一般的に正社員は、雇用期間の定めがないフルタイムで働く労働者のことを指します。近頃は働き方が多様化され、「多様な正社員(限定正社員)」を導入する企業も増えてきました。正社員の定義、多様な正社員のメリット・デメリットについても解説します。
正社員の定義は「正規型のフルタイム労働者」
正社員の定義は、法律では定められていませんが、次の3つの条件を満たしています。
-
雇用期間の定めがない
職場で定めている所定労働時間をフルで勤務している
直接雇用されている
正規型のフルタイムとは、1日の所定労働時間を8時間程度の週5日勤務を指しています。正規型と正社員は同じ意味合いです。
正社員の特徴
正社員は雇用期間が定められていないので、安定した収入を得られやすい傾向があります。福利厚生も充実しているのも大きな特徴のひとつです。
雇用が安定している
正社員は、雇用期間が限定されていません。「大きな失敗や事件」「会社が倒産する」など、よほどのことがなければ退職に追い込まれないでしょう。自身が希望すれば定年まで働くことも可能です。また、雇用先でスキルや経験値を積めるので、キャリアアップもできる可能性も高まります。
昇格、昇給の可能性がある
正社員は非正規雇用労働者と比較して、昇給、昇格が高いといわれています。パートやアルバイトは時間給のため、給与が上がっても数十円アップする程度です。正社員の場合、仕事の成果が良ければ、賞与や報奨金が貰える可能性もあります。
福利厚生が整っている
正社員は、社会保険や交通費、住宅手当など福利厚生が充実しています。法的に定められている社会保険以外に、企業が独自に設けている福利厚生があります。一般的な福利厚生は、次の通りです。
-
交通費
住宅手当・家賃補助
リフレッシュ休暇
健康診断・人間ドック
資格手当
冠婚葬祭
保養所
育児休業
正社員のメリット
正社員のメリットを見ていきましょう。特徴と被る部分はありますが、他の雇用形態と比較して、安定した生活をおくれることがポイントです。
-
雇用が安定している
福利厚生が充実している
収入が高くなりやすい
社会的信用がある
転職活動は有利になりやすい
非正規雇用労働者は、収入や雇用が不安定です。例えば、フリーランスは収入に波がある、派遣社員は雇用期間が期間限定です。一方、雇用が安定している正社員は、生活の心配をせずに仕事に専念できるでしょう。経済的、社会的地位が安定しているので、ローンやクレジットカードの審査も通りやすいです。またある程度、キャリアを積むと転職活動も有利になるでしょう。
正社員のデメリット
正社員は雇用が安定しますが、その分、ほかの雇用形態に比べて責任が増します。一般的なデメリットは次の4つです。
-
責任が重くなる
転勤になる可能性がある
残業で長時間労働になる場合もある
副業できない職場もある
正社員は立場的に責任が伴うので、転勤や残業など断れない場合があります。家族がいる場合、単身赴任の生活になることも。
また、パートやアルバイトは残業を断ることもできますが、正社員は責任を伴うので所定労働時間を超える場合もあります。繁忙期は休日出勤することもあるでしょう。
多様な正社員(限定正社員)
多様な正社員は限定正社員とも呼ばれ、勤務地や職務内容が限定されています。「転勤がない」「勤務時間が限定されている」「職務の範囲が限定される」といった条件を指しています。多様な正社員を導入している企業は5割程度です。
メリット
多様な正社員を取り入れるメリットを見ていきましょう。
-
ワークライフバランスの実現可能
特定の職務のプロとしてキャリアを積める
家庭の事情で転勤が困難でも継続して働ける
優秀な人材の離職離れを防止する
多様な正社員を導入すると、フルタイムで働けない場合でも就業を継続することもできるでしょう。ワークライフバランスを重視したい、子育てや介護で転勤が困難な人には、メリットといえます。
デメリット
多様な正社員は、働きやすい環境ともいえます。しかし、キャリアアップを目指している人にはデメリットと捉えられることもあるので解説します。
-
正社員に比べて給与、昇給が低い
仕事の幅が広がらない
正社員より待遇が低い場合があるので、昇格・昇給を考えているひとにはデメリットになります。また、「新しい挑戦をしたい」「仕事の幅を広げたい」などスキルやキャリアを上げたい人には多様な正社員は不向きかもしれません。
正社員と契約社員の違い
正社員と契約社員の大きな違いは、「無期雇用」と「有期雇用」です。正社員には契約期間はありません。一方、契約社員は期間を決めて、その範囲で勤務します。契約期間が終了すれば、給与が支払われないので長期的な生活は安定しないでしょう。また、賞与は出ることもありますが、正社員に比べて低い傾向です。
正社員と派遣社員の違い
派遣社員は、人材派遣会社と雇用契約を結びます。就労する企業とは雇用関係にはあたりません。契約期間が終わる度に、契約を更新または終了するか決められます。給与は時給で、交通費が自己負担なので、安定した収入を得られないでしょう。また、派遣先の企業から業務内容を指示されるため、昇格や責任ある仕事は任せてもらえません。