こんにちは。森下佳代子です。私は新卒で管理栄養士として入社した会社を5ヶ月で退職し、現在はストレッチ専門店のトレーナーとして2年ほど働いています。
前職ではパワハラを受けるなどとても辛い経験をしましたが、今は自分らしく働けていて毎日が楽しいです。
今回は私の転職体験談をご紹介します。
新卒で大手委託給食会社に就職
私は大学在学中に管理栄養士の資格を取得して、卒業後に大手の委託給食会社に就職しました。給食と聞けばイメージができるかもしれないですが、具体的には学校や病院、会社などから委託を受けて毎日の給食を作る仕事です。
私が給食会社に就職した理由は、病院給食を作りたかったからです。将来的には管理栄養士として病院給食のメニューを考案する仕事をしたかったのですが、まずは現場を知らなければと考え、就職活動では委託給食会社を中心に探していました。
病院給食を作りたくなったきっかけは祖母が入院したときにありました。お見舞いに行くと「病院給食が全然おいしくない」と話しているのを聞き、すごくもどかしい気持ちになったことを覚えています。ご飯は人間の3大欲求の1つで入院していたら食べることは特に楽しみの1つなのに…と思い、そこから病院のご飯をおいしくしたい!という思いで管理栄養士を目指そうと考えました。
就職活動は基本的に委託会社に絞り、10社ほど選考を受けました。その中でもこの大手委託給食会社は規模が大きくさまざまな現場を持っている点や、説明会で接する社員の方の人柄や雰囲気に惹かれ、この会社にしようと直感で決めました。
ヘルス部門として老人ホームに配属
無事に内定をもらい、入社直前はバタバタの日々でした。配属先に関しては、希望は聞いてもらえるのですが基本的には会社が決めることになっており、人手不足の施設に派遣される傾向があります。
私はヘルス部門を希望していたため、老人ホームか病院かという選択になり、老人ホームへの配属が決まりました。
4月入社だったのですが、会社から配属先を伝えられたのが2月末で、場所は静岡県でした。私は岐阜県に住んでいたのでとても通える距離ではなく、3月は家を借りるなど1人暮らしの準備でバタバタになってしまい、泣く泣く卒業旅行をキャンセルしました。
なんとか引越しを済ませ、4月からさっそく現場に配属されることとなりました。
上司からの陰湿なパワハラに悩む毎日
配属先は電車も通らない静岡の田舎だったため、友達も近くにおらずとても孤独でした。しかし、入社当初は先輩も上司も温かく迎えてくれました。同期にも月に数回の研修のときに会えたため近況報告をしあうことができ、これから楽しくやっていけそうだなと感じていました。
しかし、そう思えたのは最初の1、2ヶ月だけでした。
仕事を始めて3ヶ月が過ぎたあたりから上司の対応がきつくなり始めました。今振り返ると、きっと上司が期待していた分の仕事ができていなかったのだと思います。もともと人手が少ない職場だったので自分で考えてやらなければならないことも多く、毎日必死に働いていたのですが、それでもミスをしてしまう日もありました。
そうしていくうちにだんだんと上司の私への態度が冷たくなっていきます。挨拶をしても無視され、目も合わせてもらえなくなり、注意も直接されず先輩を経由してくるなど、あからさまに私を避けるようになりました。
また、それだけでなく一緒に働いている周りの方に私の悪口を言って回っているのも知って、どんどん働くことが辛くなっていきました。
休みの度に実家に帰る日々を過ごす
3ヶ月目からそのような扱いを毎日受けるようになり、仕事でも余計にミスをしてしまうようになりました。萎縮してしまっていたのもあると思います。
さらに友人もいない田舎に1人だったので気晴らしもできず、休みの日には毎回、岐阜の実家に帰っていました。車で2時間ほどの距離なので遠すぎるというわけでもなかったのですが、今思えば休みの度によく帰っていたなと思います(笑)
帰る度に親に悩みを聞いてもらっていたのですが、あるとき「自分でできる限りのことはやったのか」と問われました。明確に答えることができなかったので、まだやれることがあるかもしれないと職場に戻ってからはやり方を変えてみたり、頑張ってコミュニケーションを取ろうとしてみたりと自分ができる最大限のことをやりました。
仕事は定められた時間に決められたご飯を作るというある程度ルーティンがあり、メニューは日によって変わりますが基本的には作業は同じです。私はそのルーティン作業が苦手でした。
どれだけ一生懸命やってもどこかで凡ミスをしてしまい、その度に上司に陰口を言われる。そんな毎日の繰り返しでした。上司だけでなく、仕事も合わないかもしれない。そう思った私の精神状態は4ヶ月目で限界を迎えました。
母親からのひとことで転職を決意
慣れない土地で生活しながら、上司に嫌がらせをされて仕事をするということは本当に苦しかったです。自分なりにできる限りのことをした。それでも報われることはありませんでした。
