、製品の売上や利益の変化をみていきます。
導入期→成長期→成熟期→衰退期
製品の一生には、このような変遷があることが一般的で、いつかは衰退していくものです。したがって、いい商品ができたからといって、「よし、これで生涯安泰!!」ということにはならないんですね。
それぞれのフェーズについてもう少し詳しくみていきましょう。
①導入期:
製品が市場に導入されたばかりで、売上高が大きくない時期。販売促進にコストがかかるので、利益はないor少ない。
②成長期:
製品が市場で受け入れられ、売上や利益が増加する時期。それに気づいた他社が競合商品を出すことも。
③成熟期:
製品が広く行き渡って、成長率が鈍る時期。ただ、利益は安定してくる!
④衰退期:
製品が売れなくなって、売上高が落ち込む時期。維持か撤退か決断するタイミング。
製品が歩む一生は、こんな流れとなります。ヒトの一生と同じように、製品にも最盛期があって、衰退期もあるというわけですね。
プロダクトライフサイクルを図でチェック
プロダクトライフサイクルの時期を図で示すと、このようになります。導入期は売上も利益もほぼなく、成長期にはどちらも伸びてきます。成熟期には売上・利益ともに軌道にのりますが、やがて衰退期に向かっていきます。
プロダクトライフサイクルに沿って、自社の商品が「どの段階にあるのか?」を考えることで、どんな対策を練ればいいかヒントがつかめるのです!
プロダクトライフサイクルの時期ごとに立てるべき戦略
プロダクトライフサイクルで自社商品がどの段階にあるのかわかっても、「じゃあ、どうしたらいいの?」ということが肝心になってきます。段階に応じた戦略を練ることにこそ、意義があるといえるのです。
次に、プロダクトライフサイクルの各時期ごとに、企業が立てるべき戦略について解説していきます。マーケティング戦略を考えたい方は参考にしてみてくださいね。
プロダクトライフサイクルの戦略①:導入期
導入期では、まだ消費者のほとんどは製品のことを知りません。よくわからないものを買おうとする人はいないので、「製品の認知度を高める」ということを念頭において戦略を練ります。
プロモーションを行うことが中心になりますが、必ずしも大規模なプロモーションである必要はありません。すべての中小企業に潤沢な資金があるわけでもないですし、現実的ではありません。
実際に何をするかはその企業によって、ターゲット層によって異なります。見込み客との接点をイメージしながら、次のものを介して網を張り巡らせるといいですね。
名刺、DM、チラシ、展示会、WEBサイト、ネット広告、営業現場、自社サイト、ECサイト、人的なネットワーク
多くの消費者はある程度売れている商品を選びますが、中には「新しい商品が好き!」という人もいます。そういった革新者をターゲットとした戦略となるでしょう。
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プロダクトライフサイクルの戦略②:成長期
製品が少しずつ売れてくる成長期には、一気に需要が高まります。それを見た競合会社が参入してくるので、競争がヒートアップします。
成長期にはどうしてもライバルが増えてくるので、自社製品を差別化するにはどうしたらいいかを考えていきます。
戦略を立てるうえでは、製品がより魅力的で優れていると思ってもらえるような啓蒙を意識することがポイントとなります。製品開発のストーリーを伝えたり、どれくらいコスパがいい製品なのか示したり、とにかく魅力があると感じてもらえるように対策します。
プロダクトライフサイクルの戦略③:成熟期
成熟期になると、依然としてライバル会社は存在するものの、すでにある程度はしっかりと売れる状況が構築された段階になります。現状を維持するべく、製品の品質を改良していく戦略が基本となります。
たとえば、トレンドに合わせたパッケージに変更してみる、製品の新しい使い方を提案するなど、成熟期をできるだけ長く維持できるように戦略を立てていきます。市場価格が下がっていたら、販売価格を下げるということも検討しなければなりません。
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プロダクトライフサイクルの戦略④:衰退期
追加の投資が必要でなければ、ぼちぼち利益は発生するでしょう。しかし、市場の規模が縮小していきますし、代替品の登場によってピンチを迎えることもあります。
プロモーションや生産にかかわるコストをできるだけ抑えて存続させるのか、スッパリ撤退して新製品に切り替えるのか、決断が求められる時期となります。このときにどんな選択をするべきかは、そのときの業界動向によっても左右されますが、ベストな方法を検討しましょう。
[事例]プロダクトライフサイクルは必ず当てはまる?
プロダクトライフサイクルは、基本的に多くの商品に当てはまります。ただ、例外的な事例も存在します。その製品の性質や特徴、認知度、歴史から、衰退していかないものもあれば、企業が意図的にプロダクトライフサイクルを伸ばしているケースもあります。
プロダクトライフサイクルの判別が難しい事例
事例:カルビーのかっぱえびせん
基本的なプロダクトライフサイクルから外れている事例として、カルビーの「かっぱえびせん」が挙げられます。1964年に販売されてから、今なお売れているスナック菓子です。
不思議と類似品があまりないのですが、エビの風味を出す工程にはかなり手間がかかっているようです。
通常のプロダクトライフサイクルを考えると、競合商品が出現して、かっぱえびせんは衰退していくはず。それが50年以上も売れているので、成熟期の期間がかなり長い製品といえます。
このように成熟期がずーっと続いている製品もありますが、認知度が高すぎること・他者が真似しにくいことが要因なのでしょう。
プロダクトライフサイクルを工夫して伸ばしている事例
事例:日清食品のチキンラーメン
日清食品のチキンラーメンは、鶏ガラの風味がおいしいインスラントラーメン。世界初のインスタントラーメンといわれており、こちらもかなりのロングセラー商品です。
パッと見るとちょっとレトロな感じが残るパッケージなのですが、テレビCMでは人気女優の新垣結衣さんを器用したり、アレンジレシピを公開したり、時代のニーズに対応するべくいろいろと工夫しています。
古い製品ですが、新しさも取り入れながら、工夫によってプロダクトライフサイクルの成熟期を伸ばしている事例といえます。
プロダクトライフサイクルがほぼ存在しない事例
事例:蚊取り線香、養命酒
そもそもプロダクトライフサイクルがほぼ存在しない、当てはまらないというケースもあります。先述のかっぱえびせんやチキンラーメンの歴史もすごいですが、さらにすごい製品もあります。
たとえば、渦巻き型の蚊取り線香は1902年に金鳥で誕生したものです[efn_note]参考:金鳥のあゆみ 創業〜明治時代|金鳥[/efn_note]。それが、100年以上が経った今もほぼ変わらない形のままで使われ続けています。
また、もっと歴史が長い商品として「養命酒」も挙げられます。養命酒は400年以上も前にできた製品というので驚きます[efn_note]参考:養命酒の発祥と400年の歴史|養命酒製造株式会社[/efn_note]。この手の製品がすぐに衰退することは考えにくいですし、一般的なプロダクトライフサイクルには当てはまらない事例といえるでしょう。
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プロダクトライフサイクルマネジメントで収益アップ!
プロダクトライフサイクルを考えて製品や商品のマーケティングをしていくことによって、収益を効率的に高めていける可能性があります。プロダクトライフサイクルマネジメントができるかどうかで収益にもからんでくるので、マーケティングに携わるビジネスパーソンにとって必須の知識ともいえます。
自社の商品やサービスのプロダクトライフサイクルを考えながら、どんな戦略を立てればいいのかを検討していきましょう!