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ライター中村洋太さんに聞く、「ゆるいコミュニケーション」から生み出す仕事術

世界1万キロ以上を自転車で旅した、フリーライターの中村洋太さん。朝日新聞デジタルでの連載をはじめ、ソフトバンク、ユニクロ、リクルートなど大手企業のメディアを中心に旅行記やエッセイ、インタビュー記事を執筆されています。昨年はnoteで公開した記事「Webライターが単価を高めるためのアドバイス」が反響を呼び、ライター向けのコンサルも開始。25名以上のWebライターさんに、仕事の取り方や文章面でのアドバイスを行っているそうです。今回はそんな中村さんに、ご自身のお仕事スタイルや効率化について伺いました。
中村さん

SNSを活用した中村洋太さんのお仕事受注スタイルとは

── 中村さんは、普段どのようにお仕事を得ていますか?

ぼくの場合は、幸いにもFacebookのメッセンジャーで友人や知人から直接ご依頼いただくことが多いです。クラウドソーシングなどで仕事を探したりはしていません。

──知り合いからの紹介でお仕事を受けるとどのようなメリットがありますか?

仕事のミスマッチが起こりづらいことですかね。自分の「人となり」や「強み」をよくわかってくださっている方から、「きっと中村さんにピッタリじゃないか」と思って頼まれる仕事なので、実際に個性がハマってやりやすいことが多いです。

これは失敗談ですが、以前、たまたまイベントで知り合った方から、「ライターさんなんですか、じゃあ今度仕事お願いしますね」と言われて引き受けたことがあるんです。でも、それが自分のやりたいことと違って結構辛かった。自分の人となりが伝わっていないまま仕事を受けてしまうと、乱暴に仕事を振られたり、コミュニケーションがうまくいかなかったり、「ぼくが書かなくても成立する代替可能な記事だな」と思うケースがあったりと、デメリットも大きいと思います。

── 自分から営業することはないのですか?

ありがたいことに、常にお仕事のご依頼がくるので、営業せずに成り立っています。自分でも、どうしたら向こうから「中村さん、書いてください」とお願いされる形を作れるかを意識しています。営業に時間をかけずに済めば、効率化にもつながりますよね。僕の場合、いろんな人と普段からゆるいコミュニケーションを取っていて、それがある意味営業の代わりになっているのかなと思います。

「ゆるいコミュニケーション」から舞い込んでくる仕事

── 「ゆるいコミュニケーション」とは、具体的にどんなものですか?

主にSNSでの話なんですけど、不特定多数の人に対するコミュニケーション(全体への投稿)と、特定の誰かに対するコミュニケーション(個別メッセージ)の2つがあります。

前者から話すと、たとえば、ブログやnote、Facebookなどでの投稿は、誰もが見るものじゃないですか。だから特定の誰かに言ってるわけじゃないんですけど、「最近こういう本を読んで面白かったです」とか、「たまたま街で出会った外国人を助けたらこんなことが起きました」とか。そういうの日常の中での心を動かされた出来事を、いろんな人に向けてゆるく発信しているんですね。

読み手の反応は色々なんですけど、そういうふうに自分の人となりをさらけ出すことによって、お仕事を頼む側からすれば、信頼や安心感にもつながるのかなと思っています。

もうひとつの「特定の人に対するコミュニケーション」は、たとえば宇宙のことが好きな知人に、「最近宇宙をテーマにしたおもしろいSF小説を読みました」と連絡したりすることです。

自分の習慣として、出会った人に対して「この人はこういうものが好きなんだな」と覚えるようにしているんです。で、何か役に立つかもしれない情報があったら、さらっとメッセージを送る。「こういうのあったよ〜」と。何か見返りを求めているわけではないんですけど、忘れた頃に何かが偶然返ってくることがあります。イベントに招待されたり、仕事を依頼されたり。それが半年後なのか、5年後なのかはわからないですけど。
中村さん

── ちなみに、お知り合いがたくさんいると思うのですが、誰がそれぞれ何を好きかって、どうやって覚えているんですか?

だいたい自然に記憶していますよ。特段メモを取っているわけではないですが、自分が話してて印象に残ったことって記憶に残りやすいじゃないですか。さっきの方の話で言えば、その方は以前宇宙についてぼくに熱く語ってくれたことがあったんです。また、ぼくが入院していたときにホーキンス博士の宇宙についての本をプレゼントしてくれたのもよく覚えています。ぼくが人の個性に興味があることも関係しているかもしれませんね。いずれにせよ、そういう自然な記憶に基づいて、ゆるいコミュニケーションを取っています。

── 実際に、ゆるいコミュニケーションから仕事につながったエピソードなどはありますか?

たとえば今書いているリクルートさんの「スタディサプリENGLISH」の体験レポート記事も、Facebookで繋がっていたマーケティング担当の方から直接いただいたお仕事でした。その方とは数年前に知り合って、以後ぼくの投稿を通して、「それほど英語が得意ではないけれど、英語力を向上させたい意欲を持っていること」や「体験レポートを書くのが得意であること」などを知ってくださっていました。だからこそ、「どのライターにお願いしようか」となった段階で、真っ先にぼくの顔を思い浮かんだのではないかなと思います。まあ、実際のところはわかりませんけどね(笑)

インタビュー記事を書くプロセスにおける効率化

──中村さんはインタビュー記事を多数執筆されていますが、記事をまとめるときのコツはありますか?

原稿を書き始める前に、文章の「骨組み」をしっかりと作ることです。

僕がまだフリーになる前の話なんですけど、100〜200人くらいの方からお話を聞いて記事にしていた時期がありました。インタビューのノウハウもなかったので、録音もしてなかったし、メモも取らず、全部記憶だけで書いていたんですよ。1時間くらいお話を聞かせてもらって、その全ての文字起こしはもちろん無理ですけど、印象に残った順に話を思い出して書き起こしていけば、ちゃんと記事になりました。

記憶に残った話をメインに構成を組んでいけば、自ずと面白い記事になるだろうという考えでやっていたんです。で、記憶の鮮度が新しいうちに、カフェとかでその日のうちに作っちゃう。その作り方をすれば面白く書けるっていう考えが自分の中にあるので、現在は録音や文字起こしもするようになりましたが、記事を作るときに意識していることはその頃と一緒かなと思います。インタビューが終わったらすぐに、記憶の鮮度の高いうちに骨組みだけ先に作るんです。この話を最初に持ってこよう、これが山場だなとか。あとは後日、文字起こしから得られた情報をはめ込んでいく感じです。

──インタビュー記事を仕上げるまでの工程は多いと思いますが、効率化のために外部のサービスやツールを使うことはありますか?

全部が全部ではないですが、文字起こしや単純な調べ物をランサーズなどで外注することはあります。やっぱり自分がより時間を割くべきは、文字起こしではなく構成の部分だと思っているので。

ただし、誤字チェックのツールは使ったことがなくて、自分で何回も読み直していて修正しています。文章はリズムが大事なので、頭の中で音を出して読んでみて、読点を打つ位置にもこだわっています。

──本日は貴重なお話ありがとうございました。