嚆矢とは「ものごとのはじまり」のこと
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嚆矢は「ものごとのはじまり」を意味するたとえ言葉です。
日常生活の中ではめったに出てこない語句ですが、ビジネス会話ではしばしば使用されます。ビジネスマンなら覚えておいて損のない熟語ですよ。
嚆矢の意味と語源
嚆矢の一般的な読み方は「こうし」です。しかし、書物などでは、ときどき作者が嚆矢を「かうし」や「はじめ」「はじめて」と読ませるケースがあるので注意しましょう。
嚆矢のもともとの意味は「合図の矢」
嚆矢のもともとの意味は鏑矢です。
鏑矢は、木や竹で作った鏑(かぶら)という装置をつけた矢です。鏑は、かぶら(野菜のかぶの別名)に似た形だからこの名前がつきました。矢を射って、鏑に風が通ると「ヒュッ」という音がします。
鏑矢は古くから戦場で使われていましたが、人を殺すための武器ではありません。今でいうと、スタートの合図に鳴らす空砲のピストルのような道具です。
戦の開始時に鳴らすことから、嚆矢は「ものごとのはじまり」や「最初」という意味でも使われるようになりました。
「はじまり」という意味の嚆矢の由来は荘子
「ものごとのはじまり」という意味の嚆矢を最初に使ったのは、荘子(そうし)といわれています。
荘子は中国戦国時代の人物。あるがままの自然な状態を人間の生き方の理想と考えていた思想家です。
荘子は「人々が尊ぶ賢人や聖人こそ、悪に利用されて悪人の嚆矢(はじまり)になる。小手先の知恵や美徳を捨てれば、人々は人間が本来もっている偽りや飾りのない心に戻り、悪人はいなくなるだろう」と説きました。
現代の嚆矢と鏑矢の違い
もともとは鏑矢=嚆矢でしたが、現代では両者を使い分けるようになっています。音の鳴る矢は、嚆矢ではなく鏑矢と呼ぶのが一般的になっています。
現代における嚆矢と鏑矢の意味を整理します。
・鳴り矢
現代語の嚆矢は、もっぱら「ものごとのはじまり」という意味で使います。
逆に、鏑矢は「鏑をつけた矢」という意味でしか用いないので覚えておきましょう。
嚆矢の使い方・例文
嚆矢は、今までにない画期的なものごとのはじまりに使うのが一般的。
自然に起こったものではなく、人が発見した新しい技術や斬新な取り組みなどのはじまりに対して使用するワードです。だから、嚆矢はビジネスとの親和性が高く、職場での会話でもたまに登場します。
また、個人的に何かのはじまりを表現するときにも用いることが可能です。
嚆矢の使い方を例文でイメージしてみましょう。
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嚆矢の類語・言い換え表現
嚆矢は難しい言葉なので、相手に通じない可能性もあります。そんなときに言い換えできる語句を知らないと困るかも。
嚆矢と鏑矢は似たような熟語ですが、使い方が異なるので言い換えはできませんね。言い換えにも使える嚆矢の類語をおさえておきましょう。
嚆矢濫觴(こうしらんしょう):ものごとのはじまり。起源
第一歩:ものごとのはじまり
出だし:ものごとがはじまって進んでいく最初の段階
発端(ほったん):はじまり
序開き(じょびらき):ものごとのはじまり。発端
水端(みずはな):ものごとの最初。出はじめ
滑り出し:ものごとが進みはじめること。その時期
冒頭:ものごとのはじめのところ
当初:ものごとのはじめのころ。最初の時期
皮切り:ものごとのしはじめ。最初。初手
嚆矢濫觴は、嚆矢と濫觴という同じ意味の言葉を重ねてニュアンスを強めた表現です。
嚆矢の英語表現
嚆矢を英語で表現するときには次の単語が使えます。
start:はじまる
beginning:はじまり
pioneer:先駆者、草分けの
ちなみに、鏑矢を英訳するときには「a whistling arrow」を用いるとニュアンスが伝わりますよ。ヒューヒューと鳴る矢という意味です。
嚆矢は意味をそのまま使えない言葉
嚆矢には鏑矢という意味があります。でも、現代では、嚆矢を鏑矢というニュアンスでは使いません。
意味として存在しているのに、その意味をそのまま使用できないのはちょっと厄介です。正しい知識がないと、間違った用法で嚆矢を使ってしまうかもしれませんね。
でも、今日勉強した内容をしっかり頭に入れておけば大丈夫。嚆矢の使い方を身につけて周囲に差をつけましょう!