「先般」とは「ちょっと前の日」という意味
先般ご報告した件について
「先般(せんぱん)」という表現をご存知でしょうか。硬い表現なので使ったことがない人も多いかもしれません。
「先般」の意味は「ちょっと前の日」。ほぼ同じ意味の表現に「先日(せんじつ)」があります。ちょっとしたニュアンスの違いこそあれ、意味はほぼ同じ。フォーマル度の違いしかありません。
「先日」との違いは?
だったらおとなしく「先日」を使っときます
ほぼ同じ意味だったらこのように思うのも無理はありません。まあ、それでいいと思います。
あえて違いを挙げるとしたら、「先日」は「出来事があったその日」、「先般」は「出来事自体」を強調した表現という点。
ですが、あまり気にせず使って構いません。「先日」のフォーマル度を上げた表現が「先般」と考えておきましょう。
・先日はお世話になりました ・先般ご案内した件について新情報です
「先日」も日常会話からフォーマルなビジネスシーンまで幅広く使える表現ですが、顧客へ送るメールや格式ばった挨拶などでは「先般」を使うことがあります。
「先日」「先般」はいつまで?
「先日お願いした件ですが…」「先日っていつ?何日何時何分何秒?」このような小学生みたいな会話にはならないと思いますが、「先日」って具体的にいつまでを指すのか気になりますよね。
結論から言うと、定義はありません。感覚で使って違和感がなければそれでOK。ですが、それでは外国人や子どもに聞かれた時に困ってしまいます。
「先日」は「一日前」は含みません。つまり、「昨日」は「先日」ではありません。数日前、一週間前、二週間前も違和感がありません。一か月前となるとギリギリ。「先月」で表した方がピンとくるのではないでしょうか。
「昨日」や「先月」など別の表現で表せる日にちに被らない期間を「先日」と呼ぶとしっくりきます。「先般」も同様です。
「先日」「先般」の使い方
ビジネスシーンで使える「先日」「先般」を使った言い回しを見ていきましょう。
・先日はありがとうございました ・先日はお電話にて失礼いたしました ・先日はお世話になりました ・先日お話した件ですが~
日頃からよく使う言い回しです。対面での会話から電話、メールなど広く使える表現です。
・先般は遠い所お越しいただきまことに恐縮に存じます ・先般は弊社商品をご注文いただきありがとうございました ・先般のご依頼の件についてご報告があります ・先般 父○○○儀 永眠の際にはご多忙にもかかわらず~
「先般」は会話の中に出てくることはほとんどありません。フォーマルなメールや手紙に使用されます。冠婚葬祭の挨拶状のような形式に沿って書かれる文章にも見られます。
「先般」のような日にちを表す表現
「昨日」や「今日」はお馴染みの日にちを表す表現ですが、「先般」のようにあまり知られていない表現はまだまだあります。
・今般(こんぱん)⇒この度 ・過日(かじつ)⇒過ぎた日、先日 ・先日来(せんじつらい)⇒先日から今まで ・先般来(せんぱんらい)⇒先般から今まで ・過日来(かじつらい)⇒過日から今まで
「今般」は「先般」と同じようにフォーマルな表現。
「過日」は「先日」と同じように使えますが、感覚的に先日よりもちょっと前の出来事に対しても使えます。さらに、「過ぎ去った日」という意味で、具体的に指定しない過去を指すこともあります。
「先日」や「先般」に「来」を付けることで、「○から今まで」を指す表現に。
・先日来、興味が出て情報を集めています ・先般来の台風の被害を受けられた方々にお見舞い申し上げます
「先日」「先般」の英語表現
「先日」「先般」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。
Thank you for the other day ⇒先日はありがとうございました
「the other day」で「先日」を表しています。「Thank you for the other day」はフランクな会話からビジネスシーンまで広く使える表現。
よりフォーマルに言いたい場合は「I want to express my gratitude for the other day」。こちらは「先般」と訳しても違和感がありません。
シーンに合わせて使い分けよう
普段は「先日」を使って問題ありませんが、形式を重視する挨拶文や謝罪文などを作成する際は「先般」を使ってみましょう。