「忸怩たる思い」とはどんな言葉?間違いやすい意味や類語、英語表現もわかりやすく解説

「忸怩たる思い」とは「自分を深く恥じ入ること」という意味

新人

僕の同期が「初めて責任者として担当を任せてもらえた」って自慢してきたんです。ライバルに先を越されて忸怩たる思いです。
新人君。その忸怩たる思いはどんな意味で使っているの?

先輩

新人

悔しいっていう意味ですよ。間違ってますか?

「忸怩たる思い」は「自分のことをものすごく恥ずかしく思う」という意味の言葉です。

新人君は「悔しい」というニュアンスで「忸怩たる思い」を使っていたので間違っていますね。

誤用されるケースも多い「忸怩たる思い」を正しく学び、社会人としてレベルアップしましょう!

「忸怩たる思い」の意味をくわしくみてみよう!

「忸怩たる思い」は、自分を恥ずかしく思っているときに用いる言葉。忸怩は「じくじ」と読み、「忸怩たる思い」で次のような意味になります。

忸怩たる思い
自分を深く恥じ入る気持ち
・自分を恥ずかしく思う気持ちに駆られること

「忸」には「恥じる」と「慣れる」の2つの意味があり「忸怩」の場合は「恥じる」のほうの意味で使われています。

「怩」の意味は「恥じる」。忸怩は「恥じる」という意味をもつ漢字を2つ重ねることで「物凄く恥じている」とニュアンスを強調しているわけですね。

やりがちな「忸怩たる思い」の誤用

「忸怩たる思い」は「自分を深く恥じ入る気持ち」という意味の言葉です。次のようなニュアンスで用いるのは誤りなので注意しましょう。

・腹立たしい
・くやしい
・憤り(いきどおり)を感じる
・うじうじ思い悩む

これらは全部間違い!

でも「忸怩たる思い」の厄介なところは、間違った使い方をしていてもそれに気づきにくい点です。

なんで間違いに気づかないの?

なぜ間違いに気づかないのか、その理由を冒頭で新人君がいっていたセリフを例に考えてみましょう。

新人

僕の同期が「初めて責任者として担当を任せてもらえた」って自慢してきたんです。ライバルに先を越されて忸怩たる思いです。

このセリフの正しい解釈は「ライバルに先を越された自分のいたらなさが恥ずかしい」です。

しかし、冒頭の新人君は「ライバルに先を越されて悔しい」という意味で使っていました。間違ったニュアンスで使用しているのですが、それはそれで違和感なく読めてしまいますよね。

間違っているのにそれなりに意味が通ってしまうため、新人君は誤りを指摘されるまで自分の間違いに気づけなかったのです。

「忸怩たる思い」の使い方・例文

次は「忸怩たる思い」の使い方をみてみましょう。

間違った解釈をしないように「自分を深く恥じ入る気持ち」という正しい意味を念頭に置いて例文を読んでみてください。

例文1

新人

何をやっても完ぺきにこなす部長はパーフェクト・ヒューマンですね!
買いかぶり過ぎ。僕も若いころ大きな失敗を何度も経験しているんだよ。今でも当時を思い出すと忸怩たる思いに駆られるんだ。

上司

例文2

先輩

私は、先輩として新人君が試行錯誤してぶつかる大きな壁のひとつになりたいんです。
先輩君も後輩ができて先輩らしくなったじゃないか。

上司

先輩

まだまだです。素直で飲み込みが早い新人君をみていると、かたくなな自分の未熟さに忸怩たる思いを抱かずにはいられません。

覚えておきたい「忸怩たる思い」の類語

「忸怩たる思い」は、自分自身の恥を深く反省している気持ちを表現するのにぴったりな言葉ですが、頻繁に使うには向きません。

連発すると軽々しく聞こえてしまうので、言い換えに使用できる類語もおさえておきましょう。

忸怩たる思いの類語
自責の念にかられる:自分で自分を責める気持ちにかられる
自己嫌悪に陥る:自分で自分に嫌気がさしている
慚愧に堪えない(ざんきにたえない):自分の行いを残念に思って反省すること
慙愧の思い(ざんきのおもい):恥と思って悔いる気持ち
汗顔の至り(かんがんのいたり):すっかり恥じ入る様子
不徳の致すところ(ふとくのいたすところ):自分の不徳が原因で、好ましくない事態を引き起こしてしまったこと
悔恨の情(かいこんのじょう):自分の犯した間違いなどを反省して悔やむ気持ち
痛恨の極み(つうこんのきわみ):これ以上ないほど悔やまれる

もう少し緩い日本語だと「思い返しては身悶えする」や「悔いが残る」「我ながら不甲斐ない」などの言い方もあります。

「忸怩たる思い」は英語でどう表現するの?

英語で「恥ずかしい」というときには「embarrassed」という単語が使われます。しかし、これは日常会話で使用するのが一般的なワード。

フォーマルなシーンでは、次のような表現が向いています。

be ashamed of:恥ずかしい、恥じる
ashamed that:~であることを恥じて
be deeply ashamed:深く恥じている、じくじたる思いである

シチュエーションに合わせて英語表現を使い分けてください。

「忸怩たる思い」の誤用は恥のかき上げ

「忸怩たる思い」は、不祥事や不手際があった政治家が謝罪するときによく用いる表現ですよね。

ビジネスシーンでは、重大なミスがあったときなど、深刻なシチュエーションで「忸怩たる思い」を使用するケースが大半。

要するに、何かよっぽど恥ずかしくて不味いことをしてしまった後に、それを反省する言葉が「忸怩たる思い」です。ここで誤用してしまうと、恥の上にさらに恥を塗り重ねる羽目になってしまいます。

絶対に間違ってはいけないシチュエーションに備えて、正しく「忸怩たる思い」を使いこなせるようになっておきましょう。