ポータブルスキルとは『持ち運びできるスキル』のこと
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ポータブルスキルとは、文字を見ても想像できるように、『持ち運びできるスキル』で、仕事をするにあたって大切な能力といえます。
上の会話の新人くんのように、形で表せる資格がない場合、「自分にはスキルがない…」と思っている人もいるでしょう。しかし、実は形で表せないスキルもあるんです。
ここでは、ポータブルスキルの意味のほか、身につけ方のポイントや会話での使い方についてもわかりやすく解説します。自身をもって「自分にはスキルがある!」といえるよう、しっかり学んでいってください。
ポータブルスキルとは?
仕事の内容によっては、今いる会社でしか活かせないスキルもあるでしょう。しかし、これとは違い、どの会社に転職しても活用できるスキルがあります。そのようなスキルを『ポータブルスキル』といいます。
そして、ポータブルスキルには、英検・簿記など『資格として表せるスキル』と、コミュニケーション能力など、『形では表せないスキル』があります。
後者の『形では表せないスキル』については、厚生労働省がポータブルの構成要素として提唱していますが、内容については後述します。ぜひこのまま読み進めてください。
ポータブルスキルの構成要素
厚生労働省では、ポータブルスキルの構成要素として『仕事の仕方』と『人との関わり方』の2つをあげています。これらの2つは、仕事をするにあたっての能力の中でも、特に、どこでも通用する能力を指しています[efn_note]参考:ポータブルスキル活用研修 講義者用テキスト|一般社団法人 人材サービス産業協議会[/efn_note]。
仕事の仕方
目の前にある仕事を一つずつ着実にこなしていくのも仕事の仕方としては間違いではないでしょう。しかし、それでは優先度の高い案件が後回しになってしまうことがあります。場合によっては、それが原因で大きな問題にもなりかねません。
そのためにも、仕事の仕方は成果をあげるための重要な要素となるわけですが、具体的にはどんな行動をすればいいのでしょうか。簡単にまとめてみました。
行動その①
今やろうをしている仕事のほかに優先すべき案件はないのか、まずは抱えている仕事に対してどんな課題があるのかを明確にします。
行動その②
どの順番で仕事を進めれば効率がいいのか、先に終わらせるべき案件はどれなのかを考えて計画を立てます。
行動その③
立てた計画に沿って実行していて問題が起きた場合は、どこが問題なのかを迅速に調査します。
行動その④
起こった問題の処理は今やるべきなのか、ほかに優先すべき案件はないのかを素早く見極めて実行に移します。
人との関わり方
社会人として働いていけば、人と接する場面は必然的に発生します。その相手は、同僚だけではなく、上司もいれば、部下もいます。そのほか、営業職でなくても社外の人と接する場面もあります。
それらすべての人に特別好かれる必要はありませんが、その場所で、自分がどんな立場にいるのかをきちんと把握して行動しなければなりません。
それでは、具体的にどのように行動すればいいのでしょうか。
人との関わり方その①:社内
基本的に、上司からの指示は絶対です。
しかし、「間違っている」「それはおかしい」と思った場合は、はっきり指摘することも大切です。ただし、言い方には注意が必要です。
また、部下がいる場合は、その部下がどんな仕事を進めているのかも把握しておかなければなりません。また、間違った行動を起こしている場合は、それを正すといった配慮も必要です。
人との関わり方その②:社外
取引先担当者の名前や連絡先を把握しておくのは当然のことです。しかし、それだけではなく、担当者の性格のほか、取引先の情報、継続期間、取引内容、担当者がいない場合の代理人まで把握していると、より良好な関係が築きやすくなります。
ポータブルスキルを身につける方法
この先転職を考えている人は、ポータブルスキルは身につけておきたい能力ですよね。今は転職を考えていなくても、どこに行っても通用する能力を磨いておくと、いつか自分の強みになります。
ここでは身につけ方について紹介しますが、まずは、ポータブルスキルのセルフチェックをしてみましょう。
参考
ポータブルスキルセルフチェックJHR一般社団法人人材サービス産業協議会
ポータブルスキルの身につけ方は、大きくわけて『独学』『研修を受ける』の2通りがあります。それでは、それぞれ詳しく見てみましょう。
方法その①:独学
英検、簿記、情報処理など、技能検定や専門知識については、独学で勉強が可能なものも多いです。また、これらは認定証が発行されるため、形にできるスキルといえます。
参考
資格講座一覧ユーキャン
また、形にできないスキルでも、どんなところを磨きたいかを明確にすれば、本を購入して学ぶこともできます。
参考
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0amazon
参考
いつ、どこでも求められる人の仕事の流儀amazon
方法その②:研修を受ける
『独学でどう勉強すればいいかわかない人』や、『形に残るスキルではなく、どこでも通用する実践的な仕事スキルを習得したい人』は、研修を受けるのもひとつの方法です。
たとえば、厚生労働省のホームページの中には、一定のキャリアを積み重ねてきたミドル層向けに、『ポータブルスキル活用研修』のテキストや動画が公開されています。
参考
ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法厚生労働省
こちらの講座には、ビジネスの基本から、部下の育成まで、分野ごとにいくつかの種類が用意されています。そのため、自分自身でスキルアップしたいものを選んで学習することが可能です。
参考
一生もののポータブルスキルを身に付けるinsource
そのほか、ビジネススキル研修、ポータブルスキル研修などをサービスとして提供している会社もあります。
参考
人材開発(社員研修)リンクアンドモチベーション
[ビジネス版]ポータブルスキルの使い方・例文
『ポータブルスキル』というカタカナ用語は、実際の会話ではどのように使われるのでしょうか。例文を使ってチェックしておきましょう。
ポータブルスキルに意味が似た言葉
日本語として使われている言葉の中には、ポータブルスキルの意味と混同しやすいものが存在します。その場に応じて正しく使うためにも、それらの言葉の意味を解説しておきます。
社会人基礎力
社会人基礎力とは、職場や地域社会でさまざまな人と仕事をしていくために必要な基礎的な力として、経済産業省が提唱したものです。『前に踏み出す力』『考え抜く力』『チームで働く力』の3要素で構成されています。
ポータブルスキルが仕事をするうえでの能力とすれば、社会人基礎力は、社会に出ていくために必要な、一個人としての力といえます[efn_note]参考:社会人基礎力|経済産業省[/efn_note]。
トランスファラブルスキル
英語のtransferable(トランスファブル)には『移転可能な』という意味があります。つまり、トランスファブルスキルは、ポータブルスキル同様、持ち運びできるスキルを指します。
このトランスファラブルスキルは、『対課題スキル』『対自己スキル』『対人スキル』の3つか構成要素とされています。
もとは、イギリスで博士課程の大学生や博士研究員(ポスドク)を対象としたスキルで、今では日本でも同様の意味で使われています。
ポータブルスキルは、社会人経験のある人のスキルを指しますが、トランスファラブルスキルは、主に社会人経験のない人に対してのスキルの意味で使われます。
ポータブルスキルの英語表現は?
ポータブルスキルをそのまま英語表記すればportable skillで、直訳は『持ち運びできる技能』となります。しかし、正しい英語表現は『skill』が複数形の『skills』となり、英語圏でも日本と同じ意味合いで使われています。
転職を考えるならポータブルスキルを身につけよう
もし、やりたいことが明確になっているなら、その分野に必要なスキルを身につけなければいけません。しかし、まだやりたいことは見つかっていないながらも転職を考えている人は、分野に関係なく活かせるポータブルスキルを身につける努力をしてみましょう。