バイアスとは「偏見」や「先入観」のこと
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一般的にバイアスとは偏った見方や考え方のことをいいますが、分野によって多少ニュアンスが異なってきます。
そこでこちらの記事では言葉の意味や類語・関連語のほか、分野ごとのバイアスについてもわかりやすく解説していきます。
英語のバイアス(bias)は「偏り」
語源はフランス語の『傾斜』をさす言葉ですが、英語では『bias』と表記し、以下の意味をもっています。
■先入観
■偏見
■偏り
■傾向
■偏った進路
■(布地の裁ち目や縫い目の)斜線 など
英文の例としては以下のとおりです。
■be free from bias(偏見がない)
■cut cloth on the bias(布を斜めに裁つ)
■have a bias toward socialism(社会主義の傾向がある)
[分野別]バイアスの意味をチェック
バイアスにはいくつかの意味があり、各分野においてもさまざまな意味をもって使われています。ここでは分野別の意味をご紹介します。
①:ソーイングのバイアス
こちらの画像のように、生地の布目に対して45度の角度で使うことを『バイアス使い』といいます。
伸縮性がないと思われる布でも、斜めには若干伸びるため、この性質を利用して縁取りや装飾などに使う、テープ状に加工された生地を『バイアステープ』といいます。
バイアステープは縁取りの装飾にも使われますが、ミシンがかけられない布の端の処理に手縫いでつけたり、折り返しで処理できない幅の布の端を覆い、ほつれ防止に使ったりすることもできる万能なテープです。
『縁取り用の布=バイアステープ』と認識していた人がいるかもしれませんが、これを機にぜひ覚えなおしてくださいね。
その他、ソーイング用語としては『バイアス織り』『バイアス編み』があります。通常の織り目や編み目は縦横に平行に糸が通りますが、糸が斜めになっているものをこのように呼びます。
②:統計学のバイアス
統計学におけるバイアスは、英語での意味合いの『偏り』にあたります。さらに『選択バイアス』と『情報バイアス』に分類され、それぞれの意味は以下のとおりとなります。
期待値との差は小さいほうが望ましいとされていますが、「こんなに差があるのであれば考え直さなければならない」という結果に導きたい場合は、あえてその差が大きくなる計算方法をとる場合があります。
③:心理学のバイアス
人は、身体的特徴からその人の内面を想像します。無意識にも「これはぜったいにこうだ!」と偏った考え方をしがちです。心理学のバイアスとは、このような偏った考え方のことをさします。また、心理学のバイアスの中にもさまざまな種類がありますが、詳しい内容についてはあとの項目でお話しますね。
④:電圧のバイアス
私たちが日常当たり前に使っているインターネットや電話は、電気信号によって情報が流れています。電気回路には常に適切な電圧がかかっている必要があり、それを下回ると正しく働きません。
このように、最低限度必要になる電圧や電流のことを『バイアス』といい、『バイアス電圧』『バイアス電流』といいます。また、バイアスが後ろにきた『電圧バイアス』『電流バイアス』と呼ばれることもあります。
⑤:タイヤのバイアス
車やバイクのタイヤにはノーマルタイヤ、スタッドレスタイヤの種類が存在するのは多くの人が知っていますよね?しかし、それ以外にも構造的分類として『バイアスタイヤ』と『ラジアルタイヤ』があります。
タイヤの中には強度を高めるため複数のワイヤーが入っていますが、この配列の違いにより、『バイアスタイヤ』と『ラジアルタイヤ』が区別されています。
そのため、燃費が重視される昨今では乗用車にはほとんど使われず、8tクラスの中型車にもほとんど採用されていません。しかし、重量があり、衝撃への耐性が求められる20tクラスの大型車や航空機のタイヤには使われています。
タイヤの側面がスプリングのような役割を果たしているため乗り心地がよく、バイアスタイヤよりも抵抗が小さくよく転がるため燃費がいいです。
バイアスの使い方・例文
バイアスの意味がわかったところで、実際の会話ではどのように使うのか、例文でご紹介します。
「バイアスがかかる」
「バイアスをかける」
心理学におけるバイアスの種類と具体例
心理学のバイアスについてはいくつかの種類があると先述しました。ここではいくつかある中で代表的なものをピックアップして解説します。
認知バイアス
人は、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚といった五感で外の状況を感知し、その情報が脳に送られて判断・解釈をすることを『認知』と呼んでいます。そして、思い込みによってこれらの認知に差がでてしまうことを『認知バイアス』といいます。
■「カラスが木にとまってると思ったらただの黒い袋だった」という思い込み など
確証バイアス
自分自身で「間違いなくこうだ!」と思った情報を信じることで、それとは違う情報がでてきても触れなかったり、自分の信じた情報と違うものを信じなかったりする心理効果があります。これを『確証バイアス』といいます。
このような人は、自分の考えに沿った情報は積極的に入手しようとしますが、否定的な情報には偏見をもって触れなかったり、触れても信じようとしなかったりする傾向にあります。
■この考え方は正しいんだから、反対意見の情報は集める必要はない。
後知恵バイアス
なにかの事柄が起こったとき、その結果が「やっぱりこうなってしまったか…」と思うことがありますよね?このように、事前に予想をすることができたのではないか?と考えることを『後知恵バイアス』といいます。
感情バイアス
言葉で説明すると、感情的なことが主な原因となり、その解釈や判断にゆがみが生じることをいいます。
■気になっている人の態度が急に冷たくなったとき、きっと周りの人間が自分のことを悪く言っているに違いないと思い込む。
バイアスの類語・関連用語
どんなことをバイアスというのかについてはもうだいたいおわかりいただけましたよね?それではここからは類語や関連語をいくつかご紹介します。
アンコンシャスバイアス
直訳すると『無意識の偏見』となり、具体例としては以下があげられます。
■あの人は理系だから頭がいい。
■会社役員は男性でないといけない。
■何度も転職しているから根気がないに違いない。 など
ジェンダーバイアス
社会的な男女の役割に偏った考え方をもつことを『ジェンダーバイアス』といいます。
『女性が家事と育児をする』『男性は外で働く』『男性が一家をささえる』。このような考え方がジェンダーバイアスとなります。今は性別にかかわらず、いろいろな役割を持つ時代になっていますね。
バイアスロン
ラテン語で『2』を意味する『バイ』と競技を意味する『アスロン』が組み合わされてできた言葉で、二種競技のことをさしています。
一般的には『クロスカントリースキー』と『ライフル射撃』の二種目ですが、日本では銃刀法のからみで自衛隊の冬期戦技教育の一貫で行われています。国際スキー連盟には属さないものの、オーストラリアには国際バイアスロン連合という組織も存在します。
バイアスピリン
解熱剤、頭痛などの鎮痛剤としてのアスピリンは有名ですよね?アスピリンには抗血小板作用*がありますが、低用量による抗血小板作用を応用して作られた血栓予防薬が承認されました。この薬のことを『バイアスピリン錠』といいます。
(抗血小板作用*:血液をサラサラにする作用。血栓を作らないようにする作用。)
思考の歪みを認識して、意思決定をしていこう!
バイアスをゼロにすることは不可能といってもいいほど、あることが自然なものです。しかし、「あ、これは偏見かもしれない!」と気づくなど、バイアスの存在を知っていることで、時には考え方が変わることがあるでしょう。それにより、いい結果がもたらされることもありますので、『バイアス』というものをしっかりと意識していろいろな決定をしていきましょう。