ボトルネックとは、仕事などの進行を邪魔する要因のこと!
「ボトルネック」は仕事などで「スムーズな進行の邪魔になっている要因」という意味のカタカナ語です。「問題だ」という意味でよく使われる「ネック」は「ボトルネック」の略。
「ネック」は知ってるけど「ボトルネック」は聞き覚えないという方も多いのでは?「ボトルネック」は日本人の認知度が低く、国立国語研究所外来語委員会(外来語を日本人にわかりやすいように言い換えることを提案しているグループ)によると日本人の4人に1人未満しか「ボトルネック」を理解できていないそうです。
にもかかわらず、「ボトルネック」はビジネスで使用頻度の高いビジネス用語になっています。意味を知らないとビジネスマンとして困ることになるかも。この記事では「ボトルネック」の意味や使い方を詳しく紹介します。ぜひ読んでみてください。
ボトルネックの意味や語源を詳しく解説
「ボトルネック」の語源は英語の「bottleneck」です。「bottle」の意味は「瓶」。「neck」は「首」。「bottle+neck」で「瓶の首」という意味になります。
瓶の首は細長くて中身が一度に出てこないようになっていますよね。瓶の中身が満タンだったとしても瓶の首が細ければ逆さに振っても一度には出てきません。
そこから転じて「bottleneck」は仕事や作業のスムーズな進行が妨げられた状態、障害、渋滞が起きている場所や川の流れがせき止められている箇所という意味を持つ用語になりました。
「ボトルネック」は英語でも日本語でも文章の中で同じ意味で使われます。
IT業界でのボトルネック
「ボトルネック」は仕事を滞らせる原因という意味で様々なビジネス業界で使用されていますが、特に「ボトルネック」の悪影響が甚大なのはIT業界。システム設計者の「ボトルネック」感知能力の重要性が高まっています。
IT業界では「ボトルネック」がシステムのプログラミングで処理速度を遅くしている設計上の障害箇所や、ネットワーク通信の混雑箇所を指す用語として使われます。
ボトルネックの正しい使い方|例文
「ボトルネック」の正しい使い方を例文でみてみましょう。
例①A:ボトルネック踏切にはまって遅刻した。朝礼命の社長から大目玉喰らったよ。
B:あそこの踏切は開かずの踏切で有名だからね。ご愁傷さま。
例②A:人気商品のチョコポテトの製造ラインが滞っているな。ボトルネックはなんだ?
B:この前の大雨災害で契約農家の畑が軒並みダメになってしまったからです。別の産地のジャガイモを確保できるように今交渉してます。
例③A:海自カレーのホームページみたいんだけど全然つながらないよ。ボトルネックは鉄腕ダッシュだな。
B:相変わらずTOKIOの番組は飯テロだ。今視聴者の大半が検索してるんじゃない?
例①の「ボトルネック」は物理的な障害。例②は作業進捗の妨げ原因。例③はネットワーク通信スピードの低下を引き起こしている原因の意味です。
ボトルネックの類義語・関連用語
「ボトルネック」の意味や使い方はつかめましたか?この見出しでは「ボトルネック」の類義語・関連用語を紹介します。
ボトルネックの類義語
「ボトルネック」の類義語には律速(りっそく)、遅延要因、隘路(あいろ)などがあります。遅延要因は漢字から意味を推測できるように、遅くなっている原因という意味ですが、律速と隘路は聞いたこともないという方も多いのでは?
律速は「速さ」を「律する(制御する)」もの。隘路は狭い通路、進むのが難しいところ。
音を耳にして漢字が想像できない言葉は意味も想像できないし、メモもしにくいから対応に困りますよね。まだカタカナの「ボトルネック」の方がわかりやすく、使いやすいかもしれません。
ボトルネックの関連語
「ボトルネック」の関連語には「ボトルネック・インフレ」という用語があります。
個人でも企業でも何か物を作るときには、「労力・作業する場所・先立つお金」など様々なものが必要になりますよね。「ボトルネック・インフレ」は、製品を作成するために必要な様々なもの(生産要素)の一部が用意できないことで、需要と供給のバランスが崩れて起こる物価上昇のことです。
「ボトルネックの正しい使い方|例文」のところで紹介した「例②のチョコポテト」を例に「ボトルネック・インフレ」をみてみましょう。
契約農家のジャガイモが手に入らない(生産要素の一部不足)
↓
ボトルネックが起こり製品出荷が少なくなる
↓
レア度が高まりチョコポテトを欲しがる人が急増
↓
チョコポテトが高値で取引されるようになる(ボトルネック・インフレ)
ビジネスシーン以外で、ボトルネックが表すもの
「ボトルネック」はビジネスシーン以外でも使われます。というより、ビジネス用語に詳しくない方はこの記事のタイトルの「ボトルネック」から「ボトルネックトップス」をイメージしたかもしれませんね。
ファッションアイテムとしての「ボトルネック」はハイネックよりも首の長さが短く、首を折り返さずに着るトップスのことです。
遺伝子学でのボトルネック
遺伝子学には「ボトルネック効果」という専門用語があります。「ボトルネック効果」はある生物集団が何らかの原因で個体数激減した時に、たまたま遺伝子的に少数派の個体が残って、その後少数派が集団のなかでの多数派になる現象のこと。集団の遺伝的多様性は低くなります。
ちょっと難しいのでメンデルのエンドウ豆実験を例にみてみましょう。メンデルのエンドウ豆実験は学校の理科の授業で習った方も多いですよね。遺伝的に優勢な黄色いエンドウ豆(遺伝子AA)と劣勢の緑のエンドウ豆(遺伝子aa)を掛け合わせて雑種を作り、雑種同士の掛け合わせを繰り返すあの実験です。
掛け合わせを繰り返すとAA・Aa・aaの遺伝子のエンドウ豆ができますが、Aの遺伝子はa遺伝子よりも強く特徴が出るので、遺伝子aaにならないと緑のエンドウ豆はできません。掛け合わせをどんどん繰り返すと黄色:緑色=3:1の割合で新世代のエンドウ豆ができます。
エンドウ豆のボトルネック効果例
雑種の世代交代を繰り返したたくさんのエンドウ豆を畑にまいて、エンドウ豆の苗を育てていたとします。ところが、その畑が台風の被害に合ってほとんどの苗がだめになってしまいました。仕方なく残ったわずかな苗を育てたら、たまたま全て緑のエンドウ豆でした。
次の年、昨年の緑のエンドウ豆を畑にまいたら、緑のエンドウ豆がたくさんできました。
元々は「黄色」:「緑色」=3:1で黄色いエンドウ豆が多数派だったのに、遺伝子aaの緑のエンドウ豆が多数になりましたね。これがボトルネック効果です。
ボトルネックという言葉はビジネスシーン以外でも使える!
「ボトルネック(ネック)」は例文でもいろいろ紹介したように、ビジネスシーン以外でも使えるカタカナ語です。あんまり連発するとうざいですが、カタカナ語をさりげなく会話に挟めると、できる大人っぽくてちょっとかっこいいですよね。
チャンスが来たらうまく使えるように、「ボトルネック」は覚えておいて損なしですよ!