ワークライフバランスとは『仕事と生活の調和』のこと
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ここではワークライフバランスの正しい意味だけでなく、定義や取り組み方についても簡潔にまとめました。間違った使い方をしないためにもしっかり学んでいってくださいね。
ワークライフバランスの意味をチェック!
ワークライフバランスとは、『ワーク(仕事)』と『ライフ(生活)』をきっちりわける意味と思われがちですが、正しくは『ワーク(仕事)』と『ライフ(生活)』調和をとることなんです。こんな認識違いをしている人も多いと思うので、まずは定義について明確にしておきましょう。
ワークライフバランスの定義
ワークライフバランスを一言でいうと、『仕事と生活の調和』ですが、もっとわかりやすく説明すると次のようになります。
■やりがいや充実感を感じながらしっかり働ける環境にあると同時に、健康で豊かな生活のための時間が確保できる状態であること。
高齢化社会になりつつある現代においては、仕事と介護の両立をしなければならない人、子育てのために働きたいけど働けない女性も増えています。
ほかにも、「趣味の時間がとれない」「資格をとりたいけど勉強ができない」など、仕事以外の時間がなかなか確保できない人も多いことでしょう。
こういった状況を改善する取り組みは、企業と国が一体となって行うほどの重要事項とされており、『仕事と生活の調和憲章』『仕事と生活の調和のための行動指針』を平成19年12月に策定(平成22年6月改定)しています[efn_note]参考:仕事と生活の調和 推進サイト | 内閣府[/efn_note]。
ライフワークバランスの英語は『work-life balance』
ワークライフバランスを英語で表現すると、『work-life balance』といった熟語になり、文章の中ではこのように使います。
get one’s work-life balance right
(仕事と生活のバランスを上手にとる)
英語圏でも『work-life balance』は『仕事と生活の調和』の意味で通じます。しかし、定義は日本と同じではなく、国によって違うということを認識しておく必要があります。
ワークライフバランス憲章とは
現代の日本において、仕事と生活が両立しにくい現実に直面していることは国としても問題視しています。
そのため、誰もがやりがいや充実を感じながら働く一方で、個人の時間もしっかりもつことができる、健康で豊かな生活が送れるようにする改革が必要だと考えました。そして、官民一体となっての取り組みに向け、『ワークライフバランス憲章』を策定しました。
内容は次のとおりです[efn_note]参考:仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章|内閣府[/efn_note] 。
■今何故仕事と生活の調和が必要なのか
■働き方の二極化等
■共働き世帯の増加と変わらない働き方・役割分担意識
■仕事と生活の相克と家族と地域・社会の変貌
■多用な働き方の模索
■多用な選択肢を可能とする仕事と生活の調和の必要性
■明日への投資
■仕事と生活の調和が実現した社会の姿
■関係者が果たすべき役割
たとえば、『明日への投資』は、主に、働き盛り世代の人口減少により、優秀な人材確保が難しくなっている中小企業を対象としたものです。会社の未来のために人手の確保は欠かせません。ワークライフバランスを実現する取り組みによって、人材を確保しやすくなります。
しかし、それなりにコストもかかります。これを「経費がかかってしまった」と嘆くより、「明日に向けて投資をした」ととらえる考え方です。
ワークライフバランス憲章は、企業はどんな取り組みをすべきなのか、国して何が必要と考えているかなど、基本的な方針として宣言されたものです。
ワークライフバランスに対する企業の取り組み
ワークライフバランスを実現させるには、個人だけではどうしようもなく、企業としての取り組みが必要不可欠です。それでは、実際にどんな取り組みが実施されているのでしょうか。
①:企業の取り組み
企業にごとに取り組み方はさまざまですが、多くの企業が実施している内容をいくつかピックアップしてまとめました。
長時間労働の削減
『No残業day』を設けたり、休日出勤の禁止または事前申請化などを業務規程にしたり、業務フローも見直したり、勤務時間が長くならないよう配慮する企業は増えています。これにより、肉体的・精神的な疲労の軽減が可能とされています。
また、限られた時間で仕事をこなさなくてはならないため、従業員が積極的に業務の効率化を図るようになるメリットもあります。
