アクティブリスニングとは傾聴すること!
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先輩
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アクティブリスニングは、『傾聴』を意味するカタカナ用語です。簡単にいうと、『相手の話をしっかり聞くこと』です。人の話を聞くという行為は、仕事でもプライベートでも頻繁にあるため、ぜひとも覚えておきたい言葉です。
ここでは、アクティブリスニングの意味から会話例までわかりやすくまとめたので、この機会にしっかり学んでいってください。
アクティブリスニングとは?
アクティブリスニングを日本語にすると『積極的傾聴』となります。もっとわかりやすく説明すると、積極的に相手の話に耳を傾ける姿勢を指します。それでは、どのような姿勢がアクティブリスニングになるのか、もう少し詳しく見てみましょう。
アクティブリスニングの概要
アクティブリスニングは、臨床心理学者のカール・ロジャースが提唱した傾聴姿勢。コミュニケーション技法のひとつとして、企業の研修でも取り入れるところが増えています。
しかし、ただ一生懸命に話を聴くだけではアクティブリスニングにはなりません。
アクティブリスニングでは、相手の話の中から「この人はどんな心境で話しているのか?」「この情報をもらって何をすべきか?」といったように考えます。話の内容の真実と、相手の感情を積極的に把握するように努めることが条件となります。
また、アクティブリスニングは英語の『active listening』が語源となっており、それぞれの単語の意味は次のとおりです。
【active】
・積極的な
・活発な など
【listening】
・(しっかり)聞くこと
・傾聴
・傾聴している など
つまり、積極的な姿勢で相手の話に耳を傾ける、ということになります。
アクティブリスニングの効果
組織の中では、主に、上長と部下とのコミュニケーション手段として活用されるため、新人対象の研修よりも、管理職向けの研修で取り入れられることが多いです。
たとえば、元気のない部下がいて、話を聞く場を設けたとします。積極的に意見しない部下であれば、本心をすべて話すとは限りません。そこで、話し方や内容から相手の意図を読み取る、アクティブリスニングが役に立つわけです。
そのほか、同僚や部下の本音を上手に聴き出せば、組織内の人間関係も円滑に保てます。それにより、労働環境の向上が可能となり、業績アップも期待できます。
アクティブリスニングのやり方・方法
どのようなことがアクティブリスニングかはもうだいたいわかりましたよね?それでは、実際には何をどうすればいいのでしょうか。次に、簡単にコツを紹介しておきます。
言語的コミュニケーション
ハーバルコミュニケーションとも呼ばれているこの手法は、単純に言葉や文字でとるコミュニケーションを指します。
①:相づちをうつ
「うん、うん」「そうなの」といった言葉を相手の言葉の合間にはさむのが一番わかりやすいです。言葉を発しなくても、頷くだけでも効果はあります。
②:質問をする
この場合の質問とは、「はい」「いいえ」で答えられる質問ではありません。「それでどんなことを言ったの?」「そのとき何をしてほしかった?」など、説明が必要になるような質問を心がけましょう。
③:オウム返しをする
オウム返しといっても、相づちのように繰り返すわけではありません。たとえばこんな感じです。
話し手:「〇〇がツラくて、Aさんに話したんですけど、改善されないんです」
聞き手:「〇〇がツラかったんですか。どのような改善を求めてますか?」
聞き手となっている人が、「話していることをしっかり理解している」という姿勢を見せるのがポイントです。
非言語的コミュニケーション
非言動的とは、言葉や文字以外のコミュニケーションで、ノンバーバルコミュニケーションとも呼ばれています。それでは、コツをチェックしていきましょう。
①:聞く体勢
隣同士に座ったとしても、話し手のほうに少し体を向けると「しっかり聞こうとしてくれている」と感じてもらえます。できれば正面に座って相手のほうに体の重心をとるのがオススメです。
ただし、正面に座っても、ふんぞり返ったり、腕を組んだりしながら聴いては相手をリラックスさせることはできず、不快感を与えるので注意しましょう。
②:目線
話している相手と目が合うと「きちんと聞いてもらえている」と感じますよね?中には目を見て話しをするのが苦手だという人がいるかもしれません。話し手が目線をそらすことが多くても、聞く側はしっかり目を見るよう心がけましょう。
③:話を聴く際の表情
