リバースモーゲージは老後にお金を借りる方法の一つ
上司
新人
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老後資金の調達方法の一つとして注目されつつあるリバースモーゲージ。とっても魅力的なシステムなようですが、しっかり見ていくと利用できない場合もあるんです。
そこでこちらの記事ではリバースモーゲージの意味、言葉の使い方のほか、メリットやデメリットまでを簡単にまとめてみました。
リバースモーゲージの意味をチェック
高齢者が老後に苦しい生活をしいられることがないように設けられたリバースモーゲージですが、高齢者社会の日本においてはさらに利用者が増えてくるともいわれています。そこで、まずはじめに、リバースモーゲージがどんなものなのかをしっかりと理解しておきましょう。
リバースモーゲージとは?
簡単にいうと、老後に持ち家を担保にして融資を受けられる方法のことです。
通常、融資を受けた場合は、利息とともに毎月の返済が必要になりますが、リバースモーゲージで融資を受ける場合には月々の返済は必要なく、毎月一定額の融資を受けるだけになります。
融資を受けようとする金融機関などによっては、毎月の融資ではなく、一括で支払われる場合もあります。
リバースモーゲージが使われる場面
リバースモーゲージで融資は、老後の生活費にあてるだけでなく、以下のような目的で利用されます。
■リフォーム資金
■旅行・レジャー
■趣味のため
■有料老人ホーム入居資金
■家族の結婚式
■教育資金 など
ただし、どのような目的で利用できるかは、リバースモーゲージを提供している機関よって異なりますので、利用を検討するはしっかりと事前調査を行う必要があります。
リバースモーゲージの使い方・例文
家族に高齢者がいなければ会話に登場することはあまりないかもしれませんが、「このように使うんですよ」ということを一応お伝えしておきますね。
リバースモーゲージを提供する機関は2タイプ
リバースモーゲージは、『国・自治体が運営しているもの』と『民間の金融機関が運営しているもの』の2つがあり、それぞれで特徴が違います。
国・自治体(社会福祉協議会)
厚生労働省の管轄で、実際に相談をする窓口は『社会福祉協議会』で、『生活福祉資金貸付制度』の一つとして運営されています。
また、国・自治体が運営するリバースモーゲージは、低所得者を対象としており、市町村民税非課税世帯程度の所得者向けの『不動産担保型生活資金』と、生活保護を受けている高齢者向けの『要保護世帯向け不動産担保型生活資金』の2つに分類されます。
その他の条件などは以下のとおりです。
■対象不動産…居住用建物、土地
■融資限度額…不動産評価額の約70%
■貸付限度額…1ヵ月30万以内
■保証人が必要
■対象不動産…居住用建物、土地、マンション
■融資限度額…不動産評価額の約50%
■貸付限度額…1ヵ月あたりの生活扶助基準の1.5倍
■保証人不要
民間の金融機関
銀行など、民間の金融機関が提供しているリバースモーゲージは、国の制度とは違い、一定の所得がある高齢者が対象となります。
対象年齢も、早期退職をした会社員でも利用しやすいよう、55歳以上が対象になっているケースも多いのが特徴です。
老後の生活の支援をすることを目的としている国の制度とは違い、民間のリバースモーゲージはゆとりをもって老後の生活を送ることを目的とされています。したがって、金融機関によっては一括で融資を受けることも可能です。有料老人ホームの入居資金や住宅ローンの一括返済にあてる人もいます。
民間の金融機関を利用する場合は、金融機関で融資条件が異なってきますので、一つの金融機関にしぼらず、いろいろな金融機関を比較検討することをおすすめします。
リバースモーゲージのメリット・デメリット
毎月生活できるだけの年金受給が危ぶまれる現代において、リバースモーゲージは老後資金の調達に有効な手段かもしれません。しかし、良いことばかりではありませんので、こちらの項目ではメリットとデメリットを簡単にまとめてみました。
メリット
リバースモーゲージを利用する大きなメリットは次のとおりです。
高齢者がお金を借りられる数少ない手段
年金収入だけになっている高齢者は、月々の返済が必要な通常の融資は非常に困難です。しかし、リバースモーゲージは月々の返済が不要、もしくは利息だけとなりますので、高齢者が融資を受けることができる数少ない手段の一つといえます。
自宅に住み続けられる
自宅を担保にお金を借り入れることにはなりますが、原則、融資を受ける契約者や連帯債務者が全員亡くなるか、転居などで担保不動産を売却するまでこれまでと同じように住み続けることができます。
