懇ろとは「心のこもっているさま」という意味
新人
先輩
新人
新人君、自信満々ですねぇ。間違ってますけど。
職場やお得意先で恥ずかしい間違いをしないよう、懇ろについてしっかり勉強しておきましょう。
懇ろの意味
懇ろは「心のこもっているさま」という意味の言葉ですが、ほかのニュアンスももっています。懇ろのくわしい意味をみてみましょう。
・親しい様子
・男女の仲が親密である様子
・男色(男の同性愛)関係を持つこと
ビジネスシーンで懇ろを用いる場合は、心のこもっている様子や親しい様子という意味になるのが一般的です。
男女の深い仲や男色関係というニュアンスでは普通使いません。
懇ろの語源・由来
懇ろは、「ね(根)」+「もころ(如)」、「ね(根)」+「も(助詞)」+「ころ(凝)」から作られた言葉といわれています。
①「根」+「如」=「根の如く」=根がからんでくるように
②「根」+「も」+「凝」=「根も凝」=根が密になってかたまる
どちらが本当の語源かはわかっていません。どちらにしても、懇ろは根がからむように非常に密な関係であるという意味合いの語句になります。
懇ろの読み方は「ねんごろ」
懇ろの読み方は「ねんごろ」です。「ねもころ」と読む場合もありますが、これは懇ろの古語。今ではあまり使われません。
古語の「ねもころ」の読み方は、次第に「ねむころ」に変化し、さらに「ねんごろ」に変わって今にいたります。
懇ろの使い方・例文
懇ろはどちらかというと年配の人が用いるケースが多いワード。馴染みのある若者は少ないかもしれませんが、死語ではありません。
懇ろをどのように使うのか、例文でイメージしてみましょう。
上司
上司
新人
先輩
新人
ビジネスシーンでの懇ろは、親身なさまや仲がいい様子を指して用いるのが大半ですが、男女に使うときは念のため注意が必要です。
懇ろには性的な意味合いもあるため、下手な言い方をすると周囲からあらぬ疑いを受けたり、セクハラになったりするおそれがあります。
懇ろは、恋人同士や夫婦ならそれほど問題にはなりませんが、そのほかの男女には使用しないほうが安全です。
懇ろの類語
懇ろは男女には使いにくいなど、面倒な部分もある言葉です。使用するのが心配なシチュエーショでは似たようなニュアンスをもつ別の語句に言い換えましょう。
手厚い:心がこもっていて、丁寧である
慇懃な(いんぎんな):気持ちがこもっていて、礼儀正しいこと。とても親しい付き合い方
昵懇(じっこん):親しく打ち解けた付き合い
ちんちんかもかも:男女が親密なこと
難しい言葉もありますが、比較的簡単なのは「丁重」や「手厚い」でしょうか。これらの言葉も上手に活用してみてください。
慇懃について、くわしくは下記の記事で紹介しています。
『慇懃』とは?『慇懃無礼』は良い意味になる?使い方・類語・関連語・英語も紹介
懇ろの対義語
懇ろの対義語には次のような言葉があります。
疎遠:遠ざかって関係が薄い、親密さに欠けること
蔑ろ(ないがしろ):軽くみて冷たくあしらうこと
一語で、懇ろがもつすべての意味の反対のニュアンスを表せる対義語はありません。言葉をそれぞれの意味とセットで覚えて使い分けましょう。
懇ろの英語表現
懇ろを英訳したいときには次の表現が使えます。
gracious:丁重な、親切な
courteous:礼儀正しく思いやりのある、丁重な
friendly:親しい、仲がいい
amiable:好意的な
genial:親切な
cordial:心からの、誠心誠意の
affable:親しみのもてる
kind: 親切な、思いやりのある
warm:心理的に温かい。親切で反応がいい
ちなみに、懇ろの対義語の「がさつ」は「crude」といいます。
懇ろは使い方注意の言葉
懇ろは、心のこもった暖かい対応をしてもらったときなどに使える言葉です。
「親密さ」を表すいい意味のワードではあるのですが、セクシャルなニュアンスも含んでいるため、使用するときには注意が必要な語句でもあります。
特に、ビジネスシーンでは、男女に対して懇ろを用いるのはあまりおすすめできません。ほかのワードに言い換えるほうが無難です。