こんにちは。私は高校を卒業してIT系の人材派遣会社で正社員として入社し、インフラエンジニアとして現場に配属されました。その後、24才で初めての転職をしました。
6年間同じ会社で働いての転職は不安に感じることもありましたが、今となっては踏み出してよかったと感じています。
今回はそんな私の転職体験談をご紹介します。
高卒で上京しITエンジニアに
私は九州出身で、工業高校の情報系の学科に通っていました。将来はエンジニアになりたいと考えていたので、卒業後はIT系の人材派遣会社にエンジニアとして就職しました。
高校時代の就職活動は毎年、選考の時期になると学校にどさっと求人票が送られてきて、成績のいい人から希望の仕事を選んでいくというものでした。
東京への憧れもあって就職をするなら九州を出て東京で暮らしてみたいと考えていたので、東京への勤務が可能な求人を探して応募をしました。
また、1人暮らしの余裕もなかったので社宅を持った企業を選んで選考を受けてみることに。
選考は東京ではなく九州で行なわれ、高校の授業がある中での就職活動もあってか1回の面接と一般常識のような簡易的なテストを1度受けるだけでした。
結果、無事に内定を頂き、私は慣れ親しんだ九州という土地を離れ、上京することとなりました。
配属された仕事は希望していたものではなかった
就職後はIT派遣企業の社員として別のエンジニアを必要とする会社に、SES(システムエンジニアリングサービス)という準委任契約をし出向するという働き方をしていました。
エンジニアの中でも基本的にネットワークの接続に関わるインフラエンジニアとして働き、主にサーバの保守をしていました。
サーバの保守は常にサーバを監視し、障害があった場合にはすぐに駆けつけ、手順にしたがって対応したり復旧作業を行なったりする仕事です。
実はこの「保守」は私自身が望んでやりたいと望んでいたものではありませんでした。
もともとプログラミングを書いたり、アプリケーションなどの開発したりする仕事がしたいと考えていたため、同じ「エンジニア」という職種でも業務内容は全く違います。
入社した4月から新人研修が始まった際、プログラミングの研修もありました。私はその中でも比較的プログラミングが得意な方だったので開発もできるのではないかという話もあったのですが、最終的にはヘルプデスクという、先ほどお伝えしたような保守の仕事から始めましょうということになりました。
開発を希望していたため正直複雑な心境でしたが、インフラ周りの知識はエンジニアをしていく上でも大事なものであり、業界的にも不足している状態だったので一度経験しておいた方がいいかもしれないと考えやってみることにしました。
変わらない現状に悩み始める
入社してからはずっと同じ部署でインフラエンジニアとして仕事をしてきましたが、5年目を迎えたあたりからずっとこのままインフラエンジニアとして定年まで働くのは無理だと考え始めていました。
理由はいくつかあります。1つめは夜勤です。インフラエンジニアの保守などの仕事は24時間でシステムを監視する必要があるため交代制で夜勤がありました。まだ年齢も若かったのでなんとかこなしていましたが、体内時計をコントロールするのがとても大変でした。
5年目からは日勤の仕事に変わったものの、体力的にどんどん辛くなっていくだろうと感じ始めていました。
2つ目は給料です。私は6年間同じ業種で仕事を続けましたが、給料はほとんど上がりませんでした。基本給は6年で月3万円増えたか増えていないかくらいだったのですが、途中から夜勤がなくなったため昇給したのに前よりも給料が低いということもありました。
周りの人に聞くと私の昇給や昇格は早い方で、6年目でそこまで上がるのはいいペースと言われていたのですが、あまり実感がありませんでした。
3つ目は部署異動が難しいことです。何年かインフラエンジニアとしての経験を積んだら、もともとやりたかった開発のできる部署に異動したいと思っていたのですが、とても叶いそうにありませんでした。
実際、6年間働いて周りを見ていても部署異動ができている人はほとんどおらず、もともとインフラエンジニアも不足していたため、異動願いを出しても「もう1年だけインフラエンジニアとしてやってくれないか」という話になることが大方予想できました。
このようなことが積み重なり、だんだん「このままこの会社にいて自分のやりたいことはできるのだろうか…」と悩み始めるようになっていました。
先輩に頼まれたことをやるだけの生活を変えるために転職を決意
夜勤から日勤に変わった後は、サーバの監視ではなく、構築というパソコン機器をインターネットや他のシステムにつなげるための設定をする仕事に変わりました。しかし私はこれまでサーバを触ったことがなかったので何をしていいのかわかりませんでした。
私の働き方は少し特殊で、複数の会社から集まった10名ほどでチームを組み、仕事をするスタイルでした。私の所属していた会社からは私ともう1人の上司が出向していました。
上司や社外の同じチームの方はとてもいい人たちでしたが、私の年齢が若くひと回り以上離れていたため互いに気を使ってしまい、特別仲がいいといったことはありませんでした。
仕事に関しても指示はくれますが、失敗へのフィードバックも特になかったため自分のしていることが正しいのかどうかもあまり実感が持てませんでした。
言われたことだけやるような生活が続き、自分のエンジニアとしての成長を感じられずにいました。自分から進んで勉強したいとも思うのですが、本当にやりたいことは開発だったためなかなか意欲も湧きません。
さまざまな葛藤を抱えて23歳になった頃です。私はサッカーをよくみるのですが、海外のチームに入団を希望する日本人は遅くともだいたい23歳から24歳くらいの年が多いということを知りました。
