転職では職務経歴書が重要なカギを握っています。応募に当たって書類選考というハードルを乗り越える必要がありますが、その時に重要となるのが職務経歴書です。応募先企業に対して自分を「採用したい」と思わせるためのアピールのチャンスであり、最初の関門でもある書類選考。チャンスを掴むために必要な職務経歴書の書き方をチェックしてみましょう。
転職で必要になる職務経歴書とは?
就職活動で応募書類として基本となるのは履歴書ですが、社会人の経歴を持つ人が行う転職活動では、職務経歴書も必ず求められます。職務経歴書は転職者のこれまでの実績や経験を見るためのものです。採用にも関わるため、目的や書き方を知ることでもっと有利に転職をすすめましょう。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書と職務経歴書は、同じく応募書類として大切なものですが、確認できる内容や人事担当者が見たい点がまるで違います。履歴書は基本となるプロフィールの確認で使われ、学歴や職歴などの基礎データのチェックが主な目的です。また、通勤時間や給料の確認なども行われます。
一方、職務経歴書ではスキルや実績を詳しく伝えることが目的となり、求人の条件と合うか、自社で役立つ人材かを見るために使われます。履歴書だけではその人の表面的なプロフィールしか分からず、職歴に関しても勤務先など基本情報しか見えません。職務経歴書はそれをカバーして、自分の経歴をアピールするためにあります。
書き方に決まりはない
職務経歴書は、履歴書ほどの書き方の決まりはありません。一応ベースとなるフォーマットはありますが、数種類のタイプに分かれており、年代順にまとめてもキャリアでまとめても良いことになっています。ただし、あまりにも長い職務経歴書は読みにくいため、ボリュームは一般的にA4用紙2枚程度が良いと言われています。
転職組は職務経歴書が必須
新卒の就職活動では応募書類は履歴書やエントリーシートなどになりますが、職歴のある転職組が応募先企業に提出するのは履歴書と職務経歴書のセットが一般的です。新卒ならば職歴はなくて普通ですが、転職組の場合にはあるのが普通、これまでの職歴を見て面接をするかどうかの判断材料の1つとします。職務経歴書がないと書類選考ができないというほど必須の書類です。
転職における職務経歴書の役割
転職では重要な役割を果たす職務経歴書。企業が書類選考に使用し、面接のステップに進めるかどうかを決めるものでもあります。そのチャンスを掴むため、面接や採用をしたいと思える良い職務経歴書を作ることが必要です。良い職務経歴書を作るために、まずは職務経歴書の役割を具体的に理解しましょう。
企業の視点
職務経歴書は企業が書類選考で使うもので、人事担当者などはその内容を見て応募者のこれまでの実績と将来の期待値を推し量ります。ただし、人事担当者は場合によっては数十、数百の応募書類を見ることになり、インパクトがないと内容に目を通してもらえないこともあります。
応募者のスキルや経験をチェック
応募者のスキルや経験、実績をチェックすることは職務経歴書の基本的な見方です。これまでのキャリアや持っているスキルが自社や今回の採用部署、ポストに適しているかどうか、チェックします。他の応募者と比較したり、点数化して評価をつけたりしていることもあります。
書類作成能力を見ていることも
職務経歴書からは、その内容だけでなく書き方によって人物像や文章力、書類作成能力をチェックされていることもあります。分かりやすく作成されているか、正しい文章を書いているか文書作成力まで見られているかも知れません。また、手書きの職務経歴書なら文字の丁寧さも見られます。
具体的に書類作成力を見ないまでも、たくさんの書類に埋もれずに人事の目に留まるということは注目されやすく構成された良い職務経歴書だということです。
応募者の視点
企業側の職務経歴書の扱いが分かると、転職者にとっての職務経歴書の役割も分かってきます。企業が職務経歴書で応募者を選んでいるなら、職務経歴書は自分のプレゼン資料です。まだ直接会えない自分自身のアピールの代理人でもあるのです。
