「時分」は「だいたいこのぐらいの頃」
「時分(じぶん)」は「自分」と読み方が同じ。会話の中で出てきたら文脈から判断する必要があります。「時分」は「だいたいこのぐらいの頃」というような意味。過去を振り返ったときや特定の時間、期間について言及したいときに使用します。
とはいえ、現在ではそれほど積極的に使われる表現ではありません。年齢が高めの人との会話や古い小説、あえてノスタルジックさを演出したい際などに登場します。
「時分」の使い方・例文
「時分」の使い方を例文で見ていきましょう。
・私が若い時分はがむしゃらに勉強したものだ ・深夜2時に近い時分にようやく眠ることができた ・時分を見計らって相談を持ち掛ける
このように「時分」は「昔のあの頃」「このぐらいの時間」「いいタイミング」といった意味合いで使われています。
「時分」が含まれる表現
「時分の花」という表現を聞いたことはあるでしょうか。何やら文学的な言葉に聞こえます。このような「時分」が含まれる表現をいくつか見ていきましょう。
・時分時(じぶんどき) ・時分の花(じぶんのはな) ・時分割多重化(じぶんかつたじゅうか)
「時分時」とは
「時分時」は「決まった時間」ということで「食事時」を意味します。
・時分時なのに気づかずにすみません
「時分の花」とは
「時分の花」とは、能(伝統芸能)における若さから生じる一時的な美しさのこと。子ども時代の一時的な愛らしさ、かわいらしさという意味で使われることもあります。
「時分割多重化」とは
「時分割多重化(TDM)」は通信方式の一つであり、「時分」とは関係ありません。
「時分」の類語
「時分」はどのような表現に言い換えることができるのでしょうか。「頃」や「タイミング」も類語ですが、他の表現も見ていきましょう。
・折(おり) ・時節(じせつ) ・頃合い(ころあい)など
「折」は「そんな折には~」という使い方ができます。「時」「タイミング」「場合」といった意味。ビジネスシーンでも使える表現です。
・そんな折にはぜひご連絡ください ・そんな折に御社の製品を使用して感動いたしました
「時節」は「季節」や「世の中の情勢」といった意味を持つ言葉。手紙やメールでは「時節柄、ご自愛ください」という表現がよく使われます。
「頃合い」は「いいタイミング」「いい具合」という意味です。
・頃合いを見て顔を出そうと思います ・頃合いのところで席を立った
「時分」の英語表現
「あの頃」という意味の「時分」を英語で表現したい場合は「when」が使えます。
・When I was a student, I visited this country ⇒学生の時分、この国を訪れた
教養として知っておこう
「時分」は現代ではあまり使うことはないかもしれませんが、教養として知っておいて損はないでしょう。最低限「時分」と「自分」を混合してしまうことだけないように。