「全然大丈夫」の意味とは?正しいor間違い?意味合いや背景など解説

「全然大丈夫」は「全く問題ない」の意味…でも

全然大丈夫ですよ

その若者がよく使う表現、否定する人もいるけど私はアリだと思うな

戦前までは普通に使ってたって聞いたことがあります

とはいえ昔とまったく同じ使い方じゃないから複雑なんだよね

 全然大丈夫です

この表現を目にして違和感を覚える人も少なくないでしょう。「全然大丈夫(ぜんぜんだいじょうぶ)」は「全く問題ない」という意味で使用されています。

「全然」は「全然~ない」といったように、通常打消し表現を伴うものだとされています。学校でもそう習いましたよね。辞書にも書いてあったはず。

それでは「全然大丈夫」は完全なる間違いなのでしょうか。実はそうとも言い切れないんです。

比較的若い世代では、普通に使うという人も多いですよね。辞書も書き換えられています。背景を詳しく見ていきましょう。

「大丈夫」とは

「大丈夫」はここでは「問題ない」という意味で使われていますが、「いる・いらない」「やんわりとした否定」の意味で使われることもある奥深い言葉。

詳しくは以下で確認してください。

「大丈夫です」とはどんな意味?肯定?否定?複数ある使い方を確認!

一般的な「全然」の使い方

「全然」は後ろに打消し表現を伴い「全く~ない」「少しも~ない」という意味で使用されます。

一般的な「全然」の例文

・全然眠くない

・全然疲れていない

「全然大丈夫」を言い換えた「全然問題ない」であれば打消し表現が後ろにあるため、それこそ全然問題ありません。

打消しなしの「全然」

以下の一文をご覧ください。

吹聴の程度が木村氏の偉さと比例するとしても、木村氏と他の学者とを合せて、一様に坑中に葬り去った一カ月前の無知なる公平は、全然破れてしまった訳になる。(夏目漱石「学者と名誉」)

引用名からも分かるように、かの有名な明治の大文豪で旧千円札紙幣の顔でもあった夏目漱石の書いた文です。

「全然破れてしまった訳になる」と「~ない」を伴っていませんよね。

彼等の菩提を弔っている兵衛の心を酌む事なぞは、二人とも全然忘却していた。(芥川龍之介「或敵打の話」)

こちらも言わずと知れた大正に活躍した文豪で芥川賞の名前の元にもなった芥川龍之介

他にも調べると明治期から昭和初めまでの小説作品の中では普通に打消しを伴わない「全然」が使われています。小説だけではなく実際の会話や文章にも使われていました。

ここでの「全然」は「全て」「すっかり」といった意味

打消しなしの「全然」の例文

・全然元気になった

・仕事は全然片付いた

それが昭和中期の第二次世界大戦後辺りから「全く~ない」という使い方のみが辞書に載り、また学校教育でも指導されるようになりました。

「すっかり」という意味が消された理由

文豪たちも使っていた「全て」「すっかり」という意味が消された理由は、実ははっきりしていません。専門家たちも頭を抱えているようです。

一説には辞書を編成した人が書き漏らしてしまい、後に修正しようとしたけど間に合わなかったともいわれています。

へえー、最近使われているのは「全然」の正しい使い方を見直したからなんだ~

と、思うかもしれませんが真相はどうなんでしょうか。

若者言葉とされる「全然大丈夫」

若者言葉と言われますが、近年になって再度打消しを伴わない「全然」が使われ始めたのは1990年代といわれています。

ある分析によると「全然大丈夫」や「全然OK」は一見打消しがないように見えますが、実はあるそうです。

若者言葉の「全然」の例文

・全然(問題ない。)大丈夫だよ

・全然(まずくない。)美味しいよ

このように省略されているだけで意味的には打消しが伴っています。例えば、「暑くない?」と聞かれて「全然平気」と答えたら、「全然暑くないよ、平気」の略と考えられます。

戦前の「全然」との違い

戦前まで使われていた「全て」「すっかり」を当てはめてもいまいち意味が通りません。

昔の正しい使い方を見直そうと動きがあって再度使われるようになったのではなく、昔は関係なく使われ始めたと考えるのが自然です。

さらに新しい「全然」

戦前の使い方でもなく、略した使い方でもないさらに別の「全然」の使い方も発見?されています。

それが「とても」「非常に」と単に強調する意味

さらに新しい「全然」の例文

・「遊園地どうだった?」「全然楽しかったよ」

言葉の乱れと一蹴するか、言葉の進化ととらえるかはあなた次第です。

ビジネスシーンでは

ビジネスシーンでは「全く~ない」という意味で「全然」を使うのが無難。「全然大丈夫」も使わない方がいいでしょう。

ビジネスシーンでは幅広い年代の人と交流します。「全く~ない」という使い方以外は誰もが知る常識ではありません。

将来的にどうなるかはわかりませんが、今のところは「全然」の後には打消しを付けて使ってください。

とはいえ、気心の知れた同僚や年齢の近い人同士であれば、打消しなしでも全然大丈夫。

「全然」をどう使いますか

「とても」もかつては打消し表現を伴う必要がある言葉でした。それが現在では強調の意味で肯定でも普通に使われています。

言葉というのは時代の流れで変わるもの。ですが、その時代、人が守っているルールがあるのも事実。ビジネスシーンではそれに従うことが必要です。