オブジェクションとは、「異論」や「反論」という意味
「オブジェクション(objection)」は「異論」や「反論」という意味のカタカナ語です。洋画が好きな方は法廷シーンで弁護士や検事が立ち上がり、声高に「オブジェクション!」と発言するシーンを観たことがあるかもしれませんね。このシーンで役者は「反対!」や「意義あり!」と主張しているわけです。
この記事では「オブジェクション」の意味や使い方を詳しく紹介していきます。ぜひ読んでみてください。
オブジェクション意味とは
「オブジェクション(objection)」の意味は「異論・反論」。「objection」はob-ject-tionに分解することができます。
「ob」はもともとラテン語。英語の「toward(その方向へ)」と同じ意味です。
「ject」は中期フランス語の「jeter」 が由来。英語の「 to throw(投げる)」の意味で、「jeter」はラテン語の「iacere(投げる)」から来ています。
「tion」の由来はラテン語の「-ionem」です。単語の終わりにくっついて名詞に変える働きをします。意味は「こと」。
「ob-ject-tion」は「その方向へ」+「投げる」+「こと」。投げ込まれるもの→投げ込まれる意見→異論というように意味が組み立てられています。
テレビ番組のネタにもなっているオブジェクション
「オブジェクション」は2016年秋のTBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」でネタにされています。主役の新垣結衣(役名:森山みくり)さんと星野源(役名:津崎 平匡)さんの
星野「後ろ向きな選択だっていいじゃないか。恥ずかしい逃げ方だったとしても、生き抜くことの方が大事で、その点においては、異論も反論も認めない」
新垣「逃げるのは恥だけど役に立つ。そうですね。逃げても生き抜きましょう。オブジェクションしている場合じゃありません」
という掛け合いで「異論!反論!オブジェクション」という文言が出てきます。この「異論!反論!オブジェクション」の元ネタは、TBSの「NEWS23」で筑紫哲也さんが司会だった時代のワンコーナー、「異論!反論!OBJECTION」です。
「異論!反論!OBJECTION」は街の人に時事ニュースに対する率直な意見を聞くコーナー。筑紫哲也さんは2008年に亡くなり、コーナーも終わってしまったので、世代で反応が分かれるかなり古いネタですね。
オブジェクションの分かりやすい使い方
「オブジェクション」の意味はつかめましたか?この見出しでは「オブジェクション」の使い方を例文で紹介します。
例①
A:今年の学園祭の出し物、中古品を集めた蚤の市はどうでしょうか?大学教授からも寄付を募れば、辞書や学術本など学生に役立つ商品も集められると思います。
B:オブジェクション!商品は自分たちで探せって、教授の物置部屋掃除させられるにきまってるよ!
例②
A:星がきれいだよ。今日は庭にテーブルを出して外で晩ご飯食べよう。
B:オブジェクションだ。ご近所から丸見えになるから恥ずかしいよ!
例③
A:今度の休みは大きなショッピングモールに買い物に行こうか?
B:オブジェクション!買い物の気分じゃない。
A:じゃあ、ドライブして海見に行く?
B:オブジェクション!この前行ったばっかりだからつまらない。
A:それなら、山に登って運動不足解消する?
B:オブジェクション!虫が多いから山は嫌だ。
A:オブジェクション!オブジェクション!ばっかり言ってないで、反対するなら案出してよ!
オブジェクションの関連語
「オブジェクション」の関連語に「オブジェクションハンドリング(Objection handling)」というものがあります。「Objection handling」を直訳すると「反論対応」。「想定問答」や「誘導尋問」みたいな会話の進め方のことで、アメリカのビジネスでよく用いられる手法です。
オブジェクションハンドリングのやり方
「オブジェクションハンドリング」は、相手に対してまず「質問」をして、何らかの答えを引き出します。その答えが自分の欲しい答えでない場合は反論し、最初の答えとは方向性が違う答えを引き出します。自分の欲しい答えでない時には再び反論し、また違う答えを引き出す・・・を欲しい答えが相手から出てくるまで延々繰り返します。
相手の答えが自分の欲しい答えと一致したら賛同して終了。ポイントは決して自分から欲しい答えは言わず、相手に自分から言わせることです。
オブジェクションの対義語
「オブジェクション」にカタカナ語の対義語はありません。「賛成」が対義語になります。ビジネスシーンで使える「賛成」の敬語・丁寧語をみていきましょう。
賛成するときの基本の言葉使い
丁寧に賛成する言い方はいくつもあります。相手や状況にふさわしい言い方を選ぶことが大切です。
相手に賛成するしかない時に使います。「ごもっともです。ただ、私どもとしましてはなんちゃらかんちゃら~」と一旦同意を示した後、穏やかに反論する使い方もあり。
反論のしようがなく、完全に白旗を上げて同意するときに使います。
目上の人の命令や、取引先、お客様の意見に賛同するときに使います。
かしこまった席で使う同意の言葉。ビジネスや日常生活で使うと、「冷たい言い方」と相手に受け止められてしまうこともあるので注意。
怒っている相手に、「あなたが怒っている理由を私はしかと受け止めています」と、相手の怒りの理由に同意する言い方。
注意!「大丈夫」は敬語表現ではありません
「大丈夫」は「構いません」「問題ないですよ」というニュアンスを含む、日常でよく使う言葉。「異存はございません」に意味が似ているので、ビジネスで使っている方もいそうですね。
でも、「大丈夫」は敬語表現ではないので、目上の相手に使うのはNGです。同意の意味で目上の相手に「大丈夫」を使いたくなったときには、「問題ありません」「問題ございません」などを使うことをおすすめします。
日本人には使いにくい?オブジェクション
ここまで「オブジェクション」の意味や使い方を読んできて、アメリカの弁護士みたいに「オブジェクション!」とかっこよく使えたらいいな~と思った方もいるかもしれませんね。
でも、ちょっと待ってください。
家族や友人同士など、気心が知れた親しい間柄ならともかく、日本でそこそこの付き合いの相手に「反対!」と直球で主張するのは人間関係に角が立ちますよね。そのため、「オブジェクション」は相手の心情をおもんぱかることを美徳とする日本人にとって、使いにくいカタカナ語・英語かもしれませんね。