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判断に優れた人に対して使われる先見の明。ビジネスの場でも耳にする機会が多いので、どんな意味か確認しておきましょう。今回は使い方や類語、英語表現についても解説します。
「先見の明」とは?
「先見」は将来どうなるか、あらかじめ見抜くこと。「明」は物を見る力を意味します。
高い判断力はもちろん、的確に対処できる実行力もあわせもつことを示す表現です。
「先見の明」よくある間違い
先見の明の読み方は「せんけんのめい」。まれに「せんけんのみょう」と読む人がいますが、これは間違いです。
また、音が似ているせいか「先見の目」という人がいますが、これも間違い。正しくは「明」のみですので、覚えておきましょう。
「先見の明」の使い方
「先見の明がある」「先見の明に優れる」「先見の明に長ける」など、さまざまな表現があります。
革新的な人物や企業に対して使われることが多く、ビジネスシーンでもなじみのある表現ですね。
・A社は先見の明に優れた人物を経営に据えてから業績が急激に改善した。
・彼女が政界で躍進できたのは、先見の明に長けていたからだろう。
「先見の明」の類語は?
先見の明には複数の類語や関連語があります。一例をご紹介しましょう。
意味は完全に同一ではありませんので、状況に応じて使いわける必要があります。
深慮遠謀(しんりょえんぼう)/深謀遠慮(しんぼうえんりょ)
遠い将来のことまで考えて周到に準備する力を意味します。深慮遠謀・深謀遠慮どちらもまったく同義。先見の明と意味はほぼ同じですが、こちらは陰謀で他人を陥れるなどネガティブな事柄にも使われます。
慧眼/炯眼(けいがん)
物事の本質を見抜く力のこと。慧眼・炯眼と表記は違いますが、どちらも同じ意味です。先見の明が将来を予見する力を指すのに対し、こちらはそうした能力を含まない場合にも使えます。
洞察力(どうさつりょく)
物事を観察してその本質や奥底にあるものを見抜く力を意味します。こちらも先見の明とは違い、将来を見通す力を示す度合は低いといえます。
「先見の明」の英語表現は?
先見の明を英訳したい場合は「foresight(先見、洞察力)」「vision(先見性)」「insight(洞察力)」などの単語を使って表現できます。
(彼女には先見の明があるので、ビジネスで成功している)
・A man with an outstanding vision
(並外れた先見性のある人物)
・He is a person of deep insight.
(彼は深い洞察力のある人だ)
おまけ「先見の明」の由来
先見の明は、中国の歴史書である「後漢書」の楊彪(ようひょう)伝の以下の箇所から生まれた故事成句です。
金日磾はみずから息子を殺害した人物。息子は武帝に重用されていたが、成長するにつれて武帝を悩ますようになり、将来を悲観した父・金日磾によって殺されてしまう。
曹操はこれを聞いて、自身の態度を改めたという。
なお、今も私たちがよく使う表現には、同じように後漢書由来のものが数多くあります。代表的な例を以下にご紹介します。
・「烏合の衆」(耿弇(こうえん)伝):規律も統一もなく寄り集まった群衆
・「登竜門」(李膺(りよう)伝):立身出世の関門
これらはほんの一部。ほかにもいろいろありますので、興味がある方は探してみてはいかがでしょう。
「先見の明」はビジネスでも重要!
その時は非常識に思えたことが、結果的に的確な判断だった。あとから振り返ると成功の転機になった。成功をおさめた人や企業には、そんな先見の明を示すエピソードが多いですよね。
意図して磨ける能力ではないかもしれませんが、日ごろから多くの情報にあたり、慎重に判断を重ねることで、少しでも先見の明に優れた人に近づけるかもしれません。