ツライ話をしているときに、相手が笑顔だったら不快に感じてしまいます。このように、話を聴くときの表情も重要な要素となります。悲しい話を聴くときは悲しそうな表情、前向きな話を聴くときは微笑む、といったように、内容によって表情を変えるのもポイントです。
アクティブリスニングで必要となる3つの姿勢
アクティブリスニングの提唱者であるカール・ロジャースは、聞き手となる人に必要な姿勢として次の3つをあげています。
①:自己一致
聞く側が「自分はまったく違う考えなんだよな」「これはちょっとこの人には言えないな」と思いながら聞いている雰囲気は、話す側にも伝わるもの。
相手の考えを否定したり、隠し事をしたりしない誠実な姿勢で聴けば、話す側との信頼関係も築けます。そうすると、これまで誰にも話せなかった事柄についても口を開きやすくなります。
②:無条件の肯定的配慮
これは、話された内容が良いことであっても悪いことであっても、内容に対して評価をせず、そのまま受け入れる姿勢のことをいいます。
聞く側の考えで正しくないと判断した場合、「その考えは正しくない」と評価をしてしまうと、話す側は「この人にはわかってもらえない…」と本音で話してくれなくなります。
そのため、どんな内容であっても、とりあえずはそのまま受容するよう心がけないといけません。
③:共感の姿勢
共感の姿勢とは、話し手の視線になって、話の内容を理解しようとする姿勢を指しています。「同じ目線で話を聞いてくれているな」と感じれば、話し手にも安心感を与えることができます。
アクティブリスニングの会話例
意味やコツがわかっても、どんな場面でどんな会話をすればいいのかまだわからないという人は多いでしょう。そこで、会話例をいくつか用意したので、実際の場面を想像しながら読んでみてください。
会話例①
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これは、『オウム返し』と『共感の姿勢』を取り入れた会話です。後輩が話し手、先輩が聞き手ですね。なお、フットインザドアについては、次の記事で解説しているので、あわせて読んでみてください。
フットインザドアとはどんな意味?対義語って?テクニックや言葉の由来も解説
会話例②
新人
先輩
アクティブリスニングのセミナー・研修
アクティブリスニングを身につけたいと思っても、普段の会話や行動から独自に学ぶのは「難しい…」と感じる人がいるかもしれません。
一般の書店などで販売されている本を使うのもいいですが、講師によるトレーニングを受けるのもひとつの方法としてオススメです。
企業で研修を行う場合も
人の話をしっかり聞くということは、大学やアルバイト先でのコミュニケーションをとるのに大切ですが、社会人にはさらに重要な要素となっています。
そのため、新入社員研修や、管理職研修でアクティブリスニングの講習を実施する企業も多く存在します。
セミナーに参加してスキルアップ
社内研修を行っていない、もしくは、研修の対象者からは外れているけど、講習を受けたいと思っている人は、一般のセミナーに参加する方法もあります。有料で受けたいときに受けられないかもしれませんが、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
参考
アクティブリスニングNPOコミュニオン
アクティブリスニングと一緒に覚えたいカタカナ語
アクティブリスニングについて学ぶうえで、ぜひ一緒に覚えてほしいカタカナ用語があります。ここでは、特にチェックしておきたい言葉を紹介します。
パッシブリスニング
パッシブリスニングは、「あなたが思っていること感じていることを、すべて私に話してください」という雰囲気を、言葉ではなく、主に目や体で表す聞き方を指します。
アクティブリスニングは、共感する言葉や質問を投げかけたり、相づちをうったりします。それに対して、パッシブリスニングは聞くことに徹するのが特徴です。
アサーティブ
アサーティブとは、『自分と相手を尊重した自己主張』を意味するカタカナ用語です。相手をリスペクトしながら自己主張するので、人間関係を悪くせず、自分の言いたいことを伝えられるのが特徴です。
アクティブリスニングは、基本的に話し手に寄り添った聴き方をしますが、アサーティブのように自己主張はしません。
なお、アサーティブについては次の記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
アサーティブとはどんな意味?仕事で役立つ会話例やトレーニングのヒントを徹底解説
アクティブリスニングでコミュニケーション能力UP!
人の話を上手に聴くことは、コミュニケーションをとるうえでもとても大切です。さらに、アクティブリスニングの能力があれば、悩みをもつ同僚や後輩の手助けができ、業務の質をあげることにもつながります。
これを機に、アクティブリスニングを身につけ、組織内のコミュニケーションに役立ててください。