こんにちは。私は新卒で入社した会社を2年で退職したあと、リゾートバイトでの仕事を経て東京のIT企業へと転職をしました。さまざまな仕事を経験したことで自分が大事にしたいことや、どうなっていきたいのかを少しずつ考えていけるようになりました。
今回はそんな私の転職体験談をご紹介します。
新卒で地方の印刷会社に就職
私は2016年に大学を卒業したあと、印刷会社に営業職として就職をしました。
その後、約2年勤めることになった会社を選んだのには、深い理由があったわけではありません。北陸に生まれ育ち、石川県の大学を卒業し、生まれ育った場所を離れるのがなんとなく嫌だったという気持ちがありました。就職で都会生活をすることにもあまり魅力を感じなかったので、北陸地方を中心に就職活動を行いました。
就職をするなら出版や広告に関わる企業がいいかな、と思い印刷業や出版社に絞って就活しました。ところが地方ということで、企業自体も限られており、早く就活を終わらせたい、という気持ちもあって、内定が出た会社で「まあいいや」程度の気持ちで入社を決めました。
ブラック気質の強さに体調を崩しかけ2年で退職
しっかりした志望動機もないまま会社を決めてしまったことが災いしたのか、入社した会社は、正直、ブラック企業としか言いようのない会社でした。
まず、異様に拘束時間が長いのです。毎日2時間から5時間ほど残業があり、繁忙期のときは日付を超えることも普通にありました。しかも営業は総合職として多めに給料が設定されているからという理由で、残業代は一切出ません。内勤や制作などの部署は、毎日深夜2時まで残業するというような状態でした。
同族経営で古い体質の、まさにワンマン経営の会社でした。仕事に対する評価が上司の個人的な理由で決められ、平均年齢が高め、仕事に見合った給料が出ないことから、20代の同僚は次々に辞めていきます。私の4人の同期も、私だけを残して全員が退職してしまいました。
なぜそんな会社を辞めなかったのかというと、あまりに疲れていたからとしか言いようがありません。転職活動にはエネルギーがいるし、有休なんてとんでもない、という会社です。私の中には転職活動をするようなエネルギーは残っていなかったのです。
そんな中、その会社を辞めようと決意したのは、やはり自分の体調が原因でした。私の場合は、担当エリアが隣の県だったため、毎日、高速を使って車で営業先を回っていました。長時間労働で寝不足のなか、長い距離を運転する毎日を繰り返していると、居眠り運転をしかけるようなことがたびたびあったのです。これでは間違いなく体を壊す、と悟って、辞職の決意を固めました。
退職を申し出たところ、直属の上司はすんなりと受け入れてくれました。しかし役員の方からは「考え直してみませんか」と毎日面談を受けるなど、スムーズにはいきませんでした。それでも、なんとか説得して、退職を認めてもらうことができました。
退職後、リゾートバイトで沖縄へ
2018年に仕事を辞めて、最初に考えたのは「1年間はフラフラしよう」ということでした。
最初にしたのは海外旅行です。若くて、まとまった時間のある今しか行けないと思って、友だちと一緒に3週間くらい、南米に行きました。世界の絶景と呼ばれるウユニ塩湖で見た景色は、生涯忘れることはないだろうと思えるほどの良い思い出となりました。最後の方は、高地でもあり、水も合わず、友だちと私は体調を崩してしまい、悲惨なことになってしまったのですが、大変楽しい旅行でした。
帰国して考えたのは、海外はもう十分だから、日本のきれいなところに行こうということでした。私は雪の多い地方の出身です。前の会社では、車が立往生するほどの豪雪にもかかわらず、会社から呼び出しをくらって2時間歩いて出勤し、雪かきをして帰ってくる、みたいな経験もしていました。暖かい地方や沖縄にあこがれる気持ちが強くありました。
そこで、観光地で暮らしながら働けるリゾートバイトに興味を持つようになりました。そんな時、沖縄の西表島のホテルの求人を見つけ、お試し移住という形で飛び込んでみることにしたのです。
半年間でさまざまな生き方があることを学んだ
リゾートバイトは西表島で3ヶ月、石垣島で3ヶ月行いました。
ホテルの仕事は初めてでしたが、正社員からアルバイトになった分、精神的にはとても楽になりました。ホテルのフロントとして、毎日のチェックイン・チェックアウトを管理する仕事は、1年先の結果を見据えながら常に数字を追いかけていた営業時代とくらべると、大変さがまるで違ったのです。
それ以上に現地で暮らしている人々と触れ合うのがとても新鮮でした。みんな仕事に追われて生きるのではなく、自由気ままに暮らしています。仕事漬けの日々を過ごしていた私にとっては、こんな生き方もあるのだ、と良い勉強になりました。
都会に出てみようと転職を決意
リゾートバイトの仕事は、私にとっては夢のような毎日でした。海が徒歩5分でいつでも行けて、毎日バーベキューをして…。地元ではできないような数多くの体験ができました。
しかし、合計6ヶ月の期間が終わり、私は更新をためらっていました。というのも、今のような生活をこのまま続けていくのは違うかもしれない、と感じるようになったからです。
仕事は楽しく、地元住民の方とのコミュニケーションも暖かいと感じていた一方で、地域ならではの狭いコミュニティに所属し続けることの窮屈さを感じていた面もありました。
このままここにいて良いものだろうか、と、先のことをいろいろ考えていたときに、ふと「そういえばまだ都会で暮らしたことがないな」と思いました。一度経験として東京で生活するのもいいかもしれない、と考えたのです。
転職先を決める前に上京