月々の返済が不要
基本的に、不動産売却による返済となりますので、月々の返済は不要です。ただし、民間の金融機関によっては利息のみ毎月の返済が必要になるケースがあるのでご注意ください。
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デメリット
メリットを理解しておくことも大切ですが、こちらのデメリットはしっかりと確認しておきましょう。
長生きすると住む家を失う可能性がある
融資をした人が長生きすると、場合によっては債務額が不動産の評価額を上回ってしまう場合があります。
そこで、担保割れを回避するために、金融機関によっては融資の期間が定められていることがあります。この場合、融資期間を超えても亡くなっていない場合は、一括返済を求められ、対応できない場合はその時点で担保物件手放す形で支払うことになります。
そうなると融資を受けていた人は住む家を失うだけでなく、融資もなくなり、生活費にも困る状況におちいってしまうのです。
もちろん、融資期間を『終身』としている機関もありますので、事前チェックはしっかり行う必要があります。
自宅の評価額が低下するリスクがある
リバースモーゲージは、不動産を担保にし、その評価額に応じた融資を受けることになります。金額は契約時に決定するため、万が一評価額がさがった場合には融資額を減らしたり、融資を停止したりすることもあるということを覚えておく必要があります。
マンションの人は利用が難しい
リバースモーゲージの対象のなる不動産は、建物よりも土地の価値がほとんどとなります。そのため、一軒家を対象とし、マンション住まいの人は条件に当てはまらないケースが多くなっています。
家を子供や孫に残すことはできない
リバースモーゲージでは、債務者、連帯債務者を対象に、自宅を担保に融資が行われます。そのため、子供や孫などの遺産相続人がいたとしても家を残してあげることはできません。
リバースモーゲージで融資を受けることを検討する際は、子供にもその旨を伝えておくようにしたほうがいいですね。
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老後資金はいくらかかる?気になるあれこれ
老後の資金とは、具体的には定年退職を迎えてから亡くなるまでに必要となる資金のことをさします。いったい老後資金というのはどのくらい必要になるのでしょうか。
老後にもらえる年金の目安
今は、基本的に65歳から年金がもらえる仕組みとなっていますが、『国民年金』や『厚生年金』といった公的年金に加入してから10年以上保険料を払っていることが条件となります。
会社員はほとんどの場合厚生年金に加入しており、厚生年金の加入者は国民年金にも加入していることになっています。
もらえる年金は、国民年金からの『老齢基礎年金』、厚生年金からの『老齢厚生年金』を合計した金額です。2018年時点での各年金の平均額はだいたいこのくらいです。
■老齢基礎年金…55,000円程度
■老齢厚生年金…145,000円程度
実際にもらえる年金がどのくらいになるかは、ときどき郵送されてくる『ねんきん定期便』で確認しておくのが一番確実です。
老後資金を補うリバースモーゲージ
若いころには堅実に貯金をしていなかったという人も少なくないでしょう。そして、賃金UPがない、ボーナスがない、退職金が少ないといった企業も多いので、老後の生活に多少なりとも不安をもっている人もたくさんいるはず。
「年金額が夫婦あわせて毎月20万ほど。でもこれだと3~4万の赤字になってしまう。」
リバースモーゲージで融資を受けられると、この赤字部分を埋めることができます。しかし、不動産の評価額で毎月3万しかもらえなかった場合はギリギリの生活に変わりはありません。融資に期間がもうけられている場合、長生きしたら生活できない状況になります。
そのため、前の項目でご紹介したメリットやデメリットをしっかりと確認して、じっくりと考えていくことが必要です。
リバースモーゲージは老後の選択肢
若いころはやりたいことも多く堅実に貯金ができないことがあるかもしれません。しかし、現在では年金だけでは生活できないという人も増えているので、若いころからしっかりと老後の計画を立てることが大切です。
リバースモーゲージは古くからあった言葉ではなく、日本では1980年代に導入されはじめた比較的新しい金融用語です。
歳をかさねていくにつれ、耳にすることが増えてくるかと思いますので、知識としてもある程度理解しておくようにしましょう。