絶好の自己アピールの場
職務経歴書には履歴書には書ききれないキャリアやスキルを書くことができます。また、自分のアピールしたいことだけを重点的に書き、より効果的にスキルを伝えることも可能です。応募した職種や部署に合うスキルや実績にボリュームを割くことで、人事担当者に強みを伝えられます。
面接での質問と回答を予想できる
職務経歴書は面接の質問の元になることも多いものです。そのため、自分の職務経歴書をしっかり掘り下げることで面接対策にもなります。作成の際に内容を掘り下げれば良い職歴書もできて面接対策にも通じ、一石二鳥です。
職務経歴書の書き方のポイント
職務経歴書の書き方は自由な面もありますが、基本を押さえて書くことで読みやすく、伝えたいことがグッと伝えやすくなります。一人ひとりの職歴は違えども、重視するポイントは同じです。企業側が読みやすく、知りたいことを明確に伝えるために、正しい書き方でポイントを押さえた書類を作成しましょう。
企業の求めるものに合わせて作成する
職務経歴書の書き方で重視したいのは、企業の求人内容と合う人材であることをアピール出来ているかどうかです。異業種、異職種の場合もその中から活かせそうな業務に就いた経験やキャリアを探して抽出、前面に押し出します。また、管理職希望なら業種や職種の経験だけでなくマネジメントの経験もアピールすべきです。
目に留まりやすい見た目にする
人気企業はもとよりどんな求人でもライバルがいることを前提とし、たくさんの応募者の中に埋もれないように、目に留まりやすい書類の体裁を整えましょう。特に重要なのは冒頭でまとめる経歴の概要です。最初に見られる部分が分かりやすくまとまっていて、企業の欲しい人材であることが分かれば、人事担当者がじっくりと読み進める確率が高くなります。
太字・表組み・箇条書きはOK
読みやすさのためには、強調したい部分は太字にしたり、表の形にしたりといった工夫も必要です。箇条書きも使って、一目で見て内容が分かりやすくしましょう。ただし、いくら読みやすさのためとはいえ、色付きは避けた方が無難です。太字や表、箇条書きまでならOKです。
パソコンで作成が主流
パソコンでの書類作成は、職務経歴書だけでなくあらゆる書類で主流となっています。読みやすく、太字などのアレンジもしやすく便利です。プリントアウトで何通も作れるため、複数社に応募する際も準備が楽になります。
作成サービス利用も可
転職サイトやアプリなどには応募書類の作成サービスがついていることもあります。こうしたサービスを利用すれば、フォーマットで迷うこともなく、サイトの指示通りに書くだけで体裁を整えることができます。ただし、画一的でインパクトのない印象に仕上がる傾向が強いため、自分で読み直してアレンジを加えることが必要です。
自己prと志望動機は履歴書と違う文章で
履歴書と職務経歴書で内容が重複しているものもあります。自己prや志望動機などは重複することが多く、その場合には同じ文章を写すだけはNGです。手間を惜しまずそれぞれ違った文章を書きましょう。
職務経歴書の方は、職歴を元にしたより具体的な内容にするのがおすすめです。職務経歴書の自己prと志望動機は、内容が被らなければ両方、無理ならせめてどちらかを載せた方が良いでしょう。
自分に合った職務経歴書の書き方
職務経歴書のタイプは3種類あり、その書き方の中から自分の経歴にもっとも合うものを選ぶことが大切です。それぞれの特徴を押さえて、読みやすく自分がアピールしやすいものを選びましょう。
転職回数が少ない人
転職の回数が少ない人は、会社ごと、年代順に書く形式が合っています。自分史を書くようなスタイルで、順を追って書くので、時系列が分かりやすくなりますが、転職回数が多いと冗長で読みにくい印象になりかねません。古い方から書くのは「編年体形式」、新しい方から書くのは「逆編年体形式」という形式です。
直近の経歴をアピールしたい人
最初に一番新しい経歴を書くスタイルの「逆編年体形式」は、人事担当者に直近の経歴の印象を強く残せます。現職や直近の前職が希望の仕事に関連している場合などに、このスタイルは有利です。
転職回数が多い人
「キャリア形式」は、転職回数の多い人におすすめです。「販売」や「経理」といった具合にキャリアごとにまとめるため、転職した回数の多くても、すっきりまとまり読みやすくなります。
職務経歴書のフォーマット例
自分で職務経歴書を書くには、実際のフォーマットを見て参考にすることも大切です。一人よがりにならないように、良い例を見て使える部分は参考にしましょう。職務経歴書には選考に必要な内容が過不足なく入っていることが重要です。
職務経歴書作成が不安な人は
職務経歴書を自分で一から作成するのが不安な人は、フォーマットがすでに決まっていて必要事項を入力するだけで簡単に作成できるアプリなどもおすすめです。手軽に使えて評価の高いアプリやサービスを紹介します。
・レジュメアプリ
タウンワークがプロデュースしたアプリで、簡単に面接用履歴書・職務経歴書が作れます。志望動機や職務経歴、自己PRは例文集があり、写真撮影やコンビニでの出力など、便利機能も搭載。
android版レジュメアプリは配信が停止されています。
・リクルートのレジュメナビ
ウェブ上で職務経歴書を作成できるツールです。利用に当たってはリクルートエージェントに登録する必要があります。フォーマットを職種に合わせて自動選択してくれて、アドバイスに従って入力するだけで職務経歴書が仕上がります。できたものはダウンロードして保存、加筆修正も自由です。
職務経歴書を書く時の注意点
フォーマットに自由度が高い職歴書ですが、ルールを守らないとチャンスを失う可能性もあります。自由だからと言っても、基本のルールとマナーを知り、慎重に仕上げましょう。
職歴は嘘偽りなくすべて書く
職歴は履歴書も職務経歴書も、嘘偽りなくすべて記すのがルールです。短期間で辞めた場合も漏らさず書きます。嘘や省略がバレたら信頼も新しい職も失う可能性があり、最悪のケースでは経歴詐称になる恐れもあります。
アルバイト歴は書かなくてよい
職歴は正確にぜんぶ書く必要がありますが、アルバイト歴は書かなくても良いことになっています。ただし、熱心に業務にあたっていた場合や成果が高かった場合、フルタイムに近い状態で働いていた場合には書いてアピールすることが可能です。基本的には書かなくて良いけど、有利になるなら書いても良いと考えておきましょう。
資格は必要に応じて書く
資格は持っているものをすべて書く必要がありません。むしろ、業務に関係のない資格ばかりを書くと希望部署に入れないこともあるので、必要に応じて希望の仕事に関係のあるものだけを選びましょう。履歴書も同様に注意して作成し、職務経歴書と統一させます。
応募企業ごとに内容の調整をする
職務経歴書は基本的には応募企業ごとに作り替えることが必要です。同じような業種や職種であっても、同じ内容を使いまわさず、企業ごとの特色や求人内容に合わせて調整しましょう。職歴の箇条書き部分などは変える必要はありませんが、自己PRや志望動機などはきちんと企業ごとに見直し、内容を変えることが必要です。
手書きとPC使い分けても可
履歴書と職務経歴書は以前は手書きばかりでしたが、今ではパソコン主流です。ただし、老舗企業や地場産業などでは手書きの丁寧さを重視することもあり、履歴書と職務経歴書を手書きした方が良いケースもあります。また反対にIT系などでは手書きが不利になることもあるので、企業の体質や社風を見極めて使い分けましょう。
職務経歴書で転職を有利に進める
職務経歴書は転職活動においては絶対に必要なものです。企業の採用活動に与える影響も大きく、書類審査の合否を分けます。求人応募を有利に進められるためには、正しく効果的な職務経歴書を作ることが大切です。企業の求めることと、職務経歴書で自分が伝えたいことを認識して、企業の人事担当者に適正な評価してもらえる職務経歴書を作成しましょう。