「お力添え」とは協力・助力を意味する謙譲語
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「お力添え」は、協力・助力してほしい時に使える言葉です。目上の人や上司、クライアントに対して使用可能です。相手に対してへりくだる謙譲語であるため、部下に対して使うと違和感があります。
「お力添え」は近い意味を持つ類語も存在します。確認し使い分けできるようにしましょう。
ご尽力
「お力添え」はビジネスメールで使える?
「お力添え」は敬語なので、ビジネスメールにももちろん使うことができます。むしろ、目上の人に対しては「使うべき」と言えるでしょう。特にこちらから協力・助力を頼みたい時には必須です。
新聞や論文、ビジネスレポートなどでは音読みの漢字熟語を使用するのが一般的なので、謝辞などを除いては、「お力添え」という言葉はほとんど使いません。また、協力・助力という意味では「ご支援」「ご援助」「ご協力」など、より耳慣れた、なじみのある言葉が通例となっています。そのため、言い回しは知っていても「使い方がわからない」という人もいるかもしれませんね。
「お力添え」を使った例文
「お力添え」は一般的ではないかもしれませんが、それだけに適切な使い方ができれば、読む人に自分を印象づけることができます。例文をいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「お力添えいただきたく」
自分より目上の人や取引先など、立場が上の相手に対して、協力・助力を依頼したい時に使います。上司や地位が上の人であれば、社内メールでも使用可能です。
例文のように、「お力添えいただく」の後には依頼の一文を足すようにしましょう。「お力添えいただく」「お願いします」はワンセットで使う、と覚えておくと間違いがありません。
「お力添えをいただく」
上の「お力添えいただきたく」と似た言い回しですが、こちらはよりストレートに「手助けしてください」とお願いする時に使います。
「お力添えのほど」
こちらもビジネス文書ではしばしば目にしますね。しかし、「お力添えのほど」の「ほど」ってどういう意味なの?「お力添え」だけでも意味が通じるのだから、省いてもいいのでは?と思ったことはありませんか?
こちらからお願いするときに、「お力添えください」と言ってしまうと、そのつもりはなくても相手に協力を迫っているような印象を与えることがあります。そこで、語勢を和らげるクッションとして「~のほど」と入れるのが慣例になっています。
実際、口に出して読んでみると、「~のほど」の有無で受ける印象がかなり違うことがわかるはずです。ビジネス文書では基本的に相手を上の立場とするので、柔らかい言い方を心がけてくださいね。
「お力添えいただきありがとうございます」
御礼状やスピーチなど、骨折ってもらった相手や会社に対して感謝の意を述べる時に使います。また、これから力を貸してもらう場合にも使用できます。
・○○先生、論文の執筆にあたりお力添えいただき、ありがとうございました。
「ありがとうございました」の一言で済ませるよりも、気持ちを伝えられるフレーズなので、社会人ならぜひ身に着けておきたいですね。
「お力添え」を使用する際の注意点
「お力添え」はビジネスシーンでも頻繁に使われますが、使用する際には注意点も存在します。誤用している人も多いため、正しく使えるよう確認しておきましょう。
「お力添えさせていただきます」は使用しても大丈夫?
先方から「お力添えいただきますよう、お願い申し上げます」と直々に言われたら、自分の能力を評価してもらえたような気がして嬉しくなりますよね。即座に「ぜひ!」と返事をしたくなるかもしれませんが、その場合はどのように答えるのが正しいのでしょうか?先方の文面をそのまま使えば間違いないだろうと、「ぜひお力添えさせていただきます」と返していませんか?
残念ですが、これは間違いです。すでに例文でも紹介したように、「お力添え」は自分に対して使う言い回しではないからです。「お」をつけると敬語になるからと、外して「力添えさせていただきたく」にするのも同様。かえって相手に尊大な印象を与え兼ねないので、注意してくださいね。
正:ご依頼の件について、ぜひお力になれればと存じます。
「お力になれれば」の部分は、「協力させていただきたく」「尽力させていただきたく」などに言い換えることもできます。
「お力添え」は自分がすることではない、と覚えておけば間違いはないでしょう。
「お力添えできず」も誤用のため使えない!
先方の依頼や期待に応えられない場合に「お力添えできず、申し訳ありません」のように使うと思いがちですが、「お力添え」とは先方の助力・協力に対してこちらが使う言い回しなので、例え断る場合であっても不適切です。丁寧に伝えようという気持ちは察してもらえるかもしれませんが、誤用なので注意しましょう。
正:御社のお力になれず、申し訳ございません。
「お力添え」の類語
「お力添え」は敬語なので、ビジネスシーンだけでなく、他にもさまざまな場面で使える言い回しですが、ちょっと堅苦しい感じがするという時には、別の言葉に置き換えることもできます。
ご協力・ご支援
普段からよく使う言葉なので、ビジネス文書や公的な場でもスムーズに出てくるのではないでしょうか。お礼を述べる場合には、先方も何に対して言っているのかがわかりやすく、親しみやすい印象です。もちろん上司やクライアントに対しても使用できます。
・今後ともご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
ご尽力
「お力添え」と同じような意味として、よく併せて紹介される言葉です。しかし、「尽力」とは文字どおり「力を尽くす=努力する」という意味なので、自分にも使えるという点で「お力添え」とは異なります。
先方に対しては、「力を尽くしていただいた」ことから、「お力添え」よりも強い感謝の意を表す場合に使うとよいでしょう。
・御社のご希望に沿えるよう、尽力させていただきます。
その他
その他にも、「お手伝い」「加勢」「助太刀」「援助」といった類語があります。しかし、「御社に加勢させていただきます」「助太刀させていただきます」とは、ビジネスの場ではあまり一般的ではありません。文書に於いても使わない方が無難でしょう。
「お力添え」の英語表現
「お力添え」はよく使われる言葉であるため、英語で表現しなければならないシーンが出てくる可能性も。いざという時のために、会話やメールでの使い方を確認しておきましょう。
your help, cooperation
と表現できます。
「お力添え」を使用した例文はこちらです。
⇒新規事業についてお力添えいただきたく存じます。
⇒今回の件について、御社よりお力添えをいただけませんでしょうか。
⇒お忙しいところ誠に恐縮ですが、お力添えのほど、何卒よろしくお願いいたします。
⇒この度はお力添えいただき、ありがとうございます。
失礼にならないよう「お力添え」は正しく使おう!
「お力添え」は協力や助力を頼みたい時に使いたい言い回しです。「自分には使えない」という点を押さえておけば、まず間違いはありません。柔らかい印象でありながら、相手を尊重していることを伝えられるので、ぜひ身に着けておいてくださいね。