泡沫とは「あわ」のこと
上司
新人
上司
泡沫はもともと「あわ」という意味の言葉です。そこから意味合いが広がって次のような意味になりました。
・あわのようにはかなく消えやすいもののたとえ
・あわのようにすぐ消えるから問題にならないもののたとえ
泡沫は「もののあわれ」に美しさを見出す日本人に昔から愛されてきました。もののあわれとは、しみじみとした情趣や哀愁のこと。風情ある素敵な言葉ですよね。
泡沫の語源・由来
泡沫は、古代中国語からきた言葉です。泡沫の「泡」と「沫」は、両方とも「水面に浮かぶあわ」を意味する漢字。古代中国語の「泡沫」も「水面に浮かぶあわ」という意味をもつ熟語です。
一方、古代の日本では「水面に浮かぶあわ」を「うたかた」と呼び、「はかなく消えやすいもの」のたとえ言葉として詩などに使ってました。
たまたま、中国語の「泡沫」と日本語の「うたかた」が同じ意味をもっていたのです。そうした経緯から、泡沫は「はかなく消えやすいもの」を表す言葉として日本語にも取り入れられました。
泡沫の読み方は「ホウマツ」「うたかた」「うたがた」
泡沫には「ホウマツ」「うたかた」「うたがた」の3通りの読み方があります。
「ホウマツ」は、古代中国語「泡沫」の発音からきた読み方。「うたかた」は、古代日本語の「うたかた」をそのまま泡沫の読みにあてたものです。
読み方の使い分けに、はっきりとした決まりはありません。
ただ、どちらかというとはかなくて美しいときに「うたかた」、取るに足らないときに「ホウマツ」の読みがあてられるのが一般的です。
「うたがた」は、「うたかた」のさらに古い言い方になります。「うたかた」が使われるようになったのは平安時代以後。今では「うたかた」が一般的になっています。
泡沫の使い方・例文
泡沫は「水面に浮かぶあわ」という意味をもつ言葉ですが、このニュアンスではあまり使いません。「はかなくて美しい」「取るに足らない」といったとき、たとえとして泡沫を使用するのが今の主流になっています。
上司
先輩
上司
上司
新人
泡沫候補(ほうまつこうほ)は、当選する可能性が極めて低い選挙の立候補者のこと。
泡沫の夢は「はかなく消える夢」「実現できたとしてもすぐに壊れてしまうはかない夢」という意味です。
泡沫の類語
泡沫のほかにも、繊細で日本的な雰囲気のあるいい言葉はたくさんありますよ。泡沫に似た意味合いのワードをおさえておきましょう。
儚い(はかない):淡くて消えやすい
水泡(すいほう):水のあわ。はかないことや無駄になることのたとえ
かげろう:昆虫の名前。成虫の寿命が数時間から数日しかないことから、はかないもののたとえ
夢幻泡影(むげんほうよう):仏教語のひとつ。人生や世の中にある物事は実体をもたず、はかないことのたとえ
難しい言葉もありますが、日本人として美しい日本語は使いこなせるようになりたいですね。
泡沫の対義語
泡沫の対義語には次のようなものがあります。
永久(えいきゅう・とわ):限りなくどこまでも続くこと
永続:長く続くこと
悠久(ゆうきゅう):果てしなく長く続くこと
持続:特定の状態が保たれること
有力:勢力や威力などがあるさま
単語は反対の意味をもつ言葉とセットで覚えておくと使いやすくなります。伝えたいニュアンスに近い用語を選べるようになりましょう。
泡沫の英語表現
泡沫という単語で、はかないことを表すのは日本独特の言い方です。英語で似たようなニュアンスを表現するときには次の単語が使えます。
ephemeral:つかの間の、はかない
fleeting:つかの間の、はかない
short-lived:はかない、短命の
fickle:変わりやすい、移り気の
omentary:つかの間の、一時的な
frail:はかない、かよわい
「水面に浮かぶ泡」といいたいときには「bubbles floating on the surface of the water」を使用してください。bubble=泡、floating=浮かぶ、surface=表面、という意味です。
泡沫は長く残したい美しい日本語
泡沫は、学校で教える機会が少なくなっている語句のひとつ。しかし、古くから日本人が用いていた美しい言葉です。
社会人の教養として泡沫について学び、使いこなせるようになりましょう。古い日本語を現代の言葉と組み合わせて使用し、次世代に日本語のよさを伝えていけたら素敵ですね。