あるとき、泣きながら母に電話をしました。母も私の精神状態が限界に近づいていることを察してくれたのか「本当に辛かったら帰ってきていいよ。またこっちで新しい仕事を探せばいい」と声をかけてくれました。
その一言に私はとても救われました。本当は転職をしたかったんだと思います。やれるだけの努力をして、それでもダメだった。入社したばかりで転職することに少し抵抗はあったけれど、それでもこのまま潰れてしまうよりは転職した方が絶対にいい。
そう考えた私は転職活動をすることを決意しました。
休みの合間に実家に帰り転職活動
転職活動は6月頃から始めました。まだ会社には在籍していたので休みの日に実家に帰ったついでに選考を受けるようにしていました。
転職サイトはリクナビネクストやDODAなど、CMで見たことがある大手求人サイトに登録しました。
また、転職活動をするにあたって「自分は何をしたいのか?」を徹底的に掘り下げました。
委託給食の仕事が向いていないと思ったときに、管理栄養士として働く目的を見失ってしまったため、次の仕事は管理栄養士から離れようと考えました。
学生時代は管理栄養士という枠でしか探していなかったのでこれをきっかけに違う世界を見てみたいと考えるようになりました。
そして、最終的には体を動かしながら健康に関われる仕事がしたいという結論になり、インストラクターなどの求人を中心にみるようにしました。かなり職種も限られていたのでとにかく求人を見て情報を得るようにしていました。
その中から4社ほど説明会の予約をし、1社のみ選考を受けることにしました。この会社はストレッチ専門店を運営していて、ストレッチインストラクターを募集していたため「まさに自分のやりたいことだ」と感じたからです。
当時はとにかく転職したい気持ちが強かったので、このストレッチ専門店の面接を受け内定をいただいた後、即入社することを決めました。
こうして私は前職の委託給食会社を5ヶ月で退職し、10月からはストレッチトレーナーとして新たに仕事を始めました。
ストレッチトレーナーになって人生が変わった
転職したい一心で他の企業の選考を受けずに入社を決めましたが、転職して本当に良かったと感じています。転職前に今後どんな仕事をしたいかを掘り下げたことで入社後のギャップを感じることもありませんでした。
入社して2年が経ちますが「体を動かしてお客様の健康をサポートする」という転職活動の当初にやりたかったことが実現できていると感じています。
労働時間は長くなりましたし福利厚生も前職の方がよかった部分もあるのですが、それでも構わないと思えるほど今の仕事が好きです。
また、何よりも社長の考え方がとても好きです。今の会社では定期的に研修があるのですが、そのときに社長の考え方やお客様に対する思いなどを聞くことができ、その思いにとても共感しました。
その思いを聞くことで働く意義をさらに見出せるようになり、前職で働いていたときとは別人なのではないかと思うほど楽しく働けています。
独立を視野に入れて働いていきたい
この会社で役職を目指していくことも考えていますが、今は独立をしたいという気持ちも強いです。
私は将来、家庭を持ったときに時間もお金も心も自立した女性になりたいと考えていて、そういった女性が増えていけるようにサポートをしたいと考えています。今は労働時間も少し長いですが、将来的には時間にとらわれずに働けるようになりたいです。
そのために今は少しずつ副業を始めています。内容としては管理栄養士の資格を生かしてパーソナルジムの専属栄養士として栄養指導を行ったり、ライターとして栄養に関するコラム記事の執筆をしたりしています。
管理栄養士としての経験を副業という形で活かすことができとてもうれしいです。
将来的には管理栄養士のスキルを活かした内面のサポートや、ストレッチトレーナーのスキルを活かした外面のサポートなどを行う体のスペシャリストとして、私にしかできないことをしていくことが目標です。
うまくいかないときは自分の心と向き合うのが大切
私は転職という一歩を踏み出したことで人生が大きく好転しました。転職前は上司からのパワハラが本当に辛かったですが、今では過去のパワハラに対して感謝できるほどになりました(笑)
早期離職に関してはネガティブに捉えられがちですが、心がやられてしまう前に逃げることも大切だったと自分の経験を通じて感じています。
ただ、転職は人のせいにしてはいけないと思いました。私自身も転職前は視野が狭く、上司の悪口を母や友達に溢してしまっていました。ただ、上司のせいにしていても何もいいことはなく負のループに陥ってしまうだけでした。
結局なぜうまくいかないのかを考えたときに、自分がその仕事に向いていないということが一番の理由だったと気付き、自分を掘り下げることで前向きな転職活動を行うことができました。
何かにつまずいたときは改めて自分を見つめ直す時間を作ることが大切だと感じています。
この記事が悩みを抱えている方の支えになれたらうれしいです。
取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー)
編集:chewy編集部 はら