「意図的」の意味=目的をもってなにかするさま
先輩
後輩
先輩
「意図的」とは、 目的があってあえてそうすることを意味する言葉 です。
まず「意図的」の「意図」とは、”目的や狙いがある考え”を示す言葉です。つまりなんらかの狙いがある人の行動を「意図的」と表現します。
例えば一見して無意味な行動は、他人の目からではその人の意図=目的=考えがわかりません。その行動の結果、物事の成功を果たしたとします。成功に結び付いた理由=”行動の意図を知る”ことで「意図的」だったことがわかります。
このように目的や狙いがあるさまを「意図的」と表現します。「意図的」には類語表現が多数あり、別の言葉にした表現の使い分けが可能です。人の考えや行動と同じように、さまざまな意味をもつ類語についてもチェックしていきましょう。
・恣意的
・故意的
・作為的
・確信犯的
「意図的」の使い方・例文
目的や狙いごとがあるさまを表現した「意図的」。日常生活でも使う機会があり、いい意味でも悪い意味でも受け取れるさまざまな「意図的」の使い方や例文をご紹介します。
「意図的」が使える場面
日常やビジネスシーンのなかの物事や事柄には”なにかしらの意図”が含まれています。例えば発注書の数字や各部署の配置、物語の演出。
ビジネスシーンでは閑散期と繁忙期によって必要となる在庫や経費が異なります。時期によって数字が異なるのは、ロスを防いで数字を上げるための「意図的」な調整です。同じように、物語の展開や人物描写は作品に対する「意図的」な演出として行われています。
また、広い意味で「思惑」を指し示す「意図的」は、言い換えれば”わざと”と受け取れる表現です。
人の心には善悪があるように、アイデアや演出は必ずしも前向きでよいものだけとは限りません。内容の良し悪しは別にして、思惑を含んだ振る舞い、言動、行動がある場面において「意図的」が使用できます。
「意図的」を使った例文
「意図的」を使った例文をご紹介します。数字や人事が絡みやすいビジネスシーンほど「意図的」がよく使われています。
先の項でも触れたように、数字の調整や人の入れ替えによる売り上げ向上、組織の活性化を図るための思惑として「意図的」という言葉が登場します。
しかしながら、人の思惑は当事者以外に「意図的」かどうかは他人には計り知れません。「意図的」とされる振る舞いは「違和感」や「不自然」とも捉えられます。そういう場面に遭遇した場合、それを「意図的」と受け取るかどうかは人それぞれです。
この例文のケースでは「悪意」を含んだネガティブなイメージが強く、人に向けて使う場合はその後のトラブルにもなりやすいので慎重に言葉を選びましょう。
また、創作物への考察としても「意図的」は使用できます。
「意図的」の類語
人の考えや思惑を表現する「意図的」は使いやすく便利な言葉です。その一方で思惑を一括りに「意図的」と使う人も多く、誤用も目立つので使い方には注意が必要です。ここで一度、正しく使い分けるため「意図的」の類語についてもチェックしていきましょう。
わざと
漢字で「態と」と書き、意識して行うさまを指した「意図的」にもっとも近い言葉です。
“意識すること=思惑をもつこと”として、意図的の代わりとして使われることが多い言葉です。しかしながら、例文2のように悪意をもった使い方をするケースが多い傾向です。
近年では”やらなくてよいこと”の意味として使われることも多く、類語の「敢えて(あえて)」と同じ意味としても使われています。「わざと」のほうが「あえて」よりもネガティブな意味合いが強く、シチュエーションによって言葉の度合いが異なります。
作為的
振る舞いが「わざとらしく」見えるさまを表現した言葉です。
ほぼ「わざと」と同義として使用されており、やはりネガティブなイメージがもたれやすい表現です。不自然であからさまな態度を「作為的」と表現するケースが多く、近年では「確信犯」と同様に使われることの多い言葉。
ちなみに「確信犯」とは本来は”確信に基づく犯行”を指す言葉ですが、言葉の語感から”わざとやること”を「確信犯」と表現するケースが増えています。今回の例文で言えば、「作為的」をそのまま「確信犯的」に置き換えることも可能。
「意図的」と「恣意的」「故意的」の違い
思惑や狙いをあらわす「意図的」は悪い意味として取られるケースが増え、その原因はネガティブイメージがある類語表現の影響も少なくありません。誤用が多い「恣意的」「故意的」もその代表です。誤用を避けるためにも「意図的」との違いについて解説します。
