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残業時間の上限は?法律と36協定のルール・計算方法をチェック

残業時間のルールは、分かっているようで意外と知らなかったという人も多いものです。残業時間や残業代などは会社ごとに規則などで定められていますが、その規則は労働基準法に則って作られなければいけません。会社によっては自分勝手に違法な規則を作っていることもあるため、それを見破るために正しい知識を知っておきましょう。

今月はいっぱい残業したな~!

あら、がんばったのね。でも、残業時間の上限を超えて働かせる会社には注意が必要よ!

え!上限なんてあるんですか?今月の残業時間がどれくらいかわからないや!

残業時間とは?

8時を示す時計

残業時間とは、法定労働時間を超えて働いた労働時間のことをいいます。正式には、時間外労働と呼ばれるものです。

その分の給料には時間外割増として25%が上乗せされます。時給1000円だった場合には1250円もらえることになります。このように収入に大きく関わるため、残業時間の扱いはとても重要です。

残業時間は法律で定められている

残業時間や残業させるための手続き方法、残業時間の上限まで、残業に関することは労働基準法で決められています。労働者の収入にも関係が深いものですし、長すぎる残業で体を壊すなど健康にも関わることなので、会社が違法な条件で従業員を働かせるのは許されることではありません。違法な働き方をさせた場合には、罰則の対象となります。

■法定労働時間と残業時間

残業時間を計算する際には、まずは法定労働時間を知らなければいけません。法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間の上限のことで、1日8時間、週40時間と決められています。この法定労働時間の上限を超えた分が残業時間になる仕組みです。

所定労働時間は関係ない

法定労働時間と似た言葉に、所定労働時間というものがあります。所定労働時間が法定労働時間と同じならば、それを超えた時間が残業時間です。ところが、法定労働時間よりも所定労働時間が短い場合には、所定労働時間を超えても法の観点による「残業時間」には当たらないこともあります。

所定労働時間が決まっていたとしても、あくまでも残業時間の計算は法定労働時間が基準になるということです。

■所定労働時間と残業時間

所定労働時間とは、、法定労働時間内で定めた会社の独自の労働時間のことです。法定労働時間内に抑えなければいけませんが、それより短く設定するのは問題ありません。法定労働時間は1日8時間ですが、所定労働時間は1日6時間や7時間に設定してもよいのです。

そのことから、所定労働時間の短い会社ではその時間を超えて残業しても法定労働時間内となり、法的な意味での残業時間には当たらないことがあります。

表1
このように、所定労働時間が7時間の場合に1時間の残業をしても法定労働時間内で終わります。そのため、法的には割増の必要はありません。この例では、2時間以上残業すると、最初の1時間を超えた分が時間外割増として扱われます。

会社の労働時間ごとに、割増なしと割増ありの残業時間があるんですね~。

そうね。ただ、会社によっては任意で所定労働時間を超えた分は法定労働時間内でも割増する規則になっていることもあるわよ!

残業時間の上限は36協定の合意で定められる

残業時間の上限は、労使間で合意して結ぶ「36協定」によって決められます。反対にいうと、この36協定を結ばないと残業をさせることはできません。決める残業時間の上限は労働基準法で定められた範囲内とし、もし決めた残業時間を超えた場合にもその分の残業代を支払う必要があります。

参考 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針厚生労働省

残業時間の平均を知りたい人はこちらもチェックしてね。今の社会の実態と自分の会社を比較してみましょう。

日本人の残業平均時間を検証!月45時間はヤバイ?

残業時間の上限規制・ルールは?

12時5分前、疲れた男性

残業時間はいくら労使間で合意があっても、法の定める上限を超えてはいけません。ただし、一部の仕事では特別なルールが設けられていることがあります。

36協定で決められる残業時間の上限

36協定で決めることができる残業時間の上限は、この表のようになっています。いわゆる普通のサラリーマンとそれ以外(対象期間が3か月を超え1年単位の変形労働時間制の労働者)の働き方で時間の上限が違います。この時間をオーバーすると労基法違反なので、この範囲内で協定を結ぶのが基本ルールです。

原則 対象期間が3か月を超え1年単位の変形労働時間制の労働者
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1か月 45時間 42時間
2か月 81時間 75時間
3か月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間
参考 時間外労働の限度に関する基準厚生労働省

上記の表にある「対象期間が3か月を超え1年単位の変形労働時間制」とは、一定の期間の労働時間を平均して労基法で定めた範囲内になれば、日や週の単位などで一時的に法定労働時間を超えることができる働き方のことです。繁忙期と閑散期のある職業や業界で用いられ、繁忙期は長時間労働、閑散期は短時間労働といった労働時間が決められます。

特別なケースでは上限を超えられることもある

36協定では基本ルールの他に、「特別条項」と「適用除外」によって一時的に長時間残業時間が可能となることもあります。「特別条項」とは、臨時的な特別の理由がある場合です。また、「適用除外」には以下のような特別な業種、職種が認められています。

  • 土木、建設関連、大規模な機械・施設の据付工事
  • 自動車を運転する業務
  • 新技術、新商品などの研究開発業務(IT関連の開発業務やマーケティング・リサーチ、広告の制作業務なども含む
  • 季節的要因による業務量変動の大きい業務や公益上集中作業が必要な業務

ただし、長時間労働が問題視され、「特別条項付き協定」について政府の「働き方改革実行計画」によって新たに上限規制のルールが加わることになりました。「特別条項付き協定」がブラック企業の隠れ蓑となり、際限なく残業が続くこともありましたが、今後そういった問題は減るかもしれません。

