クロスチェック・ダブルチェックは「複数回の確認」
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上の会話の新人くんのように、クロスチェックとダブルチェックをはっきり区別できていない人は少なくないでしょう。もしくは、どちらかの言葉しか知らない人もいるのではないでしょうか。
どちらの言葉も、『複数回確認すること』の意味ですが、厳密にはきちんと違いがあるので、あいまいな認識のまま使うと相手に正しく伝わりません。
ここでは、『クロスチェック』『ダブルチェック』をきちんとするだけでなく、目的や質を高めるコツについてもわかりやすくまとめました。これを機にしっかり学んでいってください。
クロスチェック・ダブルチェックの意味の違い
クロスチェックもダブルチェックも複数回確認することですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。ここで、明確にしておきましょう。
クロスチェックとは
最初にチェックした方法とは別の方法を用いたり、視点を変えたりしてチェックすることを『クロスチェック』といいます。何か情報源となる資料を用いた場合、最初に使った資料とは別の資料を使ってチェックを行います。
【具体例】
現在倉庫にある商品の在庫を実際に数えて確認。その後、『先月の在庫数+当月の入庫数-当月の販売数』を計算し、現在の個数と同じになるか確認する。
ダブルチェックとは
『Aさんがチェックしたものを、Bさんがもう一度チェックする』といったように、人を変えてチェックすることを『ダブルチェック』といいます。チェック方法は、AさんとBさんで変える必要はありませんが、別の方法をとっても構いません。
【具体例】
現在倉庫にある商品の在庫を、Aさんが実際に数えて確認。その後、Bさんも数えて確認する。
また、ちょっとしたミスでも重大な事故につながってしまう、医療や看護の世界でも、念入りに確認を行います。クロスチェックはもちろんのこと、ダブルチェックも当たり前に行われています。
場面によっては、人を変えてチェックする場合を『クロスチェック』と呼ぶことがありますが、非常に稀です。
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クロスチェック・ダブルチェックの英語
『クロスチェック』『ダブルチェック』は、カタカナ用語として知られていますが、英語でも同じ意味で使えるのでしょうか?ここでは、それぞれの英語表現についてみてみましょう。
クロスチェックの英語
クロスチェックを英語で表現すると『crosscheck』もしくは『cross-check』となります。意味は次のとおりです。
■(情報などを)照合する
■(さまざまな方向から)検討する
また、英語翻訳の分野では、クロスチェックと一緒に『ネイティブチェック』という言葉がよくでてきますが、こんな意味で使われています。
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ダブルチェックの英語
ダブルチェックを英語で表現すると『double-check』となり、次の意味で使われます。
■再確認する。
■念を入れる。
■二重のチェックをする。
カタカナ用語のように『人を変えて』の条件はなく、単に『間違いがないかもう一度チェックする』の意味で使われています。
クロスチェック・ダブルチェックの目的と注意点
クロスチェック、ダブルチェックは、ミスをなくすために行う作業だと認識している人は多いでしょう。しかし、「ダブルチェックは意味がない」と思っている人も少なくありません。
それではいったいどんな目的をもって行うのでしょうか。注意点もあわせて確認しておきましょう。
目的は確認の精度を高めること
ヒューマンエラーを極限まで減らすための仕組みであり、クロスチェック、ダブルチェックを行い、その精度を高めることを目的としています。そして、これらを実行するには環境の整備も大切とされています。
クロスチェック・ダブルチェックの問題点・注意点
ヒューマンエラーが減るならデメリットはないと思いがち。しかし、人の手で行うクロスチェック、ダブルチェックには問題点や注意点もあるんです。
工程数とコストが増える
クロスチェックもダブルチェックも、同じことを繰り返すため、工程数が単純に2倍になります。
クロスチェックでは、同じ人の目で行っているため、違った方向からチェックしても見落としが生じる可能性はゼロではありません。
また、ダブルチェックでは、ほかの人の時間をもらうことになります。そのため、チェックする人の本来の作業を止めてしまい、結果、その人の工程数が増え、悪くすると残業が発生する場合もあります。
二度目のチェックだから大丈夫という思い込み
ダブルチェックを依頼する相手は、仕事内容がわかる人、つまり、同じ仕事をしている人です。ケアレスミスは見つけてもらえるでしょうが、「こんなところは間違わないだろう」という思い込みがあると見落としも発生しやすくなります。
また、ダブルチェックを依頼した相手が仕事のできる人であった場合、「あの人にチェックしたもらったんだから大丈夫!」と思い込みやすいのも問題点です。
クロスチェック・ダブルチェックの質を高めるコツ
クロスチェックもダブルチェックも、ミスをゼロにできるとは言いきれません。それでも、できる限りゼロに近づけることはできます。まずは、ヒューマンエラーの種類について確認しておきましょう。
■認識の違いによるミス
■ケアレスミス(うっかりミス)
■確認ミス
大きくは、これら3種類があげられますが、クロスチェック、ダブルチェックの質を高めるには、まず、どんなヒューマンエラーが起こりやすいかを認識する必要があります。そのうえで、そうしたミスを防ぐための仕組みや環境づくりがとても大事になってきます。
次に、起こりやすいヒューマンエラーの種類ごとに、チェックを高めるコツを簡単にまとめてみました。
認識の違いによるミス
作業を開始する前段階での認識違いは、作業時間そのものが無駄になるので、確実にミスはなくしておきたいものです。そのためにも、作業前にチェックリストを作り、依頼者、作業者で確認し合うことも、ミスをなくすコツとして有効です。
ケアレスミス(うっかりミス)
『数字の入力間違い』『誤字脱字』などのケアレスミスは、作業者が注意をはらうことである程度は防げます。こういったミスが発生する原因として考えられるのは、次のとおりです。
■疲れがたまっていた
■何かをやりながら作業をした
■時間的な余裕がなかった など
こうした原因により、注意力が散漫になった結果が『ケアレスミス』を招いています。「集中できていない」と感じたときは、一息いれるのもポイントのひとつです。急がば回れの精神も大切ですね。
確認ミス
「最初に段取りをチェックしたから大丈夫!」と思い込んで最後まで作業を進めてしまうと、認識ミスでのエラーが起こりやすくなります。また、慣れた作業であれば「こんな間違いするわけがない」と思いがちです。
慣れている作業でも、初めての作業でも、こまめな確認作業をするとミスを極限まで減らせるということを覚えておいてください。
クロスチェック・ダブルチェックの例文
クロスチェックもダブルチェックも、意味をきちんと理解すれば使い方は簡単でしょう。ここでは例文をいくつか用意したので、正しい認識をしているか確認してみてください。
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クロスチェック・ダブルチェックで精度をアップ
どんなに仕事ができる人でも、ミスが多ければ信頼を失う原因になりかねません。クロスチェック、ダブルチェックで仕事の制度を向上させ、全体的な業務の効率アップにつなげましょう。