「意図的」と「恣意的」の違い
「恣意的」とは【しいてき】と読み、“思いつきや自分勝手に振る舞うことをあらわし、論理に基づく思惑のある「意図的」とは真逆の言葉です。
「意図的」と「恣意的」の決定的な違いは「計算」か「適当」です。考えがあっての”出した結論”は計算・目算があってのものであり、”適当な思いつき”は言わば直感で出されたものです。
これまでに説明してきたように、人の考えは当事者にしかわかりません。例え「わざと」に見えても、そこに目的や計算があればそれは「意図的」なものです。つまり、「意図的」の意味で「恣意的」を使うことは根本から間違っているのです。
「意図的」と「故意的」の違い
「故意」とは、わかりやすく説明すると「わざと」という意味です。法律用語でも「過失」の対比で「故意」がセットで使われます。
法律上の解釈では”法的に反する行為を認めながら行うこと”が「故意」の定義です。「意図的」と「故意的」は、どちらも”思惑があって行なう行為を示す言葉”で共通しています。
ただし、言葉の度合いとしては「故意的」のほうが意味合い的に「悪意」の側面が強く、同じ状況で使われた場合、「意図的」よりネガティブなイメージが強いです。
「意図的」と「故意的」を同じように使う人も多く、使い分けをしない人も見受けられます。正しい使い分けに迷った場合は、「目的」が”計画的”であるかどうかで判断します。
上の例文1では結果がある程度わかったうえで行なった行為。つまり確定的ではなく、”そうなるかもしれない”という身勝手で「恣意的」な意味を含む思惑で行なわれています。一方の「意図的」は、計算を立てたうえで十分な見通しのある計画性の高い思惑です。
このように「意図的」は”不確定要素の割合が少ない計算高い狙い”を指し、「恣意的」や「故意的」よりも「計算で成り立った思惑」であることがわかります。
「意図的」の関連語
「意図的」「恣意的」「故意的」と思惑を意味する類語は多く、使い分けが曖昧な人は意識して使用する必要があります。ここでは正しく使われている「意図的」の関連語について触れてみましょう。
「意図的再植術」
一度抜いた歯を再度歯根に戻す口腔外科手術の術式です。
病気にかかった歯の神経治療は難しく、抜歯もやむを得ないと判断されることも少なくありません。歯を残すために「意図的」に該当の歯を抜き、抜いた歯の洗浄、治療を施したのちに元の場所に戻して歯の修復を目的とした外科手術。
治す目的での抜歯から再植の一連の流れは、理論や計算に基づいた「意図的」の使い方のお手本のような術式。歯の寿命を延ばす方法として修復確率は高いが、歯の欠損・破損の問題点もあるので過信は禁物な術式です。
「意図的」の英語表現
「意図的」はビジネスシーンでもよく使われる言葉であるため、英語で表現しなければならない場面が出てくることも考えられます。
いざという時のために、会話やメールでの使い方を確認しておくと安心です。
intentionally
deliberate
と表現できます。
「意図的」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒今回の異動は人事育成による意図的な配置転換です。
・In this awful event I feel deliberate malice.
⇒この酷いありさまは意図的な悪意を感じます。
・It is a deliberate production by the author that dares to quote this phrase.
⇒ここであえてこの言い回しを引用しているのは、作者による意図的な演出なのでしょう。
「意図的に~」を使った英語表現・例文
「意図的に」の英語表現を使用した例文はこちらです。
⇒ここだけ数字が不自然ですが、なにか 意図的に増やしているのでしょうか?
・It seems that he/she has hidden it intentionally so that his/her failure will not come out.
⇒自分の失敗が表沙汰にならないように意図的に隠したのだと思われます。
「意図的」を正しく使いこなそう!
近年は悪い意味で使われることの多い思惑をあらわす「意図的」。本来は緻密な理論と計算を成り立たせる深い考えを指す知的な表現です。みなさんも正しく言葉を使い分け、「意図的」な思考でビジネスシーンの中心で活躍しましょう!