ベースアップとは『従業員の基本給を一律で上げること』
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ベースアップという言葉を聞いただけで、ついつい期待してしまいますよね。日常的にもよく使われる言葉で、毎年、新聞やテレビでも大々的に報道されています。でもベースアップの正しい意味と定義を知っていますか?制度が生まれた背景や役割も含めてくわしく解説していきます。
ベースアップの意味をチェック
ベースアップとは『従業員の基本給を一律で上げること』という意味です。『ベア』という略称で呼ばれることも多いので注意しましょう。このベースアップ、経営者と労働組合との交渉によってアップの率が決まるのが一般的です。
日本独自のベースアップが生まれた背景
ベースアップは定期昇給と並ぶ、日本独自の賃金のシステムです。1955年、日本で初めて春闘が行われました。
春闘とは賃金や労働条件について、経営者側と労働組合とが交渉する場です。この春闘を通じて、定期昇給とベースアップが一般化しました。
高度成長期という当時の経済状況と日本独自の年功序列によってまず定期昇給が定着。ベースアップは定期昇給以上に景気に左右されるため、まったくない時期が続くこともありました。
ベースアップの役割
ベースアップの大きな役割は2つあります。1つはインフレなどによる賃金の価値の変化への対応。もう1つは企業が上げた利益に対して、従業員に払われる賃金の額が少なかった場合の調整です。
しかし、ベースアップには明確な基準があるわけでも算定方法があるわけでもありません。あくまでも経営者側と労働組合との話し合いによって決定されるものです。
バブル期のような好調時にはベースアップの率が高くなり、不況が続くと、ベースアップそのものがなくなります。
ベースアップは今後どうなるか?
定期昇給もベースアップも日本独自のものです。
海外では成果に対して賃金を払うというのが一般的な考え方となっています。日本にも数多くの外資系企業が進出し、グローバル化が進む流れのなかで、日本独自の経済的な仕組みは時代にそぐわないものとなってきました。
定期昇給、終身雇用制、そしてベースアップ。これらが徐々になくなっていくのは時代の趨勢であり、ほぼ確実です。
現在は、ベースアップを期待するのではなく、自らの実力によって、収入アップを目指していく時代ともいえます。やりがいという点から考えるならば、この流れは歓迎すべきものといえそうです。
ベースアップの英語は『base up』
ベースアップの英語は『base up』です。ただし、あくまでも和製英語であるため、この意味で言葉が欧米で使われることはありません。使われるのはニュースなどの報道で日本独特のシステムとして報じられるときのみ。つまり固有名詞に近いニュアンスでの使用方法となります。
ただしこの『base up』、欧米では拠点、基地などの意味ではごく一般的に使われています。ちなみにbaseは基礎、根拠、土台、出発点、ふもとなどの意味があり、upは上のほうに、上がって、昇って、より高いところへ、といった意味があります。base upの使用例を見てみましょう。
日本では賃金の値上げを求める行動をベースアップと呼んでいます。
欧米での使用イメージは下記です。
私は西にある陸軍の基地と連絡をとった。
ベースアップと定期昇給の違い
ベースアップは、労働組合と経営者との交渉によってアップ率が決まるものです。この言葉と定期昇給という言葉を混同して使っている人もいるのではないでしょうか?
この2つの言葉は従業員の給与が上がるという点においては共通しています。しかしその意味はかなり異なります。
ベースアップは、『一律して基本給の水準がアップすること』です。しかし景気に左右されるために、ベースアップ・ゼロの年度がしばらく続くこともあります。
一方、定期昇給はそれぞれの企業の基準で、勤続年数や年齢に応じて一定の率で基本給を上げることを意味します。これまでは定期昇給を見込んでローンを組むなどのことも可能だったのですが、ベースアップも定期昇給も時代の流れの中で存在感をなくしてきているのも事実です。
ベースアップの使い方・例文
ベースアップの正確な意味、わかったでしょうか。実際のビジネスシーンでどのように使われているか、例文を見ていきましょう。
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暮らしを左右するベースアップの動向に注目
ベースアップという言葉の意味だけでなく、役割や背景も理解すると、また違った響き方となります。この言葉をきっかけにして、経済について勉強するのもいいでしょう。