こんにちは。私はアパレル店員からキャリアをスタート、その後営業職を経て、社会福祉士に転身し、現在は介護施設で管理職も担っています。
介護の道に進んでからは尊敬する方との出会いがあり、現在ではその方と肩を並べて一緒に働けるまでになりました。
今回は私のこれまでの転職にまつわる体験談をご紹介します。
高校卒業後はアパレル店員として働く
私はいきなり福祉の仕事を始めたわけではなく、少し特殊なキャリアを歩んできました。地元長崎の高校を卒業した後は、福岡のアパレルショップの販売員として就職をしました。
もともと洋服が好きでDJとしても活動をしていた私は、クラブの知り合いの紹介でアパレルの世界に飛び込み、バイヤーなどアパレルに関するさまざまな仕事を経験しました。しかし、9年目になる頃、転機が訪れました。
祖母の介護をきっかけに福祉に興味を持つ
アパレルショップが地元の長崎に出店するという話になり、私は副店長に抜擢され転勤という形で里帰りをすることになりました。
一度実家に戻ることになったのですが、ちょうどそのタイミングで祖母が認知症になったと知らされます。当時両親は仕事が忙しく、とても介護ができる状態ではなかったため私が介護をすることに。
最初のうちはなんとか仕事と介護を両立させていたのですが、だんだんと介護にかかる時間が長くなり、両立が難しくなっていきました。最終的に長崎に戻ってきてから3年ほどで、アパレルの仕事を退職することに。
アパレル店員から介護の世界に飛び込む
アパレルの仕事を退職した理由として、もう一つ理由がありました。
それは、祖母の介護を通じて「介護を仕事にしたい」と思うようになったからです。
アパレルの会社を退職後、さっそく地元のハローワークを利用して介護や福祉の求人を探しました。
そこで見つけたのが福祉用具の営業の求人です。当時はまだ介護士の資格などを持っていなかったことと、人と話すのが好きだったので、まずは営業として介護事業に関わっていこうと考え入社を決めました。
仕事の内容としては居宅介護支援事業所という介護施設に対して介護ベッドや車椅子などのレンタル、ポータブルトイレや入浴用品などの売り込みを行うものでした。
新商品が出たときにはデモ機を持参してプレゼンをすることも。商品を紹介するのも大事でしたが、何より毎月事業所へ顔を出して信頼関係を構築することを大切にしていました。
アパレル販売員のときに接客をしていた経験も活かされ、私は多くの介護施設から信頼されるようになっていました。
営業として働きながら通信制の大学に通う
営業の仕事を5年ほどしていく中で、営業先で出会った社会福祉士の方の仕事ぶりや介護に対する考え方に憧れを抱くようになり、自分も社会福祉士になりたいと考えるようになりました。
調べていくと通信制の大学があると知り、迷わず入学。営業の仕事と学業を両立しながら4年間通い、無事に社会福祉士の資格を取得しました。
国家試験に合格し社会福祉士の道へ
国家資格を取得後、もともと営業マンとして働いていたときの得意先に、社会福祉士の資格を取得した話をする機会がありました。すると「うちで働かないか」と声をかけてくださり、希望していた社会福祉士として転職を果たすことができました。そこは全国的にも有名な医療機関で、長崎で勤めるならここしかないと思ったため迷わず入社を決めました。
当時、第一希望であった転職先の相手から声をかけてもらえたことはとても運が良かったと思っています。こうしてアパレル店員、福祉系メーカーの営業職の仕事を経て、社会福祉士としての仕事をスタートしました。
尊敬する社会福祉士からのヘッドハンティング
医療機関での仕事はとてもやりがいを持って働いていたのですが、不満がないわけではありませんでした。
例えばお休みです。週休2日はあると言われていたのですが、医療機関からの指令で障害者に対してのボランティアに参加しなければならないことが多く、実質月に6日、ときには4日しか休みが取れないことも珍しくはありませんでした。
もちろん、障害者の方の生活を直に知ることができて学べることもとても多かったのですが、ボランティアなので報酬もほとんど出ず、休みが削られることにストレスを感じることもありました。
また上司がとても厳しく、今振り返るとパワハラといっても過言ではないほどの罵声を浴びることもありました。
医療機関は患者第一なので、自分本位の行動をしてしまうとすごく詰められてしまうことも。もちろん当たり前のことなのですが、怒り方が強かったためどうしても萎縮してしまうときもありました。
ただ、転職をしたいと思うほどの大きな不満があったわけではなく、やりがいを持って働けていたのは間違いないです。しかし、1本の電話を受けたことで人生が再び大きく変わりました。
それは営業マン時代にとても尊敬していた社会福祉士の方からでした。
その方とは仕事を通じて関係が深まり、プライベートでも年に1度は集まって話をするような仲になっていました。
医療機関に勤めてから5年が経つ頃、いきなりその方から「一緒に仕事しない?」と電話がかかってきたのです。何の前触れもなくいきなりそう言われたので当時は本当に驚きました(笑)
ずっと憧れの存在であった方に誘ってもらえたことはうれしかったのですが、即答はできませんでした。それは、条件面や仕事の環境などはもちろん、何よりどうして私に声をかけてくれたのかが気になっていたからです。