◎臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
を超えることはできません。
(月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。)

参照:働き方改革

労使間で合意と協定届が必要

労使間で合意して36協定を結んだら、それを協定届によって労働基準監督署へ届け出ます。協定届には上記の残業時間の上限など協定の詳しい内容、会社側と労働組合か労働者の代表者による署名捺印などが必要です。

就業規則や雇用契約書で運用

36協定を結んでも、それだけで残業をさせられるわけではありません。36協定を結んだ状態は、あくまでも法的に問題ないというだけの状態です。実際に残業をさせるなら、そこから就業規則や雇用契約書で残業の条件などを定めて、従業員に告知、合意を得る必要があります。きわめて厳しいルールですが、守らない会社は違法であり、ブラック企業の可能性が考えられます。

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残業時間の計算方法

一般的なサラリーマンとそれ以外の働き方をする人の、残業時間の計算方法を紹介します。働き方によって残業時間の考え方や計算が違うため注意が必要です。

一般的なサラリーマンの残業時間の計算方法

決まった時間に出社退勤している一般的なサラリーマンの計算方法です。基本的には労働基準法で定められた1日8時間、1週間40時間を超えた残業時間を合算します。

週6日出勤7時間労働(土曜日のみ5時間)の例を図でみてみましょう。水曜日に2時間、木~土曜日にはそれぞれ所定労働時間より1時間多く働いたとします。
表1

まず、水~金のグレーの部分は、1日8時間の法定労働時間内なので時間外の割増がつく残業時間にはなりません。残業時間になるのは1日8時間をオーバーした水曜日の赤い部分です。さらに週40時間をオーバーした土曜日の赤い部分も残業時間に当たります。

このケースの割増が必要な残業時間は計5時間。土曜が勤務日であったとしても、1週間の労働時間が40時間を超えた時点からは時間外の割増がつくのです。

グレー部分は所定労働時間を超えていないため時間外の割増をしない時給が支払われます。

時給1000円の人であれば、
1000×3時間=3000円(グレー部分)
1000×1.25×5時間=6250円(赤い部分)

この人の今週の残業代は、3000円+6250円=9250円となります。

さまざまな働き方と残業時間

定時出社、定時退社しない働き方の残業時間の考え方は複雑なので、注意が必要です。残業時間の計算がややこしい働き方もあり、従業員が理解していないことを逆手にとって会社が悪用するケースもあります。

■変形労働時間制

法定労働時間を月単位・年単位で管理する働き方です。毎日の労働時間が決まっておらず、一定の任意の清算期間(月や年)の範囲ごとに法定労働時間が決まっています。残業時間は、清算期間ごとに法定労働時間をオーバーした部分となります。繁忙期のある業界、不規則勤務で多い働き方です。

月の日数 法定労働時間
28日 160.0時間
29日 165.7時間
30日 171.4時間
31日 177.1時間
年の日数 法定労働時間
365日 2085.7時間
366日(閏年) 2091.4時間

■裁量労働制

出退勤時間を会社から管理されない働き方です。クリエイティブ系の仕事に多く見られます。こうした業界では往々にして残業時間の概念がなく、裁量労働制を盾にして過剰に働かせようとするブラック企業もあります。

■フレックスタイム制

出退勤時間が会社から管理されない働き方ですが、裁量労働制と違って必ず働いていなければいけない「コアタイム」があります。総労働時間は、週40時間もしくは月に160~177.1時間以内(期間内の日数による)で、清算期間は最長1ヶ月です。(2019年4月から清算期間が3ヶ月まで伸びます。)フレックスタイムでは清算期間内で総労働時間を超えた分が残業時間になります。

■固定残業代制(みなし残業)

一定の残業時間分の手当が最初から含まれている給料制度です。手当として含まれている時間数を超えたら、追加で残業代を請求できます。ただし、みなし残業を言い訳に過剰な長時間残業をさせるなど、ブラックの温床とも呼ばれてます。従業員もみなし残業といわれることで追加の残業代を請求できずに泣き寝入りすることがあるようです。

みなし残業とは?基本ルールや上限、メリット・デメリットを解説

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残業時間と残業代のルールが変化

2019年の労働基準法改正によって、残業時間と残業時間のルールが変わります。上限や残業代にも関わる内容のため、知らずに以前のルールで働いていると損をするかもしれません。そのため、当てはまる人は変わる内容をチェックしておきましょう。

残業時間60時間で残業代がさらに割増

現行では、大企業のみ残業時間60時間を超える残業をすると、割増率が25%から50%に上がることになっています。中小企業については猶予されていた割増率でしたが、2019年4月1日からはその猶予が廃止予定です。すべての企業で月60時間を超えた残業時間には50%の割増が必要ということになります。

「特別条項付き協定」でも残業時間は100時間までに

36協定の「特別条項付き協定」の残業時間に関して上限がつくのも2019年4月以降施行の予定です。この上限規制のポイントは以下のようになります。また、この上限規制には罰則も付きます。

  • 年720時間
  • 複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
  • 月100時間未満
参考 働き方改革厚生労働省

残業時間が適切かチェックしよう

夜のオフィス

残業時間が長すぎる、と感じたら、労働基準法に則って社内のルールが決められているかチェックしてみましょう。残業時間には上限があり、それを超えて働かせることは違法です。残業時間を計算して、おかしいと感じたら会社に適切な対応を求めることが必要となります。それでも改善されなかったら、転職も考えましょう。また、残業をさせたのに残業代を支払わないのも違法となり、請求することができます。

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