インスパイアとは、影響を受けること!
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「インスパイア」の意味は簡単に説明すると、「影響を受けること」。よく耳にする言葉なので、意味を想像できたという方もいるかもしれませんね。しかし、「インスパイア」は使い方を勘違いしやすい用語でもあります。
間違った使い方をしていないか、「インスパイア」の詳しい意味や使い方をみてみましょう。
インスパイアの意味をチェック
「インスパイア」は「inspire」という英語から日本語になった言葉です。意味を詳しくみてみましょう。
インスパイアとは?
インスパイアはもともとはラテン語で、次のような意味を持ちます。
「影響を与える」ということは、相手にとってみると「影響を与えられる」ということ。そこから「影響を受ける」という意味が生まれました。
英語のインスパイアはどんな意味?
英語の「inspire」の意味は、日本語での使い方と大きく変わらず、次のようなものがあります。
いろいろな意味が書かれていますが、「inspire」の根本には「他者にヒントを与える」という意味合いがある言葉のようです。
これは北斎からヒントを得ています。
インスパイアの使い方・例文
「インスパイア」は意識せずに「影響を与える」「影響を受ける」ときに使われる言葉です。日本語の「インスパイア」の使い方を例文でみてみましょう。
インスパイアされる
「インスパイアされる」というのは、主語になる人がマネする意図なく「他者から影響を受けて何かひらめいた」という意味。「意識せずに」「故意ではなく」というのが肝です。
例文①
B:「クラシックカーマニアの親父にインスパイアされたからだよ。腕を上げて親父のコレクションを整備させてもらうのが夢なんだ」
例文②
B:「KOMONOコモノはどう?日本の『小物』っていう言葉にインスパイアされるブランドだよ。世代も性別も問わないデザインで、いい雰囲気の時計が揃っているよ」
インスパイアする
「インスパイアする」というのは、主語になる人が本人の意志とは無関係に、他者に「影響を与える」という意味。影響を受けた人を主語にする言い方ではないので注意してください。
例文①
B:「北斎は現代の日本でも人気の芸術家ですけど、そこまで偉大な人物と思われてないのが面白いですね」
A:「北斎は売れっ子浮世絵師だったけど、絵で儲けていたわけではなく、死ぬまで貧乏していたそうだ」
例文②
B:「それは両方とも、1997年に渋谷区円山町ラブホテル街で起こったエリート女性殺人事件がインスパイアする作品だからさ」
A:「なるほど。元ネタが一緒だったんだね。どっちも強烈で一度みたら忘れられない作品だわ」
インスパイアが使われている事例
「インスパイア」の使い方はつかめましたか?この見出しでは「インスパイア」が使われている事例をみてみましょう。
日立のキャッチコピー「インスパイア ザ ネクスト」
日立のキャッチコピーの「インスパイア ザ ネクスト(Inspire the Next)」は、「次世代にひらめきを与えよう」という意味。「Next」の右上に付いている小さな赤い線は、日立が新しい時代に向かって伸びていくんだという決意の強さを表しているそうです。
ホンダの車種「インスパイア」
1989年に登場したホンダの「インスパイア」は、「独創的なひらめきを提供し、感動させる」という想いを込めて名付けられた車。
当時のフラッグシップモデル「レジェンド」と、ミドルクラス「ホンダ・アコード」の中間に位置する、「アッパー・ミドルクラス」の高級セダンが「インスパイア」です。2012年に日本では新型「レジェンド」の販売が終了しています。
ラーメン二郎に似ている「インスパイア店」
ラーメン二郎はコッテリ系デカ盛りラーメンで人気のお店。4種類のトッピング「ヤサイ」「ニンニク」「アブラ」「カラメ」を、無料で追加できるのも魅力ですよね。
ラーメン好きに愛されるラーメン二郎には、「ラーメン二郎にインスパイアされたラーメン」と自称する、インスパイア系ラーメン店が複数存在します。
もっとも、本家のラーメン二郎の店主たちはインスパイア系を「類似郎」や「モドキ」と呼んで、快くは思っていないようです。
インスパイアの類語・対義語
ここまで「インスパイア」についていろいろ紹介してきました。次は「インスパイア」の類語・対義語をみてみましょう。
インスピレーション
「インスピレーション」は、天から授かったかのように何もない頭の中に突如、舞い降りてくる独創的なひらめきのこと。「霊感」という意味もあります。
似た言葉に「直観」というものがありますが、こちらは過去の経験がもとになって突如アイデアがひらめくことなので、少し違った意味合いになります。
パクリ
「パクリ」は他者のアイデアや作品を意図的にマネして同じようなものを作ったり、一部を取り込んで活用し、自分のオリジナル作品として発表すること。
「インスパイア」との境は非常にあいまいで、それが故意か故意でないかを客観的に判断するのは難しいです。そのため、みる人の受け止め方次第で「パクリ」といわれたり、「インスパイア」といわれたりします。
また、似た言葉に「模写」があります。「模写」では意図的に他者の作品をマネしますが、あくまでも練習なので、基本的に自分の作品として世に発表することはありません。
パロディ
「パロディ」は他者の創作した芸術作品(文学、音楽、映画なども含む)をあえて下手にマネしたり、もじって自身の作品に取り込むこと。揶揄(やゆ)や風刺、批判目的でおこなわれたり、逆に敬意を表しておこなわれたりすることもあります。
「パロディ」は元ネタを知っている人に笑ってもらえるように、元ネタをバレバレな状態で自分の作品に仕込みます。
[対義語]エクスパイア
「インスパイア」の対義語は「エクスパイア(expire)」です。「expire」には次のような意味があります。
インスパイアとパクリを混同しないように注意!
「インスパイア」と「パクリ」は境界があやふや。特にデザインの世界では、どのようなデザインもすでにどこかで誰かが似たようなものを作っているため、完全にオリジナルの作品を作るのはほぼ不可能とまでいわれています。
でも、「パクリ」は自身の評価、関係する企業や製品の評価を叩き落してしまうので、絶対にNG。
よりよい製品やサービスを作り出すため、積極的に「インスパイアされる」のはアリですが、「インスパイア」と「パクリ」の境を意図的にあやふやにして言い訳するのはダメですよ!