「差し上げる」は「やる」の敬語表現…でも
「差し上げる」は「やる・与える」の敬語表現。よく見聞きする表現ではあるものの、使い方には注意が必要です。敬語表現であっても使い方によっては失礼になってしまいます。
「差し上げる」の使い方・例文
「差し上げる」の使い方を見ていく前にまずはいくつか例文を見ていきましょう。
・興味があるならこのパンフレットを差し上げます ・当選者にはメールを差し上げます ・相談したいことがあり、お電話を差し上げました
3つの例文の中で誤った使い方をしているものがあるのですが、お気づきでしょうか。使うと失礼になるのは「相談したいことがあり、お電話を差し上げました」。
「差し上げる」の正しい使い方
「差し上げる」は「やる・与える」の敬語表現であり、へりくだって相手を立てる謙譲語です。へりくだっているとはいえ、「やる」というのは上から目線になりがちな表現。物にせよ行為にせよ、こちらが「やる・与える」ことによって相手に得がある場合にのみ使用できます。
「差し上げる」の間違った使い方
例文を改めて見てみましょう。パンフレットや当選を知らせるメールはもらってメリットがあります。一方で相談の電話は受け手にはメリットはありません。このような場合に「差し上げる」を使うのは失礼になってしまうので注意。
電話やメール等の連絡を「差し上げる」という表現はよく見聞きするので使ってしまいがちです。相手が連絡を待ち望んでいる場合にのみ使うようにしましょう。
また、相手にメリットがあるようなシチュエーションでも「差し上げる」を失礼だと感じる人もいます。状況に応じて使い分けができるように他の表現方法も知っておきましょう。
「差し上げる」の類語
「差し上げる」はどのような言葉に言い換えることができるのでしょうか。
・いたす ・させていただく
「差し上げる」の代わりに「いたす」や「させていただく」を使うことで、上から目線にならずに表現することができます。
・ご紹介したいことがあり、お電話いたしました ・新しい情報が入り次第、ご連絡いたします ・私から説明いたします
「させていただく」についてはこちらをご覧ください。
誤用が多い敬語「させていただく」の正しい使い方・言い換え・英語表現を解説!
「差し上げる」の英語表現
英語では日本語のようにへりくだった表現はあまりしないので、日本語の文を訳す場合、「差し上げる」の部分は無視しても構いません。
「give(与える)」をもっと婉曲な表現にしたいのであれば、「if you like」「if you want」のような相手を気遣うフレーズを付け加えるといいでしょう。
・If you like my old watch, I would like to give it away ⇒私の古い腕時計が気に入ったのであれば差し上げます
使う際は状況を見極めて
「差し上げる」は見かける機会の多い表現ながらも使い方が難しいフレーズ。さらに正しい使い方をしていても、人によっては失礼と受け取ることも。
ビジネスシーンで使用する場合は状況を見て適切かどうか判断する必要があります。余計な心配をしたくないのであれば「差し上げる」を避けて、類語表現を使うのもありです。