「立ち往生」とは「身動きが取れない」という意味
渋滞で立ち往生する
渋滞って嫌ですよね。目的地に着くのが遅くなるだけではなく、車内で手持ち無沙汰になったりトイレに行きたくなったり……これだけなら笑い話で済みますが、救急車等の緊急を要する車両が巻き込まれた時は一大事です。
「立ち往生(たちおうじょう)」とは「身動きが取れない」状態を表している言葉。電車や車など交通状況について使われることが多いですが、人に対して使うこともできます。
ここでの「立ち」は身動きが取れない状況を表しているだけなので、座っていようが横たわっていようが関係ありません。実際は座った状態で身動きが取れないことが多いと思います。
「立ち往生」の由来・語源
「立ち往生」の由来は某有名歴史上の人物に由来します。歴史に詳しくない人でも名前ぐらいは聞いたことがあるはず。
「立ち往生」は鎌倉時代初期の僧、「弁慶(べんけい)」に由来する言葉です。主君である悲劇の武将、源義経(みなもとのよしつね)とともに有名ですよね。
弁慶は「とにかく強くて忠義の人」というイメージで知られています。「立ち往生」も弁慶のキャラクターを強く表すエピソードに由来します。
義経は兄である頼朝の軍勢に追い詰められ、自害することに決めた。義経の自害が邪魔されないように弁慶は敵を前に守りを固める。奮戦する弁慶だったが多勢に無勢、弁慶もついに息絶えた。死してもなお主君を守る様に立ったまま死んでいたという。
このエピソードの真偽はともあれ、「立ち往生」はここから生まれた言葉です。
弁慶が元になった言葉は他にもあります。
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「立ち往生」の使い方・例文
・船が座礁して立ち往生したとニュースが流れた ・渋滞時に救急車が立ち往生してしまう問題 ・初めての講演に緊張して壇上で立ち往生した苦い思い出 ・いつまで経っても待ち人が来ずに立ち往生した
乗り物が動けなくなるだけではなく、人が動けなくなる際にも使います。
さすがに身動きが取れなくなって死ぬことはありませんが、乗り物に使うよりも人に使う方が元の意味(弁慶のエピソード)のイメージに近い気がします。
「立ち往生」の類語・言い換え
・足止めを食らう ・八方塞(はっぽうふさ)がり ・手詰(てづ)まり
「立ち往生」の類語としてこれらが挙げられます。「立ち往生」は比較的知られている表現ではありますが、伝わらない場合は言い換えるといいでしょう。
「足止めを食らう」は文字通り、車や電車が動かなくなる状態のこと、「八方塞がり」「手詰まり」は立場や状況が悪くなって身動きが取れなくなる際に使用します。
・渋滞で立ち往生する ⇒渋滞で足止めを食らう ・想定外の出来事が次々と起きて立ち往生してしまった ⇒想定外の出来事が次々と起きて八方塞がりになった
「立ち往生」を英語で
People were stranded on the road ⇒人々は道路に立ち往生した(させられた)
「be stranded」で「立ち往生する(させられる)」を表しています。「strand」で「立ち往生させる」という意味なので、主語を人にする場合は受け身にする必要があります。
「stuck」と名詞で「立ち往生」を表すこともできます。「渋滞で立ち往生」であれば、「stuck in traffic」。
「立ち往生」してしまったら
雪や大雨で電車のダイヤが乱れたり、渋滞に巻き込まれたりと生活していると何かと「立ち往生」することは多いですよね。乗り物に限らなくても、トラブルやストレスが原因で身動きが取れなくなることもあります。
「立ち往生」して解決策が思い浮かばない時は相談したり、思い切って切り捨てたりして前に進むことが大切です。