東京に出ることを決めた私は、転職先を決める前に上京しました。というのも、住居を移してからでないと転職活動もしにくいと考えたからです。
東京に住んでいた友人に相談したところ、ありがたいことにアパート探しから内見まですべて代行してくれました。そのおかげで私は2019年の1月から、東京に住み始めることになりました。そこから転職活動を始めたのです。
転職活動では大手を含め、3つほど転職アプリを使っていました。そのうち、「ポーラーベアーメソッド」というところから連絡がきたので、転職エージェントの面談を受けることにしました。
ポーラーベアーメソッドというのは、規模の小さいエージェントでしたが、ベンチャー企業を中心に紹介してくれるところでした。面談してくれた方の対応がとても優しくて、この方達なら安心して相談できると感じました。
転職活動の軸としては、前職の経験を活かし、営業職を探しました。ただ、前職では有形商材を扱っていたので、今度は無形商材がいいなと考えていました。というのも、前職は自社に工場を持っていて、工場で時間を食われるという経験を繰り返していたからです。そこでWeb系、IT系の営業職を探し、エージェントの方にもその意向を伝えました。
ポーラーベアーメソッドさん経由で、履歴書を10社ほど出して5社ほどの企業と面接をしました。
そのなかでも一番興味があったのが、レストランなどのオンライン予約サービスを開発している企業です。
給料や福利厚生も充実していて、2度の面接のなかで社員の方々の雰囲気もとてもよかったのが印象的でした。ほかの会社からも内定は頂いていたのですが、この企業が一番条件に合っていると思い、入社を決めました。
働く環境は素晴らしい。でも東京の暮らしに馴染めない
今の会社には、2019年の2月の終わりごろ内定をもらい、3月の半ばごろに入社しました。新卒で入社した会社に比べるととても労働環境がよくなったと感じています。
残業代はしっかり付きますし、残業を強制するような文化もありません。また、以前の職場はマンパワーでとにかくなんでもやるという雰囲気が強かったのですが、今の職場は分業が進んでいるため、自分のするべき仕事がはっきりしており、仕事のしやすさも大きく改善できたと感じています。
新型コロナウイルスの影響で、緊急事態宣言中はリモートワークでした。今は出社とリモートワークが半々という形なのですが、大雪のときすら会社に来いといっていた前の会社だったら、絶対に出社させられていただろうなと思います(笑)。
仕事は充実しており、ストレスを感じることもない反面、東京の暮らしは自分に合わないということに気付き始めました。というのも東京の人の多さにどうしても馴染めないのです。
特に、地元にいたころは自動車文化だったので、現在の電車通勤がまったく慣れません。現状では出勤する日は時差出勤で、始業時間が選べます。それでもどの時間を選んでも、電車は混雑していて、満員電車のストレスを感じています。これが毎日になったら本当に苦しいだろうな、と今から不安です。
リゾートバイトで南の島にも滞在した経験のある私には、東京の環境にずっといることは無理だと感じています。
リゾート・都会暮らしを経験した次の目標
会社への不満はないのですが、東京の暮らしがどうしても合わないので、実はまた転職を考えています。
実際に東京で暮らしてみて、人の少ない、自然にもっとアクセスしやすいところで生活する方が、自分には合っていることを痛感しています。そこで今は、地域おこし協力隊などをやるのもいいなと考えています。
伊豆地方や四国、九州地方などで地域おこし協力隊を募集しているところがあるので、今の会社でもう少しWeb系のスキルを身につけて、今年の後半くらいには思い切って地方移住をしたいと考えています。
また少しずつですが、副業にも手を出そうとクラウドソーシングサービスにも登録しています。
しっかり仕事を始めたわけではなくて、どんな仕事があるのだろうという市場調査的な感じで眺めてはいるだけですが、いずれは地域で仕事をしながら副業でも収入を得られるようになれば、と考えています。
転職をすることで視野を大きく広げることができる
新卒で入社した会社を2年で退職し、以降はさまざまなことを経験した私ですが、行動を起こして良かったと感じています。
会社を辞めるということは、正直、ハードルが高くて躊躇することもありました。それでも、さまざまな経験をして当時を振り返ってみると、新卒のころの私は、そのとき、自分が関わっていた仕事の視点でしか、物事を見ることができなかったと思います。視野が狭かったんです。
人によっては「新卒で3年以内に辞めると履歴書に傷が付く」と考える人もいるかもしれません。それでも、周りの人でも20代半ばで2社目、3社目という人もいます。私自身も1年間フリーターのような生活をしていましたが、あまり大きな苦労をすることなく契約社員として戻ることができました。
新卒で働いていたときは「収入がなくなったらどうしよう」という不安でいっぱいでしたが、今はなんとかなるだろうと考えられるようになりました。そう思えるようになったのは、リゾートバイトで南の島で暮らして、「お金がないから海で魚を取るわ」と半自給自足の生活をする人たちと触れてきたからです。勇気を出して一歩を踏み出すことが、自分の成長のために大事なことだったと感じています。
もし今転職したいけど今の会社を辞めるのが怖いと思っている方がいたら、私の経験談を通して意外となんとかなる!と感じてもらえたら幸いです。
インタビューイ: TAKAHIRO
取材・執筆:渡辺健太郎(けんわた)(けんわた@美容とジェンダー)
編集:chewy編集部 はら