漠然とは『ぼんやりとしてはっきりしないこと』
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『漠然』とは「ばくぜん」と読み、『ぼんやりとしてはっきりしないこと』という意味です。後輩君は会議の提案内容も受け答えの様子も、ぼんやりしてはっきりしていなかったようですね。
日常生活の中でも漠然という言葉はよく出てきますが、「なんとなくこんなニュアンスだろう」という感じで使っている方が多いかもしれません。この記事では、漠然の正確な意味を掘り下げて紹介しましょう。
漠然には3つの意味がある
漠然について、「ぼんやりしている」というニュアンスはなんとなくわかるけど、具体的にどのような様子を指しているのかはよくわからない人も多いのではないでしょうか。
漠然には3つの意味があり、それぞれ使うシーンが異なります。ニュアンスの違いを覚えて、正確に使うようにしてみてください。
漠然とは『考えや意見にとりとめがない様子』
漠然は、考えや意見にとりとめがない様子のときに使われる言葉です。考えや意見に具体性がなくまとまりがない、要領を得ない場合に『漠然』と言い表すことがあります。否定的なニュアンスなので、「漠然としている」といわれるのはあまり気持ちのいいものではありません。
『考えや意見にとりとめがない様子』という意味の例文を見ていきましょう。
彼の話は漠然としているので、全然理解できなかった
漠然とは『広く果てしない状態』
『広く果てしない状態』を指して『漠然』という場合もあります。「漠」という字は「砂漠」からきたもので、砂漠の広く果てしない様子と同じというニュアンスが込められています。
前の2つの意味が「考え」や「内容」を表すのに対し、ここでの『漠然』は情景などの空間を表します。日常の会話で出てくることはあまりなく、小説などで使われることが多いでしょう。
『広く果てしない状態』という意味の例文を見ていきましょう。
漠然と広がる大地をさまよった。
漠然とは『範囲や内容がはっきりしないこと』
『範囲や内容がはっきりしない』場合にも『漠然』を使います。『まとまりがなく、とらえどころがない様子』を表します。例えば何かを指示されたときに何をするのか、いつまでに終わらせるのか具体的な内容がなかったら、「漠然とした指示をされた」ということができるでしょう。
『範囲や内容がはっきりしないこと』 という意味の例文を見ていきましょう。
漠然と将来のことを考えているだけでは、何も変わらない。
漠然の英語は『vague』
漠然の英語は『vague』です。ヴェイグと発音する形容詞ですが、使用する文章の中で副詞(vaguely)や名詞(vagueness)に変化します。
vagueを使った英語の例文を紹介しましょう。
The task was imposed but was a vague theme and could not be completed.
出された課題は漠然としたテーマだったため、完成させることができなかった。
She understands that vaguely.
彼女はそれを漠然と理解している。
Vagueness attributable to being not clearly defined.
明確に定義づけされていないために漠然としていること。
漠然と曖昧の違い
漠然と似た言葉に、曖昧 (あいまい)があります。曖昧は物ごとがはっきりしない様子や、紛らわしいこと、不明確なことを表します。
はっきりしないという点では漠然と似ていますが、漠然がつかみどころのない様子を表すのに対し、曖昧は2つ以上の意味にとれて頼りない様子、信憑(ぴょう)性がない様子を表します。
また、曖昧は本当のことをはっきりとさせないため、故意に対象が何かを判断できないようにすることを表す場合にも使われます。例文を見てみましょう。
上司
漠然の使い方・例文
日常会話でも使われる漠然という言葉、ビジネスの現場ではどのように使われているのでしょうか。例文を見ていきましょう。
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[おまけ] 類義語である「抽象的」との違いもチェック
漠然と似た言葉には、「曖昧」のほかに「抽象的」もあります。抽象的とは物ごとの共通した要素を抜き出して一般化していること、具体性に欠け実態が明確でないことを表している言葉です。
『漠然』がはっきりせずつかみどころがないことを表しているのに対し、「抽象的」は物ごとの特徴を広い範囲の概念で捉えている様子ということができます。
「抽象的」の例文は下記のとおりです。
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漠然の意味を理解して正しく使おう
漠然には3つの意味があり、それぞれニュアンスが異なります。曖昧や抽象的など似た言葉もあるので、正確な意味を理解し、ビジネスシーンの中でも正しく使うようにしましょう。