ニッチとは「隙間」のこと
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ニッチは「隙間」という意味のカタカナ語です。
新人君は知らなかったようですが、ニッチはビジネスで重要な意味をもつ用語。特に、ベンチャー企業や中小企業で注目されているワードです。しっかり勉強しましょう!
ちなみに、「にっちもさっちも」は、物事が行き詰ってどうにもならない状態を意味する言葉です。
もとは建築用語?ニッチの意味を解説
ニッチはもともと西洋建築分野で、壁のくぼみを意味する言葉でした。壁を長方形や半円形にくりぬいて、そこに飾り物を置いて楽しめるようにしたものです。
そこから意味が広がって、生物分野やマーケティング分野で使われるワードになりました。
英語のニッチ(niche)はどんな意味?
英語のニッチ(niche)は、「巣」という意味のラテン語から生まれた言葉です。英語の「niche」は、次のような意味をもっています。
・岩などの裂け目、割れ目、くぼみ
・適したところ、適所
・得意分野
・ライバル企業が進出していない隙間市場
・生態的地位:ある種の生物が、自然環境におけるほかの種との競争で勝ち取った、生存しやすい条件が整った場所。競争相手がいない隙間
「壁龕」とは建築分野で用いる意味です。「生態的地位」は、生物分野での意味になります。
もともと「壁のくぼみ」という意味だったニッチが、生態学者エルトンに定義されて「生態的地位(競争相手がいない隙間)」という意味でも使える言葉になりました[efn_note]参考:エルトン|コトバンク[/efn_note]。
そこからさらにワードの意味が広がり、マーケティングやビジネスの分野で使用される「ライバル企業が進出していない隙間市場」という用語になっています。
カタカナ語と英語のニッチの違い
カタカナ語のニッチは、次のような意味をもつ言葉です。
・壁龕(へきがん)
・橋やトンネルなどの脇に作る非常用の退避スペース
・生態的地位
・ライバル企業が進出していない隙間市場
英語の「niche」とカタカナ語のニッチは意味が似ていますね。しかし、違う点もあります。
英語の「niche」には、「適所」や「得意分野」がありましたが、カタカナ語のニッチにはこの意味がありません。
また、カタカナ語のニッチにあった「橋やトンネルなどの脇に作る非常用の退避スペース」は、英語の「niche」にはない意味です。
経営におけるニッチとはどんな意味?
経営分野で登場するニッチは「ライバル企業が進出していない隙間市場」という意味で使われます。マーケティングでよく用いられる言葉です。
この意味をさらに細分化すると、次の2つのニュアンスになります。
①ニーズが少なく、大きな利益が期待できないため、大企業が手を出しにくい小さな市場
②潜在的なニーズはあるが、まだ誰もそれに気づいていない隠れた有望市場
どちらの意味で使用されているかは、文脈から読み取ってください。
ニッチの関連語
マーケティング分野では、ニッチの関連語もたくさん登場しますよ。意味がわからないと、会話の流れについていけなくなるかも!
ニッチ市場(ニッチマーケット)
ニッチ市場は市場全体からみると、あまり一般的ではない小さな市場。次の2つの意味で使われるのが一般的です。
①規模が小さすぎて大企業だと手を出しづらいため、中小企業が勝負しやすい隙間市場
②潜在的なニーズはあるけれど、まだライバルがそれに気づいていない隠れた有望市場
②の意味では、いち早く参入した企業が、うまく市場として成立させられた場合に「ニッチ市場」と呼ばれるようになります。
ニッチ戦略(ニッチマーケティング)
ニッチ戦略はニッチ市場にあえて挑戦する戦略。
ニッチ戦略は、中小企業やベンチャー企業が選択するケースが大半です。
ニッチ商品
ニッチ商品は、ニッチ戦略をもとに考え出された、ニッチ市場向けの商品。類語にはニッチサービスという言葉があります。
グローバル・ニッチ
グローバル・ニッチは、世界規模のニッチ市場。
国内のみだと利益の確保が難しい本当に小さな市場だったとしても、世界規模で考えるとかなり大きな市場になります。市場規模が大きくなれば、海外進出のリスクに見合うだけの利益を確保するのも難しくはないですね。
世界規模のニッチ市場を狙うマーケティング戦略は、グローバル・ニッチ戦略。グローバル・ニッチで成功したトップ企業は、グローバル・ニッチトップと呼ばれます。
ニッチャー
ニッチャーはニッチ戦略を選択して、自社が有利に戦えるニッチ市場でビジネスを行おうとする企業のこと。ニッチプレーヤーと呼ばれる場合もあります。
ニッチの類語
ニッチには次のような類語があります。ニッチと完全にイコールになる意味の言葉というわけではないですが、語彙を増やしておくのは大切です。社会人の知識として覚えておきましょう。
マニアック:特定の物事に熱中していて、尋常でないほどくわしい様子
アンダーカルチャー:社会や文化の主流から外れた、もうひとつの文化
アングラ:一部の人だけに興味感心を持たれている。地下の。秘密の
コア:ものの中心部。核。芯。熱心な。徹底した。本格的な
表現したい事柄に合う言葉をうまくにチョイスできるようになると、会話の質が上がっていきますよ。
ニッチの対義語
カタカナ語は対義語とセットで覚えておくと、ビジネス会話での使い勝手が格段によくなります。
ニッチには、次のような対義語がありますよ。
メジャー:規模の大きなこと。広く知られている様子
伝えたいニュアンスに近い用語を的確に選べるように、普段の会話の中でも練習してみましょう。
ニッチの使い方・例文
ニッチは、マーケティングの分野でよく使われるカタカナ語でしたね。ここまでの説明で、言葉のイメージはつかめましたか?
ここでは、ビジネス会話でのニッチの使い方を例文から学んでみましょう。
先輩
新人
先輩
上司
新人
上司
市場のニッチを狙うのは中小企業に有利な経営戦略
ニッチな市場でビジネスがやりやすいのは、競争相手がいないから。最初の段階でその市場に参入した企業は、大きくもうけるチャンスを手にすることが可能です。
しかし、参入するのが遅くなればなるほど、市場の空き地がなくなって、もうけの機会は小さくなってしまいます。つまり、ニッチは行動の速さがものをいう市場なわけです。
中小企業やベンチャー企業は、大企業よりも身軽で迅速な経営判断をくだせるため、ニッチな市場では有利に戦えますね。
自社の強みを活かしたビジネスができるニッチがないか、探してみましょう!