コンテクストは文脈のこと!
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日本人にとってはコンテクストを読むことはそう難しいものではないかもしれません。コンテクストとは、簡単にいうと文脈。いわゆる「空気を読む」の「空気」の部分です。
コンテクストの意味をチェック
コンテクストとは文脈を意味しますが、業界によっては意味合いが異なります。英語の意味と合わせて確認しておきましょう。
コンテクストの英語は「context」
英語の「context: 文脈、前後関係、事情、背景」は日本語の意味と同じです。「In what context?:どういう状況で?」などと使われます。英語は主語や目的語を省かないため、コンテクストを読む機会があまりない言語といわれています。
一方で「I’m sorry」を「ごめんなさい」「お気の毒です」と2つの訳し方ができるように、英語ではニュアンスの違う数種類の意味から相手の意図を見つけるというコンテクストが必要です。contextは、「コンテクスト」ではなく、「コンテキスト」と読むこともできます。
日本語のコンテクストとは?
日本語も英語と同じく、文脈以外にも、「状況、前後関係、背景」などの意味があります。日本語は主語や目的語を省くことが多いため、コンテクストを読む機会が多い言語です。また、述語が最後にくるため話し終わる前に相手の意図を読むクセが日本人にはあるようです。
「空気を読む」という言葉がありますが、日本人がこれを大切にするのは国民性と日本語のコンテクストの高さゆえともいえます。
ビジネス・IT編
ビジネスやIT用語としてコンピュータについてコンテクストを用いる場合は、状況に応じて異なる動作を行うものを指すことが多いです。例えば、操作対象や設定された動作モードなどによって項目が入れ替わるメニューを「コンテクストメニュー」といいます。
もっとわかりやすく表現すると、そのときの状況によって現れるメニューのこと。パソコンを使っているときに右クリックしたら表示されるメニューは状況によって変化しますが、これは代表的なコンテクストメニュー。文脈に沿って内容が変化するメニューなのです。
建築編
建築におけるコンテクストとは、建物あるいは建物群がつくる形のまとまり。建築物が建てられる場所のコンテクストを読みながら新しい建物を構想するという考え方が建築業界にはあります。「景観論、保存について考える」というニュアンスもあるようです。
[ビジネス版]コンテクストの使い方・例文
取引先のジョンさん「アメリカ文化ではコンテクストは重要視されません。」
新人「え?空気を読まないってことですか?」
ジョンさん「え?日本には『読める空気』がありますか?」
新人「え?アメリカにはないんですか?」
先輩(2人ともコンテクストを読んでほしい…。)
特に日本のビジネス現場では「空気を読んで発言を慎む」ということが求められます。しかし、英語圏や欧州言語圏では「発言をしない=何も考えていない」という文化なので、はっきりと言葉にすることが好まれます。文化の違いが存在しますので、国際的なビジネスシーンでは、より気を付けなければいけませんね。
IT業界でのコンテクストの例です。「文脈を読んで異なる動作を行うようにする」ということですね。
建築用語のコンテクストは、建物群を文脈に見立てて「文脈を読む」という使い方をします。都市計画や建造物設計などで登場する用語です。
コンテクスト・マーケティングとは?メリットは?
マーケティング手法にも、コンテクストという言葉が使われます。マーケティング手法はさまざまありますが、「コンテクスト・マーケティング」とはどのようなマーケティングなのでしょうか?
コンテクスト・マーケティングの意味
コンテクスト・マーケティングとは、消費者の背景や心情、バックグラウンドからふさわしい商品を提供を行うマーケティング。消費者がいつ買うか、どこで買うかなどのタイミングを予測したマーケティングです。
コンテクスト・マーケティングのメリット
1.適切な商品を、適切なタイミングで提供できる
一番のメリットは、適切なタイミングで商品提供できるため、購入の可能性を高められること。コンテクスト・マーケティングによって、無駄なコストをなくし、最大限の効果が得られるのです。
2.顧客の信頼を得られる
コンテクストに沿った情報は、相手を理解しているからこそ可能なものです。コンテクストを踏まえて顧客とやり取りをすることで、信頼を勝ち取ることができます。
コンテクスト◯◯!関連用語も覚えよう!
コンテクストは、あとに何か言葉をつなげた関連語を多く持ちます。コンテクストがつく言葉は、他にどのようなものがあるのでしょうか。
コンテクスト文化
コンテクスト文化とは、日本のように文脈やそのときの雰囲気で相手の意図などを読み取りコミュニケーションを行うことを重視する文化。空気を読む文化ともいえます。一方、欧米諸国は意見があるなら言葉にする文化であり、日本の常識が通じないことも多々あります。
ハイコンテクスト、ローコンテクスト
ハイコンテクストは、文脈を読み取る機会や技術が高いこと。ローコンテクストはこれらの機会が低いことです。日本語はハイコンテクスト、英語はローコンテクストと一般的にいわれています。
コンテキストメニュー
コンテキストメニューは、IT業界での例でも登場した、文脈に沿って内容が変化するメニューです。コンテクストメニューという表記方法だけでなく、このようにコンテスキストメニューとも表記できます。
コンテキストスイッチ
コンテキストスイッチとは、コンピュータの処理装置が実行している処理を一時停止し、別のものに切り替えて実行再開するもの。保存と復帰を行い、コンテキストを切り替えることです。
コンテクストと区別したい類語
続いて、コンテクストと似ているけれど違う言葉を確認していきましょう。
コンテンツ
コンテンツとは、中身、内容のこと。コンテクストが情報の間にある文脈なら、コンテンツは情報そのものです。
コンテント
コンテントとは、コンテンツの原形。コンテンツは複数形ですね。
コンセプト
コンセプトは理念、概念という意味。根本にある考え方を指します。
コンセプトの意味は「根本にある考え方」のこと!テーマとの違い・企業の実例・関連用語を解説
コンテクストを察知できるビジネスパーソンに!
コンテクストは、調和をもって良しとする島国日本では非常に大切にされていることです。ともすれば「すみません」のみで会話してしまう日本人に、驚く外国人も多くいます。日本の社会人なら、文脈も空気も読めるようになっておきたいものですね。