逢瀬とは『恋愛関係の男女がひそかに会うこと』
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逢瀬という言葉を知っていましたか? 逢瀬の意味は『恋愛関係の男女がひそかに会うこと
』です。でも確かに「密会」という言葉を使うと、風情がなくなってしまいます。どうしてなのでしょうか?まずはこの言葉の意味と読み方、さらには語源や英語表現などをくわしく解説していきましょう。
逢瀬の意味をチェック
逢瀬とは『恋愛関係の男女がひそかに会うこと』です。この「ひそかに」というところがポイント。堂々と会うと、風情がなくなってしまい、逢瀬という言葉の持っている本来のニュアンスから離れてしまうのです。まずは読み方からみていきましょう。
逢瀬の読み方は「おうせ」
逢瀬の読み方は「おうせ」です。「逢」を「おう」と読むのがやや難易度が高いところ。音読みでは「ほう」、訓読みでは「逢う」と書いて「あう」と読むため、「ほうせ」「あうせ」と間違えるケースも多いのですが、「ほうせ」でも「あうせ」でもなく、「おうせ」と読みます。文字を目で見るだけでなく音読してみると、耳と口からも覚えられるのでおすすめです。
逢瀬の語源
「逢」という文字は会意文字と象形文字との組み合わせでできています。「偶然出会う」「道を歩いていった先で出会う」などのニュアンスのある漢字です。
「瀬」は「浅瀬」「早瀬」という言葉があることからもわかるように、川の流れに由来する言葉です。「川の流れが早くて浅い場所」をあらわしています。浅くて歩いて渡れるため、歩いて渡れる場所というニュアンスから転じて、場所、立場、機会などをあらわすようになったのです。
この2つの漢字を組み合わせて『男女がひそかに会うこと』となりました。川の流れをあらわす「瀬」が使われることによって、「ほんの一瞬の出会い」、「つかのまの出会い」といったイメージが喚起されるため、「逢瀬」という言葉から叙情的、文学的な雰囲気が漂うのです。
逢瀬の英語は『Tryst』
逢瀬の英語は『Tryst』です。Trystにはこのほかに「場所と時間を指定した会合の約束」という意味もあります。
Trystを使った例文を紹介しましょう。
彼は彼女と逢瀬の約束をした。
彼女は現実から逃避して、彼との逢瀬を楽しんでいる。
逢瀬と逢引の違い
逢瀬と似た言葉に逢引があります。『恋愛関係にある男女がひそかに会うこと』という意味はほぼ共通しているのですが、逢瀬と逢引とでは微妙にニュアンスが違います。相違点をくわしくみていきましょう。
逢瀬は場所を意味する「瀬」という言葉が使われていることからもわかるように、男女がつかのま出会う場所や機会といったニュアンスが含まれています。男女があるタイミングでほんのひとときをともにするというイメージです。
一方、逢引は「逢う」という行為そのものが強調された言葉であり、その目的が強調される傾向があります。逢瀬には詩的、文学的な響きがあるのに対して、逢引はより生々しい言葉といえるでしょう。
逢瀬の使い方・例文
逢瀬という言葉、日常会話の中でどんな使い方をされているのか、例文をみていきましょう。
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[おまけ]平安時代は逢瀬の宝庫
逢瀬という言葉には、歴史的な響きがあります。この逢瀬という風習が平安時代には当たり前だったことを知っていましたか?当時の恋愛に対する考え方やモラルは現代の価値観とはまったく異なるものでした。
平安時代の貴族は和歌のやりとりによって気持ちを伝えたり気を惹いたりして、お互いの気持ちを確認し、男性は夜になると女性の家にそっと忍び込みました。この夜這いが逢瀬と呼ばれるもので、3度逢瀬を重ねると結婚するという風習があったのです。当時は一夫多妻制だったので、次から次へと結婚するケースは珍しくありませんでした。
当時の文学や随筆からはそうした平安時代の恋愛事情が伝わってきます。逢瀬がモチーフのひとつとして数多く登場しているのです。ただし直接的な表現ではなくて、ほのめかす表現が多く見られる傾向がありました。
例えば、夜明けの描写、早朝の鳥の鳴き声の描写などから逢瀬の最中であることがわかるといった書き方がされていたのです。こうした叙述の洗練が文学を発展させたといういい方もできるでしょう。つまり逢瀬という風習は、文化の発展に貢献していたのです。
逢瀬の意味を理解して正しく使おう
逢引、密会といった言葉を使うと、生々しくなりすぎるので、さりげなく使いたいならば、逢瀬という言葉がおすすめです。ビジネスの場面ではあまり登場することはありませんが、恋愛小説や映画、ドラマなどについて会話するときに、さらっと使うといいでしょう。