スイッチングコストとは『切り替え費用』のこと
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スイッチングコストとは、今使っているモノやサービスから切り替える際に発生するコストを意味するカタカナ用語です。しかし、ビジネス用語というわけではなく、日常生活でも登場しやすい言葉なので、覚えておくととても便利です。
ここでは、言葉の意味やスイッチングコストの詳しい内容のほか、どんな例があるのかもわかりやすくまとめました。これを機にきちんと覚えていってください。
スイッチングコストの意味をチェック
スイッチングコストは、状況によって『切り替え費用』『切り替えコスト』『スイッチング費用』など、さまざまな呼び方で登場します。使い方や例を見る前に、まずは意味を明確にしておきましょう。
ビジネス用語としてのスイッチングコスト
スイッチングコストは、今あるモノやサービスとは別の、モノやサービスに置き換える際にかかる費用を指します。そして、このスイッチングコストは『金銭的コスト』『物理的コスト』『心理的コスト』の3種類に分類されています。それぞれのコストについて少し解説します。
金銭的コスト
切り替えるのがモノである場合、新たに購入する費用がかかります。また、年間契約をしているサービスで、途中解約になる場合、解約料金が発生することがあります。これらを金銭的コストといいます。
物理的コスト
新しいモノを購入する際、店舗を見てまわったり、通販サイトで探したりしますよね。また、大型家電を新しくする場合は、交換・設置といった作業が必要になります。このような『手間』が物理的コストになります。
心理的コスト
新しいモノを購入すると、前のモノとまったく同じでないかぎりは「どんな機能がついてる?」「どこを操作する?」など、「覚えなおさなければいけない…」という精神的ストレスがかかりますよね。また、サービスも同様、新しいモノを利用する場合はシステムを理解しなければなりません。
スイッチングコストにおける『心理的コスト』とは、切り替えの際に起こりうる精神的な負担を指します。
スイッチングコストの英語は『switching cost』
スイッチングコストは、『switching』と『cost』二つの言葉からなる熟語です。まずはそれぞれの意味からチェックしておきましょう。
■交換 など
■経費
■代償 など
英語圏でも『switching cost』は交換する際に発生する費用の意味で使われているので、日本語と同じ解釈で問題ないですね。
[ビジネス版]スイッチングコストの使い方・例文
スイッチングコストは、会話ではどのように登場するのでしょか。間違った使い方をしないよう、例文を使って確認しておきましょう。
スイッチングコストの例|高い例・低い例
どのようなモノがスイッチングコストになるのか、だいたいはイメージできましたよね?ここでは、さらに理解を深められるよう、スイッチングコストの『高い例』『低い例』を簡単に紹介しておきます。
①:スイッチングコストが高い例
スイッチングコストが高い例としては、主に『スマートフォン』『パソコン』『ソフトウェア』があげられるでしょう。それぞれ、どんなコストがかかるのか、簡単にまとめてみました。
【スマートフォン】
機種変更のみでなく、携帯電話会社を切り替える場合は、機種の費用だけでなく、手続きをするうえでの手間がかかります。また、iPhoneからAndroidが入っている製品への切り替えであれば、操作を覚えなおさなければならないという心理的コストもかかってきます。
【パソコン】
パソコンは製品自体にもお金がかかりますが、データの入れ替え作業など、物理的コストもかなりかかります。業務上、やむを得ずパソコンの入れ替えが必要になった場合は、自身が望んだことではないため、心理的コストが大きくなりがちです。
【ソフトウェア】
費用面でのコストは、ソフトウェアの種類によります。それよりも、インストールして使えるようにするまでの作業が必要なため、物理的コストが一番かかるでしょう。心理的コストは、作業に苦痛を感じるかどうか、パソコンに詳しいかどうかで大きさは変わってきます。
②:スイッチングコストが低い例
「この柔軟剤使ってみたいな」「この安いトイレットペーパーは使い心地悪いのかな」などと思って、いつもとは違う商品を買ってみる機会はありますよね?このときに発生する費用もスイッチングコストです。
これら日用品は、物理的コストも心理的コストもそれほど大きくないため、スイッチングコストが比較的低い例といえます。
保険商品におけるスイッチングコストとは?
生命保険は、会社によって商品内容や運用方法はまちまちです。そのため、切り替えを考える人も少なくないでしょう。その際は、前の会社の解約手続き、健康診断費用、新しい会社との契約手続きなど、費用も手間もかかります。
つまり、金銭的コスト、物理的コスト、心理的コストのすべてがかかるわけですね。
しかし、保険商品の中でも、自動車保険に関しては、生命保険のように提出する書類や審査も少ないため、スイッチングコストは比較的低めです。
そのほか、保険会社や金融機関では、確定拠出年金などの運用型年金保険を取り扱うところも増えています。こういった保険は、『運用型』というだけあって、商品を運用することで利益率をあげていきます。たとえば、商品Aから商品Bに変更したい場合、商品Aを売却して商品Bを購入します。
多くの場合、運用変更に必要な金銭的コストはゼロですが、どの商品に切り替えるかを見極めたり、作業したりする物理的コストは大きくかかります。
スイッチングコストを考慮して商品・サービスを切り替えよう
仕事でも、日常生活でも、興味のある商品やサービスは利用してみたいと思いますよね。しかし、興味だけで気軽に手を出して「想像以上にお金かかったし、使いこなすのも大変だった…」と後悔はしたくないものです。
今利用しているモノやサービスから切り替えを検討する際は、スイッチングコストを考慮して行動に移すようにしましょう。