そして、私の好きだった選手がまだ実績もないのに海外に挑戦するといニュースを目にし、その選手が「今行かないとダメだから」という発言をしていて、その言葉が私に強く刺さりました。
文句ばっかり言っていても仕方がない。自分が動かないと何も変わらない。
そう強く感じた私は「転職しよう」と心に決めて、転職活動を始めることにしました。
2019年9月のことでした。
軸に悩んだ初めての転職活動
転職活動を始めると決断した私は、まず転職エージェントにいくつか登録をしました。5社ほどに登録をしたのですが実際に面談に行ったのは1社だけでした。
当初は12月までの退職を目指し、選考もいくつか受けていたのですが10月を過ぎた頃から仕事がかなり忙しくなり、転職活動ができなくなってしまいました。
そのうち年も明けてしまい、このままではまずいと感じたため、転職活動は退職をしてから始めようと考えました。2020年の3月末で会社を退職する旨を伝え、4月から転職活動を再開。
転職活動は在籍中にした方がいいとよく言われていますが、私の場合は時間が取れずどうしても難しかったため退職してから活動した方がやりやすかったです。
決まらなかったらどうしようという不安も特にありませんでしたし、最悪アルバイトで食いつなげればいいやと思っていたので(笑)
それより落ち着いて転職活動をできる環境を作ることが大事だと考えました。
転職活動の軸としてはやはり開発の業務をやりたかったのでアプリ開発などの事業を行なっている仕事を探すことに。
業務としては未経験ではあったものの、前職でインフラエンジニアをやりながら独学で開発の言語を勉強し、アプリを作っていたので最低限の知識はありました。
エージェントの方とも再び面談をしたのですが、紹介してくれる案件がインフラ系ばかりだったのであまり受けようと思える企業がありませんでした。
なかなか自分の望んだ企業と出会えず、悩みながら転職サイトをまわっていたところ、PHIZAという転職サイトを見つけました。
この転職サイトはエンジニアに特化したサイトで、プログラミングの試験が受験でき、その結果によって面接に通過しやすくなったり自分のスキルを証明できたりするというものでした。
それらの転職サイトを活用してアプリ開発をしている企業に応募し、実際に2社から内定をもらうことができました。
高給をとるのか自分のやりたいことをとるか
2社から内定をもらいましたが、私はどうしようかとかなり悩みました。
1社はアプリ開発は行なっていたものの、1~2年はインフラエンジニアとして働いてくれないかと言われていました。給料は高いのですが、ここでインフラエンジニアとして働いてしまうと人手などの関係でまたいつアプリ開発の仕事に移れるのかわからないのが懸念点でした。
2社目の方はRubyというプログラミング言語を使った開発とインフラエンジニアとしての仕事を兼任できるものでした。2社目は規模もそこまで大きくはないベンチャー企業で「社内にインフラのエンジニアがいないから知恵を貸して欲しい」とお言葉をいただきました。
ただ給料は1社目の方がよく、少ない給料で1からアプリ開発をやるのか、インフラエンジニアとして高給をとるのか…。最後まで悩みましたが、死ぬ間際に開発をやってみたかったと後悔するのは一番嫌だなと考え、最終的には2社目の企業からの内定を承諾しました。
入社に向けて感じていること
まだ入社日を迎えておらず、新しい職場への準備をしているところなのですが、楽しみにしている部分もあれば不安に思うこともあります。
アプリ開発は個人的に作っていたため自由にできていたのですが、会社で作る場合、コードの書き方など最低限のルールもあります。また、インフラ系の仕事に関しても、クラウド系サーバを扱うことになるので、これまで自分が経験したことがない業務もあります。その管理を自分が中心となってうまくやっていけるだろうかと感じている部分もゼロではありません。
ただ、これまではルーティンワークをひたすらこなす仕事でしたが、次の会社は社員数も少ない分自分の仕事ぶりが会社に大きく影響するため責任も違います。
もうやらなければいけない状況に身を置けるので、きっと成長できると信じています。不安よりもその楽しみが大きいかもしれません。
この会社でアプリ開発者として知識を蓄えつつ、インフラエンジニアとしての技術も伸ばし、インフラ周りも開発周りもどちらもできるエンジニアを目指したいと思っています。
さらにその知識を持って企画の部分から関わるなど、将来的にどの企業にいても重宝されるエンジニアになることが今後の目標です。
軸を決めて行動する大切さ
初めての転職を振り返ると、手際が悪くなってしまったなと感じているのが本音です。
インフラエンジニアとしての転職か開発エンジニアとしての未経験からの転職かと最後まで迷ってしまったことで軸がブレてしまった結果、少し遠回りをする転職活動となってしまいました。
今となっては給料か自分のやりたいことかどちらが大事なのか、もっと掘り下げた上で転職活動をするべきだったと反省しています。
なるべく自分の軸や優先順位をしっかり考えた上で始めることが大切だと学びました。
今転職しようか迷っている方はエージェントに登録して話だけでも聞きに行くといいかも知れません。エージェントと話をすると自分のことを掘り下げられ、社会的な立ち位置もわかるようになります。
私自身も社内にいるとその中でしか自分の市場価値を測れずにいましたが、エージェントと話すことで知ることができ、その後の転職活動の道標にもなりました。
この記事を読んでくれた方に何か届けれられるものがあれば幸いです。
インタビューイ: 植田
取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー)
編集:chewy編集部 はら