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エスクローの意味とは?不動産や仮想通貨における仕組みは?英語や使い方も解説

エスクローとは『第三者を介した決済方法』のこと

上司

若い頃に使っていたギターをオークションで売りたいけど、相手に銀行口座を教えることに抵抗があって、できないんだよなぁ。
部長、何言ってるんですかぁ。今はエスクロー決済だから出品者に口座を教えなくてもいいんですよ。

先輩

上司

便利な世の中になったんだなぁ。ところで、エスクロー決済ってどんな決済なんだ?
エスクローとは、売り主と買い主の間に、第三者の仲介機関を設けて代金決済を行う手法を意味するカタカナ用語です。

ネット社会の現代においては、インターネットオークションやフリマアプリでも採用が進んでいます。時代に乗り遅れないためにもぜひ知っておきたい言葉です。

今回は、言葉の意味や使い方だけでなく、分野ごとのエスクローの仕組みや事例についてもわかりやすくまとめました。これを機にしっかり覚えていってください。

エスクローの意味をチェック

使い方や仕組みを正しく理解するためにも、意味は明確にしておかなくてはなりません。まずは、日本語と英語の意味を比較しながらチェックしてみましょう。

日本語としてのエスクロー

エスクローは、もとはアメリカの不動産取引の決済方法として発達しました。日本では、不動産や金融業界において、第三者を仲介させる決済方法として広く使われており『第三者預託』とも呼ばれています。

そして、このエスクローサービスを行う事業者をエスクローエージェントというので、あわせて覚えておくと便利です。

また、現代ではインターネットが普及し、電子商取引や仮想通貨の取引も活発に行われるようになりました。それらの取引ではエスクロー決済が多く採用されるため、IT用語のひとつとして紹介されていることもあります。

エスクローの英語は『escrow』

エスクローは英語で『escrow』と表記し、次の意味をもつ単語として使われています。

■第三者預託
■売買の対象のなる物の受け渡しと、支払いを第三者が仲介して行うしくみ
■条件付捺印証書

アメリカのオークションでは、escrow agent(エスクローエージェント)が代金だけでなく商品のやりとりも仲介するのが一般的です。

そのほかの熟語にはこのようなものもあります。

■escrow agreement(エスクロー契約)
■escrow system(第三者預託システム) など

各分野におけるエスクローの仕組み

決済の方法ということで、ちょっと難しいイメージのあるエスクローですが、実際にはどのような仕組みで運用されているのでしょうか。分野ごとに見てみましょう。

①:不動産

不動産におけるエスクローとは、物件の売り主と買い主の仲介業者を指します。エスクローエージェントは、売り主から権利証などを預かり、買い主からは代金を預かり、物件の確認から引き渡しまでの業務を行います。

②:金融

金融分野のエスクローは、売買時に発生する支払い業務の仲介者を指します。日本では、信託銀行でエスクローサービスを実施している例が見られます。

多くの場合、買収や合併など、企業間で莫大な資金の移動が発生する際に、その仲介役として決済処理を行います。そのほか、不動産の売買の仲介を行う場合もあります。

③:仮想通貨

仮想通貨の利用が拡大化している現代においては、ビットコンのマルチシグネチャ*技術を用いたエスクローサービスも提供されています。(マルチシグネチャ*:複数の秘密鍵を用いた、セキュリティを強化したデータ管理のこと)

ビットコインのエスクローサービスでは、3つの秘密鍵を利用します。販売者、購入者、エスクローエージェントがそれぞれひとつずつ鍵を持ち、取引専用のマルチシグアドレスが作られます。処理の流れは次の通りです。

①購入者がマルチシグアドレスに購入代金をビットコインで送る。
②販売者がビットコインの入庫確認後、品物を発送。
③販売者と購入者、それぞれの処理が確認できたら、秘密鍵で署名し、代金分のビットコインが販売者へ送金される。

これらの取引は、エスクローエージェントが管理しています。

『代金を払ったのに商品が送られない』『処理をしたのに署名されない』などのトラブルが発生した場合には、エスクローエージェントの秘密鍵を使い、販売者も購入者も損失を追わないよう、適切な処理が行われます

身近なところにも!エスクロー決済の事例

エスクロー決済は、売り主と買い主が直接商品代金のやりとりをするのではなく、第三者を仲介させて行う決済方法を指します。

ネット上でのフリマやオークションの利用が増えつつある現代においては、決済時のトラブル対策のひとつとして導入しているところも多いです。ここではわかりやすい事例を2つ紹介します。

事例①:メルカリ

メルカリでは、代金をメルカリで一時保管するといったシステムを導入しています[efn_note]参考:メルカリあんしん・あんぜん宣言!|mercari[/efn_note]。流れを簡単にまとめてみました。

①取引成立。
②購入者が支払い、メルカリが代金を一時保管
③購入者が商品を受け取り評価。
④出品者が評価。
⑤取引完了となり、出品者の売上金として計上。
⑥現金を受け取りたい場合はメルカリに振込申請。

商品の発送も名前や住所を知らせることなくできるシステムもあるわよ。

事例②:ヤフオク

ヤフオクでは、『ヤフーかんたん決済』というエスクロー方式が導入されています[efn_note]参考:安心安全への取り組み|ヤフオク[/efn_note]。支払い方法は、クレジットカード、PayPay、コンビニ支払いなどいろいろありますが、流れは次のようになっています。

①落札者が商品代金を支払う。
②支払いが完了した旨の連絡がヤフオクから出品者に入る。
③出品者が商品を発送。
④落札者が商品を受け取った旨、ヤフオクに連絡。
⑤ヤフオクから出品者に代金支払い。

ヤフオクもエスクロー決済で匿名発送も可能だから安心ね。

[ビジネス版]エスクローの使い方・例文

オークションやフリマを管理している会社でないと、ビジネス上でエスクローを使うことがないのでは?と感じるかもしれません。

しかし、身近な決済方法になりつつあるので、いつどこで遭遇するかはわかりません。いざというときにでもスムーズに使えるよう、正しい使い方を例文でチェックしておきましょう。

例文1

今回のB社との合併に関する資金処理は、エスクロー決済を利用することに決定したよ。銀行との打ち合わせに同行してもらうので、予定しておいてくれるか。
例文2
アメリカ同様、日本の不動産取引でもエスクローが一般的になってきている。
例文3
システム開発の資金決済には、A銀行のエスクローサービスを利用することにした。

仕組みをきちんと理解してエスクローサービスを利用しよう

この記事を読んでもらい、エスクローは資金決済において安心のシステムであるというイメージが強くなったかもしれません。しかし、細かい仕組みは企業によってさまざまなので、利用の際はもう一度きちんと確認をしましょう。