確かなプログラミングを学ぶなら>

「会社の不満はなかった」化粧品メーカーの営業からインサイドセールスに転職した理由

こんにちは。私は2018年の4月に新卒入社をした美容関連商社の仕事を約2年で退職しました。コロナウイルスの影響が日本にも出始めているなかでの転職活動でしたが、無事に内定をいただき8月からは新しい仕事の一歩を踏み出す予定です。

今回は、そんなコロナ禍での私の転職体験談をお話しします。市場的に厳しい状況でも転職をしたいと考えている方のなにかのきっかけになれたら幸いです。

まずは営業職をやると決めて入った1社目の会社

私は大学を卒業後、美容関連商社に営業職として入社をしました。美容機器事業部に配属され、主にエステサロンに業務用の美容機器の販売をしていました。

就職の決め手となったのは、ともかく営業という仕事をやりたかった、ということに尽きます。業界を問わず、内定が出たらどこでも行こうと考えていました。15社くらい面接を受けて、内定をいくつかいただき、そのなかで自分が挑戦できそうだと思ったところに決めました。

営業の重要性を意識したきっかけ

就活の中で、リクルートのエージェントさんと面談する機会がありました。その時、こんなたとえ話をうかがったんです。

「仮に、ある会社で社長以外を全員クビにしなきゃいけなくなったとしますよね。その時、1人だけ残すとしたら、誰を残すかわかります?」

私はその時はわからなかったんですけど、答えは営業でした。社長以外でもうひとり残すとしたら、残るのは営業。つまり、会社にとって「ものを売る」というのは、根幹に関わることなんです。それと同時に、営業は片手間ではできないということもあります。経理やマーケティングも重要なんだけれども、たった1人残すとしたら、営業だ、と。その言葉が強烈に胸に残りました。

企業の本質でもある営業という仕事は、物を売るという、シンプルでもあり最も難しいといえるスキルが必要です。ただ、いったんそのスキルを身につけてしまえば、どの会社でも使えるものですよね。そう思って、まずは営業職として最初のキャリアを築いていこうと決意しました。就職活動は営業職一本に絞ることに決めたんです。

もう1つ、意識していたのは、若いうちから裁量を持ってバリバリと働ける環境に身をおきたいということでした。大手企業よりは、小規模のベンチャー企業の方が私の希望にかなうだろう、そう思って、ベンチャーを中心に探しました。

結果的に15社くらい応募をし、どの会社もここで働いてみたい!と思える会社だったのですが、なかでも印象に残ったのが美容関連商社でした。

その会社が挑戦できる環境だと感じられたのは、4回の面接を通してです。2次面接からは社長面接となり、3次面接では先輩従業員と話す機会もありました。その時、風通しの良さそうな会社だということを感じました。

製品が売れない。美容業界の厳しさを経験し考え始める次のキャリア

入社後、営業部に配属になってからは、とにかく営業という仕事にひたむきに取り組みました。その結果、新卒2年目で営業のトップになっていました。1日のスケジュールはほぼ商談で埋まり、社内にいることはほとんどなく、毎日いろいろな場所を駆け回っていました。

ところが2019年の8月ごろから、一気に商談がうまくいかなくなりました。私だけが結果を出せなくなったのではなく、会社全体で結果が出せないという状況でした。

これまで順調に販売できていた美容機器が売れなくなり、商談すら組めないということも増えていきました。理由としては脱毛機器や美顔器などは比較的参入しやすく、さまざまな会社がこぞって新製品を出しています。まさにレッドオーシャンだったのです。

そういった状況を受けて、この業界で仕事をしていくことの難しさを感じるようになりました。個人の営業成績こそトップであったものの、業界全体の将来性を考えると、このまま同じ仕事を続けても生き残っていけるのか?と疑問を感じはじめたのです。

もともと美容業界に熱い想いがあったわけではなく、キャリアを積んで3年ぐらいで離職するつもりではいました。まだ入社後、1年半に満たなかったのですが、転職のタイミングなのではないかと感じるようになりました。そこで大手転職エージェントであるリクルートエージェントに登録し、面談だけでも受けてみようと考えたのです。

ところが実際には忙しくて時間が取れず、登録はしたものの、面接にも行けない状況が続きました。会社の業績が落ち込んだとはいえ、商談をいくつも受け持っていたのでアポが入りすぎていて、有給を取れませんでした。

会社への不満はまったくなかった

転職活動をしようと決めた私でしたが、会社に対しての不満はまったくありませんでした。むしろ今でもとても感謝しています。

営業職であったものの残業も少なく、基本的には1日1時間くらいで帰れていました。給料に不満もないし昇給もしっかりありました。特に人間関係はみんな仲がよく円滑にコミュニケーションも取れて最高でした。

そんななかでも転職をしようと決めたのは、やはりもっと伸びている商材を扱ってさらにキャリアを高めていきたかったという気持ちが大きいです。

また、コロナウイルスの流行が広がり始めたころに『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(北野唯我著 ダイヤモンド社)を読んだこともひとつのきっかけになりました。コロナの影響で、さらに商談が減ったことで、転職の決意は決定的なものになりました。

コロナ禍での転職活動。オンラインを駆使して内定を勝ち取る

2020年4月上旬、緊急事態宣言を受け、会社ではテレワークが始まりました。それと並行して私も転職活動を本格的に開始しました。

リクルートエージェントでは面談のみ受けることにしました。プロのエージェントと面談して、自分の客観的な評価が得たかった、ということが大きいです。しかし、求人の選定にはエージェントは利用したくありませんでした。応募に際して自分の意向が伝わらないことがいやだったからです。

