「頓挫」とは複数の意味をもつ言葉
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頓挫は日常生活ではあまり用いない言葉です。そのため、学生さんや新社会人さんの中には知らないという人もいるかもしれませんね。
しかし、頓挫はビジネスでよく使用し、ニュースにもしばしば登場する重要なビジネス用語です。頓挫の意味や使い方を学び、社会人としての知識を蓄えましょう!
「頓挫」の意味は「勢いが急に弱まること」
頓挫は「とんざ」と読みます。
「頓」は「とどまる」「苦しむ」「疲れる」「にわかに」「おちつける」などの意味をもつ漢字です。「挫」の意味は「くじける」「おれる」「勢いがなくなる」。
「頓」と「挫」を組み合わせた頓挫は、次のような意味をもっています。
・計画や事業などが途中で急にダメになること
・文章や演説、議論などで、盛り上がりをみせた後に急に調子を弱めて変化させること
ビジネスで「頓挫」という言葉そのものを使った場合、文章や演説の意味になることはあまりありません。
しかし、熟語表現になると文章や演説の意味の頓挫もよく登場しますよ。それぞれの意味を使い分けできるように、しっかり覚えておきましょう。
覚えておきたい熟語1:抑揚頓挫
抑揚頓挫は「よくようとんざ」と読みます。
文章や話し方を一本調子にしないのは、全体的な効果を高めるため。
ビジネスマンは、プレゼンなど人前で話す機会も珍しくないですよね。抑揚頓挫は、聞き手を飽きさせない手法のひとつです。
覚えておきたい熟語2:沈鬱頓挫
沈鬱頓挫の読み方は「ちんうつとんざ」。
沈鬱頓挫は、もともと詩などに対して使う言葉でしたが、ビジネスでは文章が難解になってしまっているという意味で用います。
ビジネスで書く文章は、読む人に伝わらなければ意味がありません。沈鬱頓挫は避けて、第三者が理解しやすい文章を心がけましょう。
覚えておきたい熟語3:一頓挫
一頓挫の読みは「いちとんざ」。
ビジネスでは、それまで快調に進んでいた計画や事業などに突如狂いが生じて、先の見通しが立たなることを一頓挫といいます。
頓挫と一頓挫は同じような意味ですが、一頓挫のほうがそれまで順調だったのに急にダメになったというニュアンスが強いです。
「頓挫」の使い方・例文
ビジネスでの頓挫の意味は「勢いが急に弱まること」か「途中で急にダメになること」のどちらかになるのが一般的でしたね。
ビジネス会話ではどのように頓挫を使うのか、例文でイメージしてみましょう。
部下
上司
新人
先輩
複数のニュアンスをもつ頓挫の意味は、文脈から判断しなければなりません。
例文1の「頓挫する」とは「完全にダメになる」という意味。例文2の「頓挫中」は「勢いが弱まる」というニュアンスです。読み取れましたか?
「頓挫」の類語・対義語
頓挫は日常会話ではあまり使わない言葉なので、もしかしたら話している相手に通じないケースもあるかもしれません。言い換えできるように類語をおさえておきましょう。
「頓挫」の言い換え表現
頓挫に意味が似ていて、言い換えに使える言葉には次のようなものがあります。
挫折:中途で失敗してダメになること。失敗してやる気をなくすこと
中断:進行中のものを途中で断ち切ること
中止:途中でやめること
蹉跌(さてつ):見込みどおりに進まず、失敗すること
沙汰止み(さたやみ):命令や計画などが途中で中止になること
立ち消え(たちぎえ):計画などの段階でいつの間にかとりやめになること
空中分解(くうちゅうぶんかい):計画などが中途で崩れてダメになること
ご破算(ごはさん):進めてきた内容を全部破棄して白紙の状態に戻すこと
白紙撤回(はくしてっかい):いったん決定した事柄を破棄して何もない状態に戻すこと
伝えたいニュアンスに近い用語を選んで使用してください。
「頓挫」の対義語
対義語もあわせて紹介します。語彙を増やしてビジネス会話に役立てましょう。
やり抜く:最後までしとげる
順調:予定どおり調子よく運ぶこと
完遂(かんすい):最後まで完全に成し遂げること
貫徹(かんてつ):やりとおすこと。貫きとおすこと
成し遂げる:最後までやり遂げること
果たす:やらなければならない事柄をやり遂げること
まっとうする:完全に終わらせる
前向きなニュアンスの言葉が並んでいます。経験するなら頓挫よりも、紹介した対義語のような状況がいいですね。
「頓挫」や「頓挫する」の英語表現は?
「頓挫」や「頓挫する」は英語で何というのでしょう?近いニュアンスになる英語表現を集めてみました。
setback:頓挫
hitch:思いがけない障害
be held up:頓挫する
meet with a setback:頓挫する
be at a standstill:行き詰まっている
suffer a setback:挫折する
abort:挫折する
fall through:失敗に終わる
ビジネスで英語圏の人と話す機会があるかもしれないですよね。英語での言い方も、いざというときに備えて覚えておきましょう。
「頓挫する」とは2つのニュアンスをもつ表現
「頓挫する」といった場合、完全に失敗してダメになるという意味で使用するケースばかりではありません。勢いが弱まって停滞しているというニュアンスになることも。
どちらの意味で頓挫が使われているかは、文脈から読み取るしかありません。
諦めて次に意識を切り替えるべきか、諦めずに時機をうかがうべきか。判断を誤らないためには、頓挫している状況を正しく読み取る必要がありますね。