その方に尋ねてみると、「医療機関で培ってきたノウハウを介護施設に持ってきて欲しい。一緒に今の施設のシステム変革をやって欲しい」と返事が返ってきました。この言葉を聞いたときに、私のスキルや人間性を認めてくれているからこそ声をかけてくれたのだと感じ、とてもうれしい気持ちになりました。
また、医療機関では管理職の補佐になっていたのですが、介護施設では管理職として入社して欲しいといってくださいました。給料も年収でいうと100万円ほど上がることになります。まさにステップアップとしての転職ができると感じました。
私にそんな大役が務まるのか…と最初は悩むこともありましたが、尊敬できる方が私のことを必要としてくれて、一緒に働ける。そしてキャリアアップにもつながる。これ以上ないチャンスに私の心は突き動かされ、転職を決意しました。
引き止めにあいつつも無事に退職
転職することを決めた後はすぐに医療機関に退職を伝えたのですが、思った以上に引き止めにあいました(笑)
伝えた後はほぼ毎日いろんな方に呼び出され、叱咤激励を受けたり「今辞めるのはもったいない」と言われたりするなどさまざまな引き止めの言葉を受けました。
ついには院長や理事長にも呼び出されましたが、私は退職を伝える時点で心を決めていたため、説得には一切応じる気はありませんでした。
むしろいろいろな質問に答えるうちに、やっぱり自分は転職したいのだなという気持ちがより高まっていきました。
最終的には自分は今後病院ではなくて介護施設の方で働いていきたいと説得して転職を認めてもらうことができました。
医療機関を経て介護施設の職員へ
今の介護施設では2020年の2月から働き始めました。職種としては同じ社会福祉士なのですが、医療機関から介護施設へと勤務する場所が変わったことで、環境も大きく変わりました。
最初のうちは正直戸惑いも大きかったです。というのも医療機関ではIT化やマニュアル化されていたことが介護施設では整っておらず、良くも悪くも取り決めがされていなかったからです。
尊敬する社会福祉士の方が私を必要としてくれたのは、この環境を改善して欲しかったからなのだろうと悟りました(笑)
そこで、まず私はマニュアルなどの作成を担当することに。マニュアル以外にも施設で働く各職種のメンバーが専門性を発揮できるような評価シートを作ったりなど社内体制を整えるための環境づくりに務めました。
自分たちのいる部署だけでなくチーム全体が働きやすい環境を作ることを目指して半年ほどやってきましたが、今では少しずつ形にできてきたと感じています。
転職してオンオフがしっかりできるようになった
一見忙しくなったようにも感じると思うのですが、実際には1日8時間労働でほとんど残業はありません。月に10日は必ず休みがあるため、前職のように休みを返上してボランティアに行くこともなくなりました。
少し余裕を持って休みを取れるようになって、仕事とプライベートはちゃんと分けるべきだと実感しています。医療機関にいた頃は休日も少なく、常に仕事のことを考えていました。
いってしまえば常に電源が入っているパソコンのような状態でした。途中で充電切れ状態になってしまうことも多く、いいパフォーマンスが発揮できていなかったと感じています。今はしっかりと休めているので、休日の夜には「よし、明日から仕事を頑張るぞ」と毎回気持ちを切り替えることができています。
そういった点も含めて前職よりも働きやすさを感じています。
地域に根ざした施設運営をしたい
医療機関では地域の市役所とタイアップしてイベントを開催したりしていたのですが、介護施設ではよりローカルで地域に根ざした施設運営をしたいと思っています。
今はコロナウイルスの影響もあり、動けていない状況なのですが、もっと地域との関わりの強い施設にしていきたいと思っています。例えば地域の高齢者が気軽に集まってみんなで体操をするようなイベントを開いて、元気な方を増やしていくということをしていきたいです。
そうやって地域の人が施設に来て、元気になって帰ってもらうためには、職員みんなが仕事にやりがいを持って元気に働いていることが重要だと思っています。社内的な面でも職員のモチベーションを上げて専門性を発揮していける環境、仕組み作りをしていくことが今後の目標です。
自分に自信を持って決めた道を進む
「一緒に働かないか」と声をかけていただいたとき、正直自分に務まるのかとすごく悩みました。ですが、6年間社会福祉士として働いて自信も持っていましたし、自分のスキルを試してみたいという気持ちもあったのでその環境に飛び込むことができました。
これまでの仕事は決して無駄になることはないですし、チャンスがきたと思ったら自分の力を信じて行動してみることが成長にもつながると思います。
また、自分で決めた転職ならば、前をむいてやっていけるように努力することが大切だと感じました。
転職は一か八かという側面もあるので前の職場の方が良かったと思うこともありますし、友人の中には実際にその理由で辞めてしまう人もいました。
しかし、自分で見切りをつけてしまうとそこで終わってしまい、転職を繰り返してしまうリスクがあるのではないかと感じています。なので、自分に当てはまるようなシステムが今の会社にないのであれば、自分で作ってしまうくらいのモチベーションを持つことが大切だと私は思っています。
もし転職のチャンスを掴みかけている方がいたら、ぜひ前向きな気持ちで自分を信じてチャレンジしていただければ幸いです。
取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー)
編集:chewy編集部 はら