多能工という言葉の意味とは?生まれた背景、メリットとデメリットを解説

多能工とは『複数の工程を行える作業者』

上司

これからの世の中、製造業だけじゃなくて、いろんな業種で多能工を取り入れる必要がある。我が社も取り入れる時期がやってきたんじゃないかな。
ふむふむ、多能工ね。僕みたいに才能ある多能工な人間をたくさんそろえる必要があるってことですね!

新人

上司

多能工の意味、まったく違う。君の自己評価もまったく違うよ!

多能工の意味を知っていますか。たった漢字三つだけのシンプルな言葉ですが、その意味は意外と知られていません。多能工には『複数の工程を行える作業者』という意味があります。

多能工の意味をチェック

多能工とは複数の技術を持っていて、一人で複数の作業の工程を行うことのできる作業者のことです。おもに製造業で取り入れられてきたのですが、人材不足が深刻化している近年、さまざまな業種で多能工を取り入れる動きが活発化しています。

多能工が生まれた背景

多能工は昭和の時代に、日本のある自動車会社によって導入されたのが最初とされています。その自動車会社の前身であった紡績会社では、一人の人間がごく当たり前に複数の作業にあたっており、複数の機械を操作していたことからヒントを得たといいます。

自動車工場では当初、一人の作業員は一つの工程、一つの機械の操作にしか関わっていませんでした。しかし紡績会社のやり方を取り入れることにより、作業効率が大幅にアップしたのです。その後、多くの会社が多能工を取り入れています。

多能工のメリット

多能工のメリットは大きくわけると、次の4つです。説明してきましょう。

1.仕事の量を調節して平準化できる

仕事の内容によっては忙しい時間帯の違うものがあります。手のあいた作業員を多忙なセクションをまわすことで作業が平準化し、その結果、従業員への負荷が少なくなる効果が期待できるのです。

2.業務内容への理解が深まる

一人の作業員が一つの工程だけをやり続けていると、その作業が全体の中でどのような役割を担っているのかが把握しづらくなるケースもあります。複数の作業を担当することによって、業務の流れ、全体像が見えてきて、業務内容への理解が深まるのです。

3.変化に対応しやすくなる

仕事の内容、作業工程はつねに一定ではありません。時代とともに変化するだけでなく、不測の事態が起こって新たな製造工程を構築しなければならないケースも出てきます。作業員が複数の技術を持っていれば、変化への柔軟な対応が可能になるでしょう。

4.個人個人の連携がスムーズになる

複数の工程を行うことによって、ほかの作業員との関わりが増えることになります。お互いの作業への理解も深まるので、より連携がとりやすくなり、組織全体としても結束力が高まることが期待できるのです。

多能工のデメリット

たくさんのメリットがある多能工ですが、デメリットもあります。大きくわけると次の3つです。

1.多能工の育成に時間とコストがかかる

複数の工程を担当することになると、当然、技術を習得するための時間もかかるでしょう。育成のコストも高くなることが予想されます。

2.現場での統制がとれなくなる危険性がある

一人の作業員が複数の作業を担当することになると、どの作業をやるべきかの判断が個々に委ねられるケースも出てきそうです。スムーズに回ればいいのですが、現場での的確な指示がないと、統制がとれなくなる危険性があります。

3.適正な評価が難しくなる

従業員が状況に応じて、複数の作業をやった場合に評価の仕方が難しくなるケースも考えられます。工程によって熟練度の必要性が変わったり、強度が違ったりするため、金銭的な評価も変わる可能性があるからです。

場合によっては従業員のモチベーションが下がる可能性もあるので、いかに適正な評価をするかが大きなポイントとなります。

多能工の英語は『Multi-skilled worker』

多能工の英語は『Multi-skilled worker』です。『Multi』は複数の、多くのという意味があり、『skilled』は熟練した、腕のいいなどの意味があります。また、『worker』は作業者、労働者、職人、職工といった意味です。

この3つの単語の合成語が『Multi-skilled worker』。日本語で呼ぶときは「マルチスキル」と略されることもあります。この言葉、英語ではどんな場面で使われているのか、みてみましょう。

例文1
He’s an excellent multi-skilled worker.
彼は優れた多能工
例文2
Much time is needed to bring up a multi-skilled worker.
多能工を育てるには多くの時間が必要だ

多能工と単能工の違い

多能工と一緒に使われることの多い言葉が単能工です。多能工が一人で複数の業務を行うのに対して、単能工は一つの業務だけを行う作業員のことで、多能工の対義語となります。

一つの作業だけをやり続けることは非効率となってしまう場合もありますが、特化した技術を習得したプロフェッショナルを生み出す可能性もあるのです。

多能工の使い方・例文

実際に多能工という言葉がどういう場面で使われるのか、見ていきましょう

例文

新人

多能工って、一人で複数の業務をこなせる作業員のことなんですね。よし、僕も多能工をめざすぞ!
キミの場合は多能工を目指す前に、まず一つのことを一人前にできるようにならないと、ダメだろう。

上司

新人

多能工への道のりは遠いのか!

[おまけ]多能工の導入例

多能工の導入例をいくつか紹介しておきましょう。

1つ目の例はある大手スーパーマーケット・チェーンです。当初、このスーパーでは担当する業務が細かく分かれていました。しかし惣菜コーナーの担当者ならば、惣菜を作る午前中に作業が集中しますが、レジ係は午前中は比較的時間の余裕があります。多能工を導入し、比較的忙しくない時間帯にお互いの業務を兼任してカバーすることによって、時間帯による忙しさの差を平準化することができました。

2つ目の例はあるホテルチェーンです。一人の従業員が時間帯によって、フロント、客室係、調理、接客などの複数の業務を担当することにしたのです。フロントならば忙しいのはチェックインとチェックアウトの時間帯。レストランならば、朝食と夕食時。多能工を進めることで、忙しさが平準化されました。また複数の業務を担当することで、それぞれの業務の難しさや苦労も共有できて、チームワークが高まる効果もあったのです。

多能工を目指すなら複数スキルの習得が必須

多能工の言葉の意味はわかりましたか?これからの時代、求められるのは複数の技術を持った多能工です。言葉の意味を知って正しく使うのみならず、将来のことを考えて、多能工をめざしてみてはどうでしょうか?