転職先を決めたのはWantedlyです。自分で応募できるし、ベンチャー企業の情報が豊富だったからです。私はずっと、今後伸びていくことが予測できるベンチャー企業に魅力を感じていました

Wantedly経由での面談は4月後半ごろから始まりました。すべてweb面談です。この時期に積極的に採用をしているところは不況下でも需要のある企業、今後も伸びていくところだろうと考えて、積極的に求人を出している企業に応募をしていきました。

そのなかで、新しい営業の形を示しているベンチャー企業を見つけました。web系の無形商材を扱っていて、インサイドセールスという新しい営業スタイルで事業を展開している企業です。

インサイドセールスというのは、webサイトなどを通じて見込み客を獲得し、電話やメール、web会議システムなどを駆使して見込み客に営業をかけるスタイルです。従来の営業、飛び込みで相手企業に訪問し、面談を重ねることで契約へとつなげていく方法とはまったく異なる営業手法です。

私はこれまで有形の美容商材の営業を行ってきたので、まったく違う商品の提案ができることに新鮮さを感じました。それと同時に、インサイドセールスという、より多くの企業にアプローチができる営業スタイルを学ぶことができるという点に、とても興味を持ちました

転職をしようと思っていた理由が、現職の業界の事業に将来性が感じられないことだったので、最終的には事業の将来性が決め手になりました。競合自体も少なくて、今後、テレワークが伸びていけばいくほど伸びていく事業内容に惹かれました。

web面接だったのですが、自由な服装で面接に参加されていて、画面を通してもゴリゴリのベンチャーという感じが伝わってきました。チャットワークを利用してチャットも行ったのですが、人事の方も絵文字を使ったり敬語になりすぎないなど、ラフな感じでやりとりをしてくれて、そういった面にも好印象を持ちました。

3度の面接を経て2020年6月10日に無事に内定をいただくことができたのですが、2020年8月の現在の時点で、まだ会社には行ったことがありません(笑)

内定が決まり、あとは現職に伝えるタイミングを伺っていました。

退職することを伝えたあとの会社の反応

前職は緊急事態宣言が明けてからすぐ出社だったので、6月に内定が出た段階で、会社に伝えました。入社して1年ちょっとで、社内の人間関係はとても良かったこともあり、伝えるときは気まずさはありました。ただ、自分の意思で決めたことは最後までやり遂げたいと思って勇気を出して伝えたところ、「止めたところで行く気なんだろ?」と言われ、引き止めというよりは確認のような形でした。役員面談もありましたが、慰留交渉もとくになく、円満に退社できました。結果的に応援してもらえる形で退職ができました

もともと前職は100人規模の小さな会社で、そのなかでも自分が異質な存在というのは感じていました。数字に貪欲だったり、上司にも引くことなく思うことを提案したりとか、仕事に対しての情熱は誰よりも高かったと思います。

仕事に対して前のめりな私だったので、この転職の話をある上司にしたとき「いつかもっと厳しい環境に行くんじゃないかと思ってた」と胸のうちを明かしてもらいました。そう感じながらも私のことを大事にしてくれた前職の方々には、本当に感謝しています。

上には上があることを実感

現在の会社は2020年8月に入社したばかりでまだ1ヶ月も経っていないのですが、とても刺激的な毎日を送っています。

週一で出社しているほか、基本的にはテレワークです。口頭であれば数秒でわかることがチャットをしなければならないという不便さはありますが、特に問題は感じていません。

前職ではアポ取りから商談まで一貫して行っていましたが、今の会社ではアポ取りと商談をするチームが完全に分けられていて、私はアポ取り専門として商談を獲得することだけを目的に業務をしています。これまでにない新しいやり方ですが、役割を完全に分業することで、私はアポ取りに専念することができ効率よく仕事ができていると感じます

前職で培ってきた経験はアポイント時のコミュニケーションに確実に活かされていますし、非常に有用であったと感じる一方で、上には上があるということをひしひしと感じています。

今の会社は新卒社員よりも中途社員の割合が高く、有名企業からベンチャー気質に引かれて転職してきた人も多くいます。なかには同い年でも、すでにいくつもの会社で営業経験を積んできた方もいます。経験してきた商談のレベルが違うので、私が経験してきた美容業界の商談は、むしろ非常に楽な世界だったのかもしれないとも感じています。

ですが、背中を押してもらって転職を決めた以上は、アポ獲得数や商談の決定率など、営業成績1位になることを目指していきます。それが当面の目標です。

転職は今後のキャリアを考える良いきっかけ

自分が退職することで会社に迷惑をかけてしまわないかとか、人手不足だから辞めにくいというような理由を抱えて転職しようか悩んでいる方も多いかもしれません。私も同じような悩みを抱え、出した結論は「自分がいなくても会社は変わらず回る」ということです。

これはあくまでも私の考えなのですが、3年に1度転職をすることで、自分の市場価値を知ることができると思っています。社会的に自分がどれくらいスキルがあるのかを客観的に見るには、転職は願ってもない機会だと思います

もちろん、今の会社で満足しているのであれば転職は必要ありませんし、そのままキャリアアップを目指してもいいと思います。ですが、転職をしたいという気持ちが少しでもあるなら、自分の気持ちと向き合って、納得いくまで転職活動をすることが大事だと自分の経験を通して感じています。

周りへの影響を一度取っ払って、自分が一番納得できる選択をぜひ考えていただけたら幸いです。

取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー
編集:chewy編集部 はら