「この度」は”今度”や”今回”を意味する言葉
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「この度」とは、 “今度”や”今回”を意味し、”現在の状況”を示す言葉 です。
かしこまった表現として目上の人に対しても使用でき、ビジネス文書での状況報告や結婚式、葬式のフォーマルな場でも使用されているフレーズです。
「この度」は現在進行形の状況を表現する言葉として使用頻度が高く、同じ意味の「先日」や「最近」との使い分けがされています。「この度」以外にも使われているそのほかの類語、言い換え表現もチェックしていきましょう。
・先日/最近
・その節
・時下
公文書やビジネス文書の場合「この度」ではなく「このたび」
「この度」は「このたび」と読み、公文書やビジネス文書でも使用されています。文章表記は漢字とひらがなの2パターンがありますが、文書では「この度」ではなく、ひらがな表記の「このたび」が推奨されています。
※「この度」における「この」が連体修飾語に当たる。
文書における「この度(たび)」の「度」は形式名詞にあたります。通常、名詞には漢字表記が用いられ、形式名詞にはひらがな表記が通例です。
しかしながら、近年は「この度」と漢字表記を使用するケースが増えています。漢字表記の指標は文化庁の『漢字常用表』に定められており、表中では漢字表記の「この度」と記載されています。
その一方で『文部科学省用字用語例』には「このたび」の使用が推奨されており、どちらを使うべきか判断に迷う人が多いのも事実です。基本的には「このたび」を使用しますが、文書の重要性、相手との関係性によって裁量で決める場合もあります。
参考 「公用文の作成に関するアンケート」の結果について文化庁ビジネスシーンにおける「この度(この度は)」の使い方・例文
「この度」はビジネスメールや式場での挨拶、面接や履歴書でも使用する言葉です。社会人から学生まで、日常会話レベルで使用機会の多い「この度(この度は)」の使い方を例文でご紹介します。
「この度(この度は)」を使った例文
「この度」は社内文書やビジネスメール、履歴書やスピーチまで日常生活で幅広く使うことができ、上記のように挨拶の基本形としてお礼や謝罪にも使用します。ほかのシチュエーションにも使える「この度」を使った例文をご紹介しましょう。
「この度はお世話になります」
自己紹介の挨拶として使える例文です。「この度」を”今日”や”今”に置き換え、”これから”という意味で使用した表現です。メールの冒頭や締めの言葉として使うことができ、間に自己紹介や説明を入れた使い方もできます。
「この度」と「お世話になります」を切り分けて使用することも可能です。
「この度はありがとうございました」
こちら側の要求や来訪に対して応えてくれた相手への感謝を示す基本形です。ビジネスシーンだけでなく、日常会話でもお礼の言葉として特に使用機会の多いフレーズです。
「この度」と「ありがとうございます」の間に配慮や労いの言葉を挟めば、相手への感謝をしっかりと伝えることができます。
「この度はご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません」
こちら側の不手際を相手に謝罪する言葉として使用した例文です。このままでも使えますが、相手へのお詫びの表現をいくつかご紹介します。
深く反省と謝罪の念を相手に伝えるときは、「お詫び申し上げます」や「失礼をおかけいたしまして」などの表現を用いるのが効果的です。
「この度(この度は)」はお悔やみの言葉でも使用する
「この度」は葬式や訃報へのお悔やみの言葉としても使用します。
お悔やみの言葉として使うときの注意点として、”口頭”か”書き言葉”かで「この度」のあとに続く言葉を選ぶ必要があります。
「この度はご愁傷様でした」とメールで伝えることは失礼
「ご愁傷様」は悲しみや憂いを表現した言葉で、現代では”冷やかし”や”皮肉”の意味合いで使われるケースもあります。文章では相手に意図が伝わりにくいこともあり、一般的には書き言葉で使用するのは失礼と捉えられています。
「この度」を使ってメールや手紙、電報でお悔やみの言葉を伝える際には、「この度はお悔やみ申し上げます」とするのが適切です。
※「ご愁傷様です」をもっとよく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓ 「ご愁傷様」とは?「ご愁傷様です」の意味・使い方・返事の仕方・英語表現をまとめて解説
「この度(この度は)」の類語・使い分け
「この度」と同じ現在進行形の状況を示す言葉はほかにもあり、会話の流れを自然にするための類語との使い分けが必要です。ここではビジネスシーンでも使われている「この度(この度は)」の類語・使い分けを例文でご紹介します。
今回/今度
「この度」の意味である”今回”や”今度”を、そのまま置き変えて使用することができます。
ビジネスシーンでは少し崩した表現となるため、日常会話のほうが使用機会の多い言葉です。
また、”今度”と同じ意味の「今般(こんぱん)」に置き換えたり、事件や重要な出来事・案件に対しては「本件」と表現することができます。
先日
直近の過去や、つい最近の出来事を指した言葉です。「この度」は現在も進行している出来事に対しても使用できますが、既に過ぎたこと、終わったことに対しては「先日」と使い分けるのが適切です。
また、「先日」は「最近」に言い変えることもできます。
ビジネスシーンでは軽く捉えられやすいので、親しい相手や日常会話での使用機会が多い表現です。
その節
相手と関わりのあった過去の出来事を示す場合に使用します。過去の出来事に触れる「先日」に対し、「その節」は相手と直接の関連性がある事柄に対して用いられます。
日常会話でも”その節はどうも”という気軽な挨拶のフレーズとしても使われており、相手と再会したときに当時の気持ちを改めて伝えられる表現です。
時下
時候をあらわす書き言葉として文章の冒頭で用いられる言葉です。メールで伝える「最近」という表現が軽く感じられる場合、「時下」に置き換えるとかしこまった形で相手に伝えられます。
時下に続く言葉で「ご健勝」や「ご清祥」がセットとなり、ビジネスメールとしてもやや硬いイメージある表現です。親しい間柄にはもう少し崩して「この頃」や「最近」を使ったほうが表現に柔らかさを出せます。
※「ご健勝」や「ご清祥」をもっとよく知りたい人はこちらの記事がおすすめです!↓↓ 「ご健勝」とは?ご健康との違いは?意味・読み方・英語表現・類語(ご清祥・ご清栄・ご多幸・ご発展)・使い分けビジネス文書での「ご清祥」の正しい意味や使い方!「ご健勝・ご清栄」との違いも徹底解説
「この度(この度は)」の英語表現”
「この度(この度は)」はビジネスシーンでもよく使われる言葉。そのため、英語で表現しなければならないシーンが出てくることも考えられます。いざという時のために、会話やメールでの使い方を確認しておきましょう。
on this occasion
this time
と表現できます。
「この度はありがとうございました」の英語表現・例文
「この度はありがとうございました」を使用した例文はこちらです。
⇒ご多忙中にもかかわらず、この度はありがとうございました。
・Despite the sudden offer, thank you for this time.
⇒急な申し出にもかかわらず、この度はありがとうございました。
・Thank you very much for your visit this time despite being busy.
⇒この度はお忙しいなか、お越しいただきまして誠にありがとうございます。
「この度はご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」の英語表現・例文
「この度はご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」を使用した例文はこちらです。
⇒この度はご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
⇒この度は失礼をおかけいたしまして、誠に申し訳ございません。
「この度」の正しい意味・使い方をマスターしよう!
最近の出来事を表現した「この度」は、日常会話にも浸透しており、よく使う言葉ほどビジネスシーンでは使い分けが重要となります。「この度」の正しい意味や使い方をマスターしてコミュニケーションスキルを磨いてくださいね!