「未曾有」とは「今までにない」という意味
未曾有の大災害
地震や洪水など今まで経験したことも聞いたこともないような大災害をこのように表現することがあります。
「未曾有(みぞう)」とは「今まで一度もなかった」という意味。自分の目で見たことも体験したこともないのはもちろん、過去の人が経験した話も聞いたことがないような珍しい出来事を表す表現です。
多くは災害や事件などよくない出来事について使われます。
「未曾有」の読み方
「未曾有」は「みぞう」と読みます。「みぞうゆう」と読んでしまわないように注意。
かつて「未曾有」を「みぞゆう」と漢字を読み間違えただけでメディアに叩かれた「未曾有」の政治家がいました。
「未曾有」の語源
「未曾有」は「未(いま)だ曽(かつ)て有(あ)らず」と読み下すことができます。
お察しの通り、中国由来の熟語です…と言いたいところですが、半分正解で半分間違い。
「未曾有」のルーツ
なんと「未曾有」のルーツはインドです。古代インドで使われていたサンスクリット語の単語、「adbhuta」が中国で「未曾有」に訳され、そして日本へ。
「adbhuta」には「ありえない」「奇跡」「驚き」という意味がありました。
なぜ一単語である「adbhuta」が中国や日本に輸入されたかというと、仏教用語だったからです。
もともとは仏教の素晴らしさを称える表現や経典名として使われていた表現でした。「未曾有」はいい意味で珍しいことを表す表現だったのです。
現在のようにネガティブな意味で使われるようになるとは、当時の人は思ってもみなかったでしょうね。
「未曾有」の使い方
・未曾有の出来事 ・未曾有の事態 ・未曾有の国難 ・未曾有の災害 ・未曾有の危機 ・未曾有の状況 ・未曾有の災禍
「未曾有」の後に続く言葉はほとんどが悪い出来事や状況。「未曾有の出来事」「未曾有の状況」だけではいいのか悪いのかはっきり述べていませんが、ネガティブな意味だと予想することができます。
「未曾有」の注意点
いい意味で使うことができないわけではありません。しかし、悪い意味で使うことがほとんどであり、誤解される可能性大です。
いい意味で珍しいことを表したいのであれば次の表現を使いましょう。
「未曾有」の類語
・稀有(けう) ・前代未聞(ぜんだいみもん) ・前例(ぜんれい)のない ・類(たぐい)のない ・空前絶後(くうぜんぜつご)
「前代未聞」「前例のない」「類のない」は「未曾有」と同じで「珍しいこと」を表す表現。しかし、これらは「未曾有」と違い、悪いことだけではなく、いいことや単に珍しいことに対しても使います。
・前代未聞の珍事 ・前例のないことに挑戦する ・類のない才能を持っている
「空前絶後」は過去と現在だけではなく、未来にも起こることのない珍しいことという意味。「未来」が含まれている分、「未曾有」よりも強調した表現です。
「未曾有」を英語で
It was an unprecedented event ⇒それは未曾有の出来事だった
「unprecedented」で「未曾有」を表しています。「前代未聞」と訳すこともできます。
また、「前代未聞」の場合は「unheard(聞いたことがない)」で表すことも可能。「未曾有」をこちらに訳しても問題ありません。
「未曾有」だからこそ
コロナ禍で経済活動、日常生活に支障が出ている現在はまさに「未曾有」といえます。
思い通りにならずにストレスがたまることも多いかと思いますが、周りの人と助け合って「未曾有の危機」を乗り越えましょう。