フレックスタイム制度の導入
出勤・退勤時間が自由なフレックスタイム制度を導入する企業は増えつつあります。コアタイム*は企業ごとに定める時間帯が異なります。平日の日中しか窓口での受付をしていない役所での手続きもできるため、主婦や一人暮らしの人も働きやすい環境といえます。
(コアタイム*:働く人が必ず勤務していなければならない時間帯)
なお、フレックスタイムについては次の記事で詳しく解説しているのであわせて読んでみてください。
フレックスタイム制の意味とは?残業やコアタイムの扱い、メリットとデメリットをわかりやすく解説
テレワーク(在宅勤務)の導入
インターネット技術が進化したことで、会社以外でも普通に業務がこなせる環境も整ってきました。それにより、自宅で仕事ができる『テレワーク(在宅勤務)』を導入する企業もあります。
この制度が利用可能なら、育児や介護などで出社が難しい人も仕事することができます。また、車いす生活などで移動が困難な障害者の雇用も可能となり、有能な従業員の確保につなげることができます。そのほか、テレワーク(在宅勤務)にすれば、通勤費も減らせるため、経費削減にもなります。
福利厚生を充実させる
宿泊施設がやフィットネスジムが安く利用できる、人間ドックの費用補助があるなどの福利厚生が充実している企業は、『社員のことを大切にしてくれる企業』という好印象を持たれます。今は、カフェテリアプランなど、専門的に福利厚生サービスを提供している企業もあるため、導入する側のコストも抑えながら福利厚生の充実化が可能です。
②:個人の取り組み
ワークライフバランスは、企業が取り組むだけでは完璧に実現することができません。個人としての取り組みも必要なので、ここで少しポイントを紹介しておきますね。
自分にあった働き方をする
企業としても、フレックスタイム制、テレワーク(在宅勤務)制の導入など、働きやすい環境を整えています。あなたが選んだ企業に全てが用意されていれば、自分にあった働き方を選べますが、そうでない場合もまだ多いですまた、
会社を選ぶ際は、あなたが負担だと感じない通勤時間となる場所と、勤務形態をしっかり考慮しましょう。自分の状況や環境を考えて職場選びをすることも大切です。
仕事の効率アップを意識する
勤務時間を短くしようとすると、必然的に効率が求められます。企業としての効率アップ対策も必要ですが、自分自身で「どのようにすれば効率がよくなるだろう?」と試行錯誤するのも大切です。
自分一人で抱えこまない
一人で起業している人はそうはいきませんが、職場に多くの人がいる場合は、時には人に頼るのも悪くありません。
日頃から良い人間関係を築き、仕事量に無理を感じた場合は、何をどのようにしてほしいのかを明確にし、同僚に手伝ってもらいましょう。
ワークライフバランスの使い方・例文
ワークライフバランスはどういった場面で登場するのでしょうか?例文をいくつか用意したので、正しい使い方を確認しておきましょう。
ワークライフバランスと似た用語との比較
ワークライフバランスに似たカタカナ語の中には、意味を混同しやすいものもあります。きちんと区別して使えるよう、意味の違いをチェックしておきましょう。
ワークファミリーバランス
ワークファミリーバランスは、『仕事と家庭の調和』で、単身者ではなく、家族をもっている人が対象となります。しかし、家庭以外の趣味などは『私生活(ライフ)』になるので、趣味を充実させる場合は既婚者でもワークライフバランスになります。
ワークライフインテグレーション
「仕事が充実していれば私生活も充実する」「私生活が充実していれば仕事も充実する」。このように、仕事と生活の両方を充実させ、相乗効果を期待する考え方を、ワークライフインテグレーションといいます。
生活の負担にならない働き方を目指すのがワークライフバランスです。それに対して、ワークライフインテグレーションは、多少無理して働くことはあっても、私生活を犠牲にはしないのが特徴です。
ワークライフコンフリクト
コンフリクトは『衝突』『対立』の意味です。ワークライフコンフリクトは、仕事と生活が衝突しあっている状態をいいます。仕事と生活の調和を意味するワークライフバランスの対義語にあたります。
ワークライフバランスの充実を意識してみよう!
家に帰っても仕事のことが忘れられないほど追い詰められた状態になると、心身ともに疲れ切って体をこわしてしまいます。「今この時間が楽しい!」「楽しかった」と思える仕事以外の時間をしっかりつくることも大切です。
無理をしなくていい、自分にあった労働環境とはどんなものかをしっかり考え、ワークライフバランスの充実を意識した働き方を目指しましょう。