「海老で鯛を釣る」とは「小で大を得る」という意味
海老で鯛を釣る
実際に鯛釣りをしたことがある人であれば、車海老や伊勢海老ではないことはわかりますよね。ここでいう海老とは数センチの小さい餌用のものを指します。
「海老で鯛を釣る」とは「小で大を得る」という意味のことわざです。小さい投資や労力で大きな利益やリターンを得る様を表しています。
「海老で鯛を釣る」のニュアンス
「海老で鯛を釣る」は「(小)海老で鯛を釣る」というイメージです。安い小さい海老で高級魚の鯛を釣り上げるということわざ。海老も高級なものという認識ではことわざの意味が分からなくなってしまいます。
そこで生まれたのがこんな誤解。
鯛を釣り上げるには、それなりに高価な海老を使わなくてはいけない ⇒大きな利益を得るには、それなりに投資をしなければいけない
これは完全なる間違いです。誤解していた人は正しい意味で覚え直してください。
偶然か意図的か
・何となく宝くじを1枚だけ買ったら思いがけず1等が当たった ・伸びると見込んだベンチャー企業に投資をしたら数年後大企業に
前者は偶然、後者は意図的。どちらも少ない投資・労力で大きなリターンを得た例です。「海老で鯛を釣る」はどちらを指すことわざなのでしょうか。
「海老で鯛を釣る」は偶然の産物でなければいけないという説もあれば、狙った結果に対して使うという説もあります。
いずれにしても「小で大を得る」ということには変わりありません。
「海老で鯛を釣る」の使い方・例文
・割引券を配ったら売り上げをグンと伸ばすことができた。海老で鯛を釣るとはこのことだ ・バレンタインデーに100円チョコを配ってホワイトデーに何倍ものお返しを狙う海老で鯛を釣る作戦
「海老で鯛」「海老鯛」と略することもあります。
例えば、500円の割引券を配って1回で5,000円以上使ってくれたり、これがきっかけでリピーターになってくれたりしたら「海老鯛」ですよね。
100円チョコで数千円、それ以上のお返しをゲットするバレンタインデーの思惑もしかり。
「海老で鯛を釣る」の類語・言い換え
・蝦蛄(しゃこ)で鯛を釣る ・雑魚(ざこ)で鯛を釣る ・麦飯で鯛を釣る ・鼻糞で鯛を釣る ・一粒万倍(いちりゅうまんばい)
「○○で鯛を釣る」シリーズは他にもあります。「蝦蛄」や「雑魚」は分かりますが、「麦飯」や「鼻糞」が入ることもあるんですね。
似たような意味の四字熟語に「一粒万倍」があります。これは一粒のモミが稲穂になり万倍にもなる様を表しています。
・骨折り損のくたびれ儲け ・労多くして功少なし ・大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき) ・牛刀をもって鶏を割く
「海老で鯛を釣る」は「小で大を得る」という意味です。反対の意味の言葉を挙げるとしたら「大で小しか得られなかった」という意味の言葉でしょう。
「骨折り損のくたびれ儲け」「労多くして功少なし」は有名ですよね。「大山鳴動して鼠一匹」は「大騒ぎした割にちっぽけな結果だった」、「牛刀をもって鶏を割く」は「小さな事柄のために大きな手段を用いる」という意味。
「海老で鯛を釣る」を英語で
Use a sprat to catch a mackerel ⇒スプラット(小魚)で鯖(さば)を釣る Throw a sprat to catch a whale ⇒スプラット(小魚)を投げて鯨(くじら)を捕まえる
海老と鯛ではありませんが、よく似た表現が英語にもあります。スプラットはニシンの一種の小魚。小魚で大きな鯖や鯨を捕まえる、つまり小さなもので大きなものを得るという意味です。
地域によって魚の名前が変わることもあるようです。
海老で鯛が釣れるとは限らない
いつでもどこでも「海老で鯛を釣る」結果になれば言うことなしですよね。しかし、実際には「海老で海老を釣る」、つまり投資した分だけ帰ってくれば万々歳のことが多いです。
欲を出し過ぎて「骨折り損のくたびれ儲け」にならないようにしたいものです。