「本末転倒」とは「どうでもいい」>「大事」
本末転倒
四文字熟語の「本末転倒(ほんまつてんとう)」。よく見聞きする表現ではありますが、正確な意味はご存知でしょうか。
「本末転倒」とは「重要なことよりも些末なことを優先してしまう」という意味。どうでもいいことに気を取られて、もっとも力を注がなければいけないことがおろそかになる…誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
「本末転倒」の由来
「本末転倒」はお寺の本山と末端の寺院の立場が逆転してしまったことに由来します。
本山よりも地域に根差した末端の寺院が信者数も資金力も名声も上回り、力関係が逆転してしまうことがありました。
「本(本山)」と「末端」が「転倒(逆転)」。そこから転じて現在の意味になりました。
「本末転倒」の例
「本末転倒」とは具体的にどのようなケースのことを指すのでしょうか。具体例を見ていきましょう。
志を同じくした者同士が集まり新党を結成
⇒党の名前で揉めて分裂
政策や指針など重要な部分ではなく、党の名前という傍から見たら些細に思える部分で揉めて分裂。まさしく「本末転倒」です。
テスト勉強に集中するためYouTubeでBGMを検索 ⇒BGM選別にこだわりすぎて時間がなくなる
テスト勉強あるあるです。勉強に集中するために最適な音楽を探すために時間を使ってしまい、肝心の勉強する時間がなくなってしまう…環境を整えるために掃除して時間が無くなるバージョンもあるあるですよね。
資料作成に注力 ⇒装飾にこだわりすぎて中身がおろそかに
見た目も大事ですが中身ありき。
「本末転倒」の類語・対義語
・主客転倒(しゅかくてんとう) ・冠履転倒(かんりてんとう) ・元も子もない
「主客転倒」は「主」と「客」の力関係が逆転するという意味。物事の「順序」が入れ替わるという意味でも使われます。
「冠履転倒」は本来の「地位」や「立場」が逆転するように秩序が乱れることを意味します。
「元も子もない」とは
「元も子もない」は「利益」だけではなく「元手」も失うという意味から転じて、「目的のものを手に入れられないだけではなく、失う必要のないものまで失ってしまう」という意味で使われます。
ことわざというよりも、慣用句という位置づけです。
「本末転倒」と似ていますが、「元も子もない」は全て失うというニュアンス。
利益を上げるためにコスト削減 ⇒質が落ちたために売り上げが低下 ⇒利益が前よりも下がってしまう
これは典型的な「元も子もない」ケースといえます。
・首尾一貫(しゅびいっかん) ・徹頭徹尾(てっとうてつび)
「本末転倒」の対義語をあえて挙げるとしたら、「首尾一貫」や「徹頭徹尾」のように「初めから終わりまで変わりない」という意味の言葉でしょうか。
「本末転倒」を英語で
put the cart before the horse ⇒本末転倒
「本末転倒」を表す「put the cart before the horse」という言い回しを紹介します。
直訳すると、「馬の前に荷馬車を持ってくる」。
「misplace one’s priorities(優先順位を間違う)」とより直接的な表現もあります。
「本末転倒」しないように
「本末転倒」の意味を知るだけではなく、「本末転倒」にならないように気をつけてほしいです。
特に仕事では物事に優先順位がついています。とはいえ、新人のうちは何を優先したらいいのか、はっきりしないこともあるかもしれません。経験を重ねてなるべく「本末転倒」なことがないようにしたいですね。