ASPには複数の意味がある
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「ASP」はITやWebなどのサービスでよく使われる略語ですが、実は複数の意味があります。今回は代表的な意味や使用例を解説します。
ソフトウェア業界の「ASP」
ソフトウェア業界における「ASP」とは、「アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider)」の略語です。
どんなサービス?
従来、ユーザーは個別のパソコンにソフトウェアをインストールして利用するのが一般的でした。これに対し、ASPはサーバのクラウド上にソフトウェアのプログラムデータを保管。ユーザーはインターネットを経由してASPのサーバにアクセスすれば、ソフトウェアを利用できます。高速&大容量のインターネット通信が可能になったことで、身近になったサービスの1つです。
企業で広く普及しているほか、最近では個人での利用も増えています。
ASPの発展形として、SaaS(Software as a Service)と呼ばれるサービスもありますが、現状では大きな区別はなく、ほぼ同義と考えて問題ありません。
メリット・デメリットは?
ASPを利用する際のメリット・デメリットも押さえておきましょう。
メリット
- インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも利用できる。
- システムを一から構築する必要がないため、導入が容易。
- 管理の手間がかからず、ランニングコストも安価
デメリット
- インターネット環境がないと使えないため、災害時に弱い。
- サーバを他の利用者と共有する仕組みのため、情報漏洩のリスクがある。セキュリティはASP業者に依存。
- 複数のユーザー利用を前提に開発されているため、カスタマイズが困難。
広告業界の「ASP」
広告業界で「ASP」といえば「アフィリエイト・サービス・プロバイダ(Affiliate Service Provider)」のことを指します。
どんなサービス?
インターネットを利用したマーケティングのうち、広告のクリック数や商品の購入など、あらかじめ定められた条件に基づき、報酬を支払う手法を「アフィリエイト広告」といいます。ASPは、広告主と広告掲載メディア(アフィリエイター)を仲介する役割を担います。
メリット・デメリットは?
広告主とメディア(アフィリエイター)それぞれにメリット・デメリットがあります。
広告主にとってのメリット
- 成果報酬型なので無駄なコストがかからない。
- ブログ記事などへの広告掲載は、一般広告より自然でサイト訪問者の関心を引きやすい。
広告主にとってのデメリット
- 成果がでなくてもASPへ一定の支払いが必要
- 広告効果は掲載メディアの質に左右される。場合によっては炎上するケースも。
- 掲載当初は反響が大きいが、短期的効果に終わることが多い。
メディア(アフィリエイター)にとってのメリット
- 費用や在庫などの負担がなく手軽に始められる。
メディア(アフィリエイター)にとってのデメリット
- 広告に関する知識がないと成果がでにくく、報酬を得にくい。
IT用語の「ASP」
IT用語にも「ASP」があります。こちらは「アクティブサーバーページ(Active Server Pages)」の略語です。
どんな機能?
Webページ間のデータのやりとりを簡便にする仕組みです。プログラムをWebサーバ上で処理し、その処理結果を HTMLでブラウザに送信することで、動的なWebページの生成や対話型Webアプリケーションの作成を可能にしています。
新規の使用例は稀
後継技術として「ASP.NET」が開発されたため、新規のシステム開発で「ASP」が利用されることはほぼありません。「ASP.NET」との対比で「クラッシックASP」と呼ばれることもあります。
ASPの使い方・使用例
複数の意味を持つ「ASP」。シーンによって使い分けが必要です。例文をいくつか挙げますので、それぞれどの意味に該当するかイメージしてみましょう。
上司
新人
先輩
上司
先輩
新人
先輩
例文1はソフトウェアサービスの「アプリケーションサービスプロバイダ」、例文2と3は広告サービスの「アフィリエイトサービスプロバイダ」、例文4はIT用語。違いは見分けられましたか?
複数の意味を持つ用語には要注意!
新たなサービスやテクノロジーの分野では、さまざまな用語が生まれては消えていきます。中には今回解説したASPのように、複数の意味を持つものも。利用するシーンに応じて、適切な使い分けができるよう、キャッチアップに務めましょう!