人時生産性とは『従業員1人1時間あたりの生産性』
新人
先輩
『人時生産性』とは1人の従業員が1時間あたりにどれだけの生産量を上げられたかを示す指標のことです。理屈はわかってもすぐにはピンとこないかもしれませんね。
ここでは、人時生産性の計算の仕方も含めできるだけわかりやすく解説するので、言葉の意味をしっかり理解し使いこなせるようになってください。
人時生産性の意味をチェック
『人時生産性』とは「にんじせいさんせい」と読み、『従業員が1人で1時間働くことで生産量をどれだけ上げられたかを測る指標』のことを指します。
「生産性」とは、投入量に対する産出量との相対的な割合のことです。インプットをどれだけ行い、その結果アウトプットがどれだけ得られたかをジャッジするための指標として使われています。
企業の経営の状況を分析するときに、人時生産性が着目されます。将来、労働力人口が減っていくことが予想されるので、よりいっそう人時生産性の向上が求められるのです。
人時生産性の計算方法
人時生産性の計算方法は「1人あたりの粗利高÷1人あたりの総労働時間」です。この計算式により、1人の従業員が1時間の労働でどれだけの粗利額を生み出したかがわかります。
この値が高いほど良好であり、企業としての生産効率がよいと判断されるのです。
たとえば、A社の売上高が100万円で粗利高を60万円として、その売上のために10人の社員が10時間稼働したとしましょう。
一方、B社の売上高は200万円で粗利高が100万円で、このとき10人の従業員が40時間働いたとします。
一見すると、B社の方が優秀なように思われるかもしれません。ところが人時生産性はどうでしょう?
A社の場合、10人が10時間働いたので合計100時間を費やしたので、計算式は次のとおりです。
B社の場合、10人が40時間働いたので合計400時間を費やしたことになります。計算式は次のとおりです。
つまり、A社の方がB社よりも断然人時生産性が高く、効率的に成果を上げていることがわかるのです。
人時生産性のアップが求められる理由は?
今後、日本では少子高齢化が加速することが明らかです。それに伴い、労働に携わる人口が減るため多くの業界で人材不足が懸念されます。少ない人数でも高い成果を維持するためには、いかに人時生産性を上げるかが企業の生命線となるのです。
人時生産性の向上のためには、AIやロボットによる業務の無人化やシステムの整備などに取り組む必要があります。
人時生産性の英語は『man-hour productivity』
人時生産性は英語で『man-hour productivity』と表記します。使い方は日本語と同様です。
以下のように使われます。
我が社は人時生産性を強く押し上げることができる自動システムを提供できます。
人時生産性と労働生産性の違い
経営判断の指標には、人時生産性とはまた別の「労働生産性」というものがあります。これはそのビジネスに投入された労働力の量で、どれくらいの生産物を生むのかを判定するためにの指標です。
労働生産性は、生み出した生産物の量を労働に携わった人員の数で割ることで、従業員1人あたりが生産した量を算出することができます。
一方の人時生産性は前述の通り、従業員が1人で1時間働いて生み出した粗利を表すものです。
粗利という、売上高から原価を引いた値を用いることで、1人あたりが1時間に生み出す純粋な付加価値を知ることができます。
このように、労働生産性が「量」にフォーカスしているのに対し、人時生産性は労働の効率=「質」にフォーカスした指標といえるでしょう。
新人
人時生産性の使い方・例文
あまり日常会話では出てこない人時生産性ですが、ビジネスの現場ではどういった使われ方をしているのでしょうか。例文で見てみましょう。
上司
先輩
[おまけ]店長クラスの研修だけで人時生産性は上がらない?
小売店や飲食店の人時生産性を上げるのは、現場の責任者である店長の仕事です。だからこそ店長研修が行われることになります。
しかし実は、それ以前にその上位者である経営者や担当の部長などが、人時生産性の改善手法に精通していないことが多いです。
それではいくら店長にハッパをかけ、一時的に人時生産性を上げられたとしても継続には繋がりにくいでしょう。
話題の主旨に合っているかに気をつけて使おう
ここで説明したように、ひと口に生産性といっても、生産性を含む単語には、『人時生産性』「労働生産性」とあり、意味が異なります。それが話の主旨に合っているかに注意して『人時生産性』という